幸せな結婚生活に妻が幼馴染と不倫関係、夫は許すことができるか悩み人生を閉じて妻は後悔と罪の意識に苦しむ

佐藤 美奈

文字の大きさ
11 / 12

第11話

「そんなことよりカミーユはどこにいる?」

ハリー殿下は何とも言えない感じがした。娘のカミーユが見当たらないので噛みつくような口調でオリビア夫人に問いただす。

「突然そんなに怒鳴らないで。カミーユならメイドにちゃんと見てもらっていますから安心してください」
「別にその必要はないだろう?」
「だからあなたとゆっくり話がしたいから」
「じゃあ早く言ってくれ」
「なんで冷たい態度なの?昔のあなたはもっと優しかった…」
「はぁ?1ヶ月も無視しといて何を言って…」
「それはごめんなさい。私も悪かったと思ってます。でもあなたも反省してほしい」
「僕が何を反省するんだ?」
「もういいから!かわいい妻が謝ったんだからあなたも許して最後くらい男らしく謝ったらどう?」
「何を勝手な理屈を言ってるんだ?」
「キィィーーーーーーーー!!」
「じゃあジョージのことはどうなんだ?」
「ジョージとは何もない!あなたがジョージのことをしつこく聞いて私を嫌な気持ちにさせたんだから仕方ないでしょ。だから今回はお互いに悪かったと反省しましょう」

追い詰められて開き直った態度をとったり動揺を隠せない血の気の引いた顔で半ばヒステリーを起こし奇怪な叫び声を上げて忙しい気持ちの切り替えをする妻。

見えすいた嘘に変に遠まわしな浅ましいことを口にして自分を正当化するような言い訳を繰り返すオリビア夫人に夫は呆れるほかない。

挙げ句の果てには泣く振りをして目も当てられないほど懸命になって謝ったり言い逃れを始めるもハリー殿下は怒りの感情は既に忘れていた。

ひとしきり小ざかしい口から出まかせを聞くのにハリー殿下はうんざりした表情で妻の戯言を終わらす。

「オリビアの言いたいことは分かった」
「じゃあ今までのことは許してくれるの?」
「許すよ。ジョージとは何もないんだろ?」
「そうよ!」

オリビア夫人はハリー殿下から許すと伝えられると救われたような気持ちになり喜びを顔にみなぎらせて少しはしゃいだ口調で返す。

思わず夫に甘えるように抱きついて柔らかい唇で頬にキスをしたがハリー殿下は非常に気持ちが悪く感じて不快感は一気に頂点に達する。

「明日話そう」
「何で?」
「明日にオリビアの数週間の調査が完了して結果を報告してくれるんだ」
「え……?」

その瞬間、腰が砕けたように泣き崩れる妻はハリー殿下に差別視するような憎しみを含んだ瞳を向ける。

「卑怯者!やり方が汚い!妻を調査するなんて恥ずかしくないの?」
「他人の迷惑を考えない自分勝手なことを言うんだな…オリビアはいつ人格が変わってしまったんだ?」
「うるさい黙れ!最低な夫でみっともない!卑劣すぎて許せないーーーー!!あなたのそういう所が大嫌いなのよーーー!!」

オリビア夫人は充血して腫れ上がった瞳で狂った獣のようにいつまでも思うがままに王太子妃とは思えない下品な言葉を軽々しく口にして吠えまくっていた。

**********

新作『妹の婚約者が子供の時に好きだった人で誘惑すると、彼は妹に婚約破棄を告げた』の連載を始めました。

あなたにおすすめの小説

それは確かに真実の愛

宝月 蓮
恋愛
レルヒェンフェルト伯爵令嬢ルーツィエには悩みがあった。それは幼馴染であるビューロウ侯爵令息ヤーコブが髪質のことを散々いじってくること。やめて欲しいと伝えても全くやめてくれないのである。いつも「冗談だから」で済まされてしまうのだ。おまけに嫌がったらこちらが悪者にされてしまう。 そんなある日、ルーツィエは君主の家系であるリヒネットシュタイン公家の第三公子クラウスと出会う。クラウスはルーツィエの髪型を素敵だと褒めてくれた。彼はヤーコブとは違い、ルーツィエの嫌がることは全くしない。そしてルーツィエとクラウスは交流をしていくうちにお互い惹かれ合っていた。 そんな中、ルーツィエとヤーコブの婚約が決まってしまう。ヤーコブなんかとは絶対に結婚したくないルーツィエはクラウスに助けを求めた。 そしてクラウスがある行動を起こすのであるが、果たしてその結果は……? 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

なくなって気付く愛

戒月冷音
恋愛
生まれて死ぬまで…意味があるのかしら?

某国王家の結婚事情

小夏 礼
恋愛
ある国の王家三代の結婚にまつわるお話。 侯爵令嬢のエヴァリーナは幼い頃に王太子の婚約者に決まった。 王太子との仲は悪くなく、何も問題ないと思っていた。 しかし、ある日王太子から信じられない言葉を聞くことになる……。

【完結】他の人が好きな人を好きになる姉に愛する夫を奪われてしまいました。

山葵
恋愛
私の愛する旦那様。私は貴方と結婚して幸せでした。 姉は「協力するよ!」と言いながら友達や私の好きな人に近づき「彼、私の事を好きだって!私も話しているうちに好きになっちゃったかも♡」と言うのです。 そんな姉が離縁され実家に戻ってきました。

報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を

さくたろう
恋愛
 その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。  少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。 20話です。小説家になろう様でも公開中です。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

【完結】さよなら、馬鹿な王太子殿下

花草青依
恋愛
ビーチェは恋人であるランベルト王太子の傍らで、彼の“婚約破棄宣言”を聞いていた。ランベルトの婚約者であるニナはあっさりと受け入れて去って行った。それを見て、上手く行ったと満足するビーチェ。しかし、彼女の目的はそれだけに留まらず、王宮の平和を大きく乱すものだった。 ■主人公は、いわゆる「悪役令嬢もの」の原作ヒロインのポジションの人です ■画像は生成AI (ChatGPT)

幼馴染み同士で婚約した私達は、何があっても結婚すると思っていた。

喜楽直人
恋愛
領地が隣の田舎貴族同士で爵位も釣り合うからと親が決めた婚約者レオン。 学園を卒業したら幼馴染みでもある彼と結婚するのだとローラは素直に受け入れていた。 しかし、ふたりで王都の学園に通うようになったある日、『王都に居られるのは学生の間だけだ。その間だけでも、お互い自由に、世界を広げておくべきだと思う』と距離を置かれてしまう。 挙句、学園内のパーティの席で、彼の隣にはローラではない令嬢が立ち、エスコートをする始末。 パーティの度に次々とエスコートする令嬢を替え、浮名を流すようになっていく婚約者に、ローラはひとり胸を痛める。 そうしてついに恐れていた事態が起きた。 レオンは、いつも同じ令嬢を連れて歩くようになったのだ。