好きじゃない人と結婚した「愛がなくても幸せになれると知った」プロポーズは「君は家にいるだけで何もしなくてもいい」

第7話

「アイラ、本当に素晴らしいお屋敷ね！　私、最初にここに来たときは目を疑ったわ」

「私も最初は驚いていて、広い庭や豪華な部屋に、夢の中にいるみたいだった」

アイラは、親友のクレア男爵令嬢を招いて、楽しいおしゃべりをしていた。クレアはアイラと同じく貧乏貴族の家に生まれ育ち、アイラの公爵家での生活を羨ましがっていた。

クレアは興奮を抑えきれない様子で、信じられない！　と目を輝かせながら言った。アイラは照れ笑いを浮かべながら返した。

「でも、見合いには乗り気じゃなかったんでしょう？　私も、アイラみたいになりたいと思っているの」

クレアは少し不安そうな表情を浮かべて言う。

「確かに、両親に言われて見合いをすることになったときは、正直戸惑ったの。でも、今はそれなりに楽しくやっているし、愛してはないけどロバート様も人当たりの良いし、少しずつお互いを理解し合えるようになってきて」

アイラは、嬉しさを隠しきれない笑顔で微笑みながら言った。

「それを聞くと安心するわ。私もアイラのような生活がしたい！　でも、どうしても見合いが怖いの」

「私も最初は不安だったけれど、意外と楽しいこともあるよ。お互いに話しているうちに、少しずつ親しくなれるから」

アイラは励ますように言った。クレアは少し羨ましそうに返した。アイラは、見合いしてもいつも通りにすればいいと微笑みかけ、クレアを安心させた。


「でも、私の家には素敵な公爵様と見合いの話なんかないし…」

「それは関係ないよ。誰といるかが大事なんだから、クレアも素敵な人と出会えれば、きっと幸せになれるはずよ」

気持ちが沈むクレアにアイラは、背中にそっと手を添えながら、温かい眼差しで励ますように言った。

「アイラがそう言ってくれると、少し勇気が出るわ。でも、運命の人が現れるかどうか…」

「別に私は、ロバート様のことを愛してないけど、楽に生活させてくれる運命の人は、自分が思っている以上に近くにいるかもしれない。私だって、ロバート様と出会うまでは本当に不安だったけれど、今はこんなに幸せだもの」

クレアは不安そうに首をかしげた。アイラは、運命は気にしないと微笑みながら、穏やかな生活をさせてくれる相手と結婚できて幸せだと話した。

「そうね、アイラの幸せな姿を見ていると、私も希望が持てる気がする」

「それに、クレアも魅力的だから、きっと素敵な人が現れるわ」

クレアは少し元気を取り戻した様子。アイラは心からの応援の言葉を贈った。親友だけど、他人事のように無責任とも言える楽観的な態度を崩さない。

「ありがとう、アイラ。あなたの言葉はいつも私を元気にしてくれる」

「一緒に素敵な未来を作っていこうね」

クレアは微笑み、心が温かくなるのを感じた。アイラは笑顔で手を握り、親友の気持ちを支えることを誓った。

その後、二人は楽しい話題で盛り上がり、笑い声が部屋に響いた。アイラは、クレアとの友情が彼女の心にとってどれほど大切かを改めて実感した。