好きじゃない人と結婚した「愛がなくても幸せになれると知った」プロポーズは「君は家にいるだけで何もしなくてもいい」

ぱんだ

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第8話

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数日後、アイラの静かな日々に、不穏な影が忍び寄った。ある朝、突然公爵家のドアが激しく叩かれ、アイラは驚いて振り返った。

「何事ですか?」

アイラは不安な気持ちを抱えながら、義母のステラと一緒に廊下に出た。

ドアが開くと、そこには怒りに満ちた表情の伯爵令嬢、レイラとその家族が立っていた。彼女の目は怒りで燃えており、弟と両親も険しい顔をしていた。

「公爵家はどういうつもりなのか!」

レイラの父親は声を張り上げた。

「一体、何が起こったのですか?」

ステラは冷静に尋ねたが、その声には緊張が漂っていた。

「ロバートと私の婚約は解消されたはずだけど、何故よく知らない女がここにいるの?」

レイラはアイラを指差し、目を鋭く光らせた。

(結婚してるからいるんだけど……)

アイラはその言葉に驚き、心臓がドキリとして胸の中で思わず呟いた。

「ロバートは私の幼馴染で、以前婚約していたの。彼との婚約を公爵家に解消されたのは、私の素行が問題だったから」

「それがどうして今になって…?」

レイラは怒りを隠さず言うと、アイラは混乱しながら返答した。

「公爵家が私を追い出すなんて、どういうことなのかしら? ねえ、どう思う?」

レイラは口を尖らせ、弟を振り返った。

「本当に信じられないよ、公爵家は酷いよね姉さん」
「私も、そう思う」

レイラの弟は姉を庇うような態度で言うと、レイラはアイラを睨みつけた。

「私はただ、ロバート様に結婚してほしいと言われて、ロバート様と結婚しただけです。レイラ様のことは全く知りませんでした。それに、過去のことは終わったはずですよね?」

「それでも、私の気持ちは収まらないの!」

アイラは、客観的な視点を保ちながら冷静に言ったが、レイラは、そんな理屈はどうでもいいんだ! 婚約破棄された私の気持ちを少しは考えろ! とヒステリックに叫んだ。

「レイラ、感情的になっても何も解決しません。過去の婚約は解消されたのですから、どうか冷静になって」

ステラは、その様子を見て落ちついた声で話しかけた。自分の主張を一方的に繰り返すレイラに、ステラは深く息を吸い込み、毅然とした態度で冷静に話しかけた。

「冷静になんてなれるわけがない! 私の人生を台無しにしたのよ!」

「でも、ロバート様はもうあなたのことを気にしていないはずです。私たちの生活を脅かさないでください」

レイラは苛立ちを隠せない様子で、周囲に響き渡るほど声を荒げた。アイラは心の中で葛藤しながら、思わず口を開いた。

「私がどうしてあなたのことを気にしなければならないの? あなたはただの公爵家の息子の妻でしかないのよ。偉そうにしないで!」

「私はロバート様と共に幸せを築いていくために、ここにいる理由があります」

レイラは冷笑し、アイラを見下ろした。その攻撃的な口調は、問題解決を図るというより、ただ感情的に誰かを責めたいだけの八つ当たりのように聞こえた。アイラは胸が締め付けられる思いだった。アイラは自分の立場を再確認し、心の中で自分を励ました。

「レイラ、あなたの気持ちもわかりますが、過去は変えられません。今はアイラとロバートが新しい生活を築いているので」

ステラが再度口を挟んだ。レイラは一瞬、言葉を失ったように見えたが、すぐに怒りの表情に戻った。

「それでも、私は納得できないわ!」

レイラは、常識では考えられないような言動をする人だった。この場には、ロバートとも義父のジェームズもいないし、心身ともに大変で苦労しそうだ。
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