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第10話
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「それじゃあジョージのことを教えて」
「うん」
娘のカミーユの心を落ち着かせてから改めてジョージのことを聞く。心が透き通った声で嬉しそうな顔をして素直に返事をする。
「ジョージとは何して遊んでるの?」
「色々お話する」
「この前は3人で遊んでいると途中でママがジョージとどこかに行くって教えてくれたよね?」
「うん」
「一緒について行ったことはあるの?」
「ないけど…」
「ないけど?」
「戻って来たらママの髪が濡れてた」
「その時はママとジョージはどうしてたのか聞いたの?」
「ママに聞いたら汗かいたからジョージと洗いっこしたって嬉しそうな顔で笑いながら言ったの」
子供の予告なしのありのままの告白に気持ちの整理がつかないほど感情が混乱する。カミーユの本心にはハリー殿下に人の心を忘れさせるくらいのショックを与えた。
妻とジョージの関係はとっくに分かっていたことだが実際に子供から打ち明けられると耐え難い苦痛に生きていられないほどの喪失感で身にこたえる。
「それじゃあ頼んだぞ」
「殿下お任せください」
恥を承知で信用に値する腹心のレオンにオリビア夫人のことを包み隠さず語るとレオンは自分のことのように涙を流して殿下お辛かったでしょうと親身な対応に胸を打つ。
レオンが周到な準備をして妻の調査をしてくれることになり氷が溶けるようにハリー殿下の心も緊張がとけて気持ちが少しだけ軽やかになった。
「あなたに話があるの」
本当に久しぶりにオリビア夫人から話しかけてきた。妻の調査が完了する頃に手の平を返したように態度が変わり何か勘付かれてのかと脳裏をかすめる。
妻の調査をしている世にも惨めな夫にまだ心に苦痛を与えるのかという思いで悲しみのどん底にいるハリー殿下は声のしたほうに寂しげな目を向けた。
「1ヶ月ぶりくらいに口を開いてなんだ話って?」
「あなたは勘違いしてると思うからジョージとは何でもないって話がしたい。あなたの思い込みを解きたいの」
強い絆で結ばれた夫婦はひと月ぶりに会話をした。妙に懐かしさを感じる妻の声は弱々しくて体も別人のように激ヤセしていた。
だが今ごろになってジョージとは男女の関係はないからハリー殿下の誤解を晴らしたいと涼しい顔で呆れたことを抜かす。
**********
新作『突然両親からお見合いして結婚しろと言われた令嬢は全力で拒否して、学園でイケメンに囲まれる青春生活を送る成功者に』の連載を始めました。
「うん」
娘のカミーユの心を落ち着かせてから改めてジョージのことを聞く。心が透き通った声で嬉しそうな顔をして素直に返事をする。
「ジョージとは何して遊んでるの?」
「色々お話する」
「この前は3人で遊んでいると途中でママがジョージとどこかに行くって教えてくれたよね?」
「うん」
「一緒について行ったことはあるの?」
「ないけど…」
「ないけど?」
「戻って来たらママの髪が濡れてた」
「その時はママとジョージはどうしてたのか聞いたの?」
「ママに聞いたら汗かいたからジョージと洗いっこしたって嬉しそうな顔で笑いながら言ったの」
子供の予告なしのありのままの告白に気持ちの整理がつかないほど感情が混乱する。カミーユの本心にはハリー殿下に人の心を忘れさせるくらいのショックを与えた。
妻とジョージの関係はとっくに分かっていたことだが実際に子供から打ち明けられると耐え難い苦痛に生きていられないほどの喪失感で身にこたえる。
「それじゃあ頼んだぞ」
「殿下お任せください」
恥を承知で信用に値する腹心のレオンにオリビア夫人のことを包み隠さず語るとレオンは自分のことのように涙を流して殿下お辛かったでしょうと親身な対応に胸を打つ。
レオンが周到な準備をして妻の調査をしてくれることになり氷が溶けるようにハリー殿下の心も緊張がとけて気持ちが少しだけ軽やかになった。
「あなたに話があるの」
本当に久しぶりにオリビア夫人から話しかけてきた。妻の調査が完了する頃に手の平を返したように態度が変わり何か勘付かれてのかと脳裏をかすめる。
妻の調査をしている世にも惨めな夫にまだ心に苦痛を与えるのかという思いで悲しみのどん底にいるハリー殿下は声のしたほうに寂しげな目を向けた。
「1ヶ月ぶりくらいに口を開いてなんだ話って?」
「あなたは勘違いしてると思うからジョージとは何でもないって話がしたい。あなたの思い込みを解きたいの」
強い絆で結ばれた夫婦はひと月ぶりに会話をした。妙に懐かしさを感じる妻の声は弱々しくて体も別人のように激ヤセしていた。
だが今ごろになってジョージとは男女の関係はないからハリー殿下の誤解を晴らしたいと涼しい顔で呆れたことを抜かす。
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新作『突然両親からお見合いして結婚しろと言われた令嬢は全力で拒否して、学園でイケメンに囲まれる青春生活を送る成功者に』の連載を始めました。
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