最近彼氏の様子がおかしい！私を溺愛し大切にしてくれる幼馴染の彼氏が急に冷たくなった衝撃の理由。

第9話 彼の様子がおかしい

「ロナウドどうして？」
「その日は予定があって……」
「私とのデートよリも大切なこと？」
「ソフィアごめん」

この日の放課後、学園を出て少し歩いたところでソフィアが悲しそうに言った。ロナウドは心苦しいという顔でソフィアの隣を歩いている。週末は久しぶりにデートで張り切っていた気分をロナウドの言葉で壊されて納得いかない表情である。

ソフィアは不意に口元を引き締めて真剣な顔になって聞くが、ロナウドは困ったように目を伏せて気まずそうに言う。ソフィアにはロナウドが何か隠し事をしてるように感じられた。

ロナウドが最近よそよそしい態度を取ることには気づいていたが、非難がましく問い詰めることはしなかった。実は一緒に下校するのは数日ぶりだった。昼の食事は共にしているが放課後になると用事があるということで一緒に帰れなかったのだ。

「でもソフィアは最近明るくなったよね」
「うん、私もそう思う」

ロナウドは話をそらしたいのだろう。ソフィアに無邪気ともいえる笑顔を向けて言った。ロナウドの言葉は当たっている。アイリーンに絡まれることがなくなりソフィアの心は穏やかに保たれていた。

さらに学園で驚くべきことが起こった。アイリーンが人が変わったように親切な態度を見せるようになり、学園はどこか落ち着いた雰囲気が感じられた。

天地がひっくり変えるほどの衝撃を受けて、最初は皆揃って目の前の現実が受け入れられないという思いで呆気にとられたようにぼんやり立っていた。以前までアイリーンという我がまま女王様は学園にいる生徒に教師、誰に対しても自分の道具のように扱っていたのに……。

何がきっかけとなりアイリーンの性格が変わったのかは不明ですが、少し前まで独裁者の恐怖に苦しんでいた事が嘘のようでした。学園にいる人たちの青ざめた顔を見ることはなくなって、人に対する優しさや想いやりに溢れてみんなが平和な学園生活を送っていました。

「ソフィア！」
「何？突然大きな声出して……」
「僕は自分を犠牲ぎせいにしてもソフィアを守る。いつでもソフィアの幸せを願っているからね」
「う、うん。ロナウドありがとう」

ロナウドは立ち止まって息をつき姿勢を正してソフィアを凝視して言った。いきなりの大声に心臓の鼓動に合わせ、びくっとソフィアの体が振動した。改まってロナウドに言いふくめられるとソフィアも神妙な心持ちになる。

純粋な愛情を感じ愛されていることが確認できてソフィアは普通に嬉しかったが、ロナウドの言う自分を犠牲にするという言葉の意味がこの時はよく理解できなかった。気になったけど結婚を誓い合った幼馴染のロナウドを信頼しているので疑問を追求しませんでした。

ソフィアが今の平和な学園は嘘で塗り固められた偽いつわりの幸せだと気づくのはもう少し先のことだ。