私よりも幼馴染を選んだ王子の末路

佐藤 美奈

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第39話

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カタリーナは、王が見せるユーモラスな踊りをじっと見つめていた。心の中に、不思議な満足感が広がっていくのを感じる。胸の奥からふわりと重さが消え、まるで心が軽やかに羽ばたいているかのようだった。こんなにも心が晴れやかになるなんて、久しく忘れていた感覚だった。

「お母様、見てください。ついに、あの王を私の支配下に置きました」

その言葉が、ふっと溢れ出た。母が王に弄ばれたとき、無力感とともに悔しさがこみ上げたけれど、今やその力強い一言がすべてを物語っているような気がする。

母が王の傲慢さを知り、無理にでも自分を貫いていたとしたら、きっとその瞬間に彼に一泡吹かせることができただろう。あの男は、どれほど高い地位にいても、結局はその傲慢さで自分の足元をすくわれる運命にあるのだと、母の魂が教えてくれているような気がする。

王国の中でも特別な存在だったはずの王と王太后は、カタリーナの意のままに操られる存在と成り果てた。彼女が一言発するだけで、二人の命運は決まる。その支配力は、文字通り絶対的で反論の余地を許さない。

王家の名誉も威厳も、今や彼女の手のひらで転がるようなものとなり、あまりにも強大な権力を持ったその令嬢が、完全に狂気に支配されていることを誰もが感じ取っていた。

カタリーナは深く静かな呼吸をひとつ吐き出すと、無駄のない動きでその瞳を広間の隅々へと巡らせた。彼女の視線は、まるで周囲の空気をも見透かすかのように、ひとつひとつの細部にまで丁寧に注がれる。

目を合わせた者は、たとえ一瞬でも、その冷徹な眼差しに心を奪われるような、強い圧迫感を感じずにはいられなかった。彼女の瞳は、ただの観察者ではなく、この場に潜む全ての力関係を掌握しているかのような威圧感を放っていた。

「今日から、この王国は私が支配する。王と王太后は、私がその命令を下せば、いかようにも動く。貴族の皆さま、教会の高位者たち、商業界の有力者たち、そしてこの国のすべての権力者たちよ。これからは私が、この国を導く者だと知っておきなさい」

つい先程までは、ただの反逆者として、国を揺るがす存在だったカタリーナ。しかし今、彼女はこの国の支配者となり、その座に君臨している。彼女の名前こそが王国の歴史に刻まれる運命にある。

これからは、邪悪なる女王として、この国を支配し、その権力を誰にも揺るがされることなく振るうだろう。彼女の名が語られる時、恐怖と畏敬の念を込めて語られることになる。

舞踏会の広間に集まった全ての者たちが、カタリーナの一挙一動に注目しているのを感じながら、彼女は深呼吸を一つし、揺るぎない決意を込めて、はっきりとした声でその言葉を口にした。目の前に広がる輝かしい社交の場とは裏腹に、彼女の心は熱く激しく震えていた。

アーロンへの深い愛情が、理性の枠を超えて彼女を突き動かし、抑えきれぬ衝動となってこのような結果を迎えることになったのだ。愛情と狂気が交じったその瞬間、カタリーナは自らの運命をも選び取る覚悟を決め、すべての目の前でその宣言を果たしたのである。

カタリーナは、床に横たわるアーロンに静かに近づいた。彼の目は、まだ何も見ていないかのように虚ろで、その視界の中には何も存在しないかのようだった。

「アーロン様、見てください。あなたを傷つけ、苦しめた者たちは、今やすべて私の支配下にあります。あなたが感じていた痛み、悲しみ、そして恐れ。それを与えた者たちは、もう二度とあなたに手を出せません。今、私がすべてを掌握し、あなたのためにこの運命を変えました」

彼女はその無機質な瞳に一瞬目を留め、ゆっくりと彼の隣に膝をついてしゃがみ込んだ。冷たく硬くなった頬に触れると、まるで氷のような冷たさが指先に伝わり、思わずその感触に胸が締めつけられるようだった。

カタリーナの言葉が響く中、アーロンは一切の反応を見せなかった。彼の目の前に広がるのは冷たく孤独な空間だけ。彼の表情は変わらず、冷たい無表情のままで、彼女がどれだけ力強く語りかけても、その言葉はまるで遠くでこだまするように彼の耳には届かなかった。

「ああ、そうか」

王と王太后を足元にひざまずかせ、この国を手に入れても、カタリーナの心は少しも満たされないことに気がついた。どれだけ権力を手にしても、その王座は何の温もりもなく、まるで冷たい石の上に一人だけ座っているかのような、言葉にできないほどの孤独が心の中に広がっていった。

本当に欲しかったものは、こんなものじゃなかった。私が求めていたのは、ただあなたに心から笑ってほしかった。それだけだったのに。アーロン、私の、たった一人の王子様。

涙が静かに、私の頬を一筋伝って落ちる。それは決して、勝利の涙ではなかった。むしろ、失ったものへの深い哀しみと、満たされない心からこぼれた切ない涙だった。

「ミリア!」

カタリーナ女王は、冷徹な目を光らせながら玉座に座り、その名前を呼んだ。過去に自らの企みで額に火傷を負わせた令嬢の名前が今、彼女の唇から力強く発せられた。
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