心から信頼していた婚約者と幼馴染の親友に裏切られて失望する〜令嬢はあの世に旅立ち王太子殿下は罪の意識に悩まされる

佐藤 美奈

文字の大きさ
15 / 49

第15話

しおりを挟む
ガブリエル殿下はどうしていいかわからず頭が壊れそうなほど半狂乱になる。

心が激しく揺さぶられひどく落ち着かない様子でキスマークを手でおさえたり体をひねらせていますが、それで全てを隠せるわけもないので慌てて体を丸め始めます。

ガブリエル殿下は涙まみれの顔で切なくなるくらい一生懸命でした。

何とも落ちぶれた姿の恋人にアイラ令嬢は並外れて悲しくなり、やるせない気持ちが心に重苦しくのしかかってくる。

「ガブリエル……その体は?あなたに何があったの……?」

アイラ令嬢は心をぐちゃぐちゃにされるほどの精神的ショックを受けていましたが自らに努力ともいうべき勇気を振い起した。

しゃがみ込んでいるガブリエル殿下の背中に軽く手で触れる。

「やめてくれー!汚れてしまった僕の体を無邪気で素直な澄み切っている心のアイラに触ってほしくないんだ!」

ガブリエル殿下は怯えたような哀れな悲鳴と同時に立ち上がり、体も口元も震えが走っていて希望がない顔をしていました。

部屋の外に逃げ出そうをガブリエル殿下はアイラ令嬢を突き飛ばす。

アイラ令嬢は足腰に力が入らずによろめいていましたが、ここで逃がしたら二度とガブリエル殿下に会えないような気がして後ろから抱きつく。

しかしガブリエル殿下は振り払おうとお気の毒なくらい生真面目に体を動かします。

手で押さえつけられた小さな虫のように美少年は情けない暴れ方を繰り返して恋人を困らせる。

底知れぬ絶望と悲しみのアイラ令嬢の顔は、涙が溢れて視界が霞む。涙は湧き水みたいに止まることなく心が次第に暗く沈んでいくのを感じた。

それでも道に迷って戸惑う恋人を決してどこにも行かせたくないアイラ令嬢は強い思いで捕まえて離さない。

まだ愛情も残っていて自分より遥かに超えて不安定に崩れている彼の心を、優しく撫でるようにあたたかく慰めてあげたい気持ちもあります。

「アイラ離してくれ!そしてわかってほしい…君の透き通った瞳で僕の泥まみれな体と心を覗き込まれるのは辛い……」

その時のガブリエル殿下の言葉はアイラ令嬢の心の深層の部分に鮮明に響く。でも二人の感情はひどくほつれて容易に解ける雰囲気はありませんでした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる

椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。 その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。 ──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。 全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。 だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。 「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」 その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。 裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。

彼はヒロインを選んだ——けれど最後に“愛した”のは私だった

みゅー
恋愛
前世の記憶を思い出した瞬間、悟った。 この世界では、彼は“ヒロイン”を選ぶ――わたくしではない。 けれど、運命になんて屈しない。 “選ばれなかった令嬢”として終わるくらいなら、強く生きてみせる。 ……そう決めたのに。 彼が初めて追いかけてきた——「行かないでくれ!」 涙で結ばれる、運命を越えた恋の物語。

婚約破棄、ありがとうございます

奈井
恋愛
小さい頃に婚約して10年がたち私たちはお互い16歳。来年、結婚する為の準備が着々と進む中、婚約破棄を言い渡されました。でも、私は安堵しております。嘘を突き通すのは辛いから。傷物になってしまったので、誰も寄って来ない事をこれ幸いに一生1人で、幼い恋心と一緒に過ごしてまいります。

王命により、婚約破棄されました。

緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。

聞き分けよくしていたら婚約者が妹にばかり構うので、困らせてみることにした

今川幸乃
恋愛
カレン・ブライスとクライン・ガスターはどちらも公爵家の生まれで政略結婚のために婚約したが、お互い愛し合っていた……はずだった。 二人は貴族が通う学園の同級生で、クラスメイトたちにもその仲の良さは知られていた。 しかし、昨年クラインの妹、レイラが貴族が学園に入学してから状況が変わった。 元々人のいいところがあるクラインは、甘えがちな妹にばかり構う。 そのたびにカレンは聞き分けよく我慢せざるをえなかった。 が、ある日クラインがレイラのためにデートをすっぽかしてからカレンは決心する。 このまま聞き分けのいい婚約者をしていたところで状況は悪くなるだけだ、と。 ※ざまぁというよりは改心系です。 ※4/5【レイラ視点】【リーアム視点】の間に、入れ忘れていた【女友達視点】の話を追加しました。申し訳ありません。

私を捨てた婚約者へ――あなたのおかげで幸せです

有賀冬馬
恋愛
「役立たずは消えろ」 理不尽な理由で婚約を破棄された伯爵令嬢アンナ。 涙の底で彼女を救ったのは、かつて密かに想いを寄せてくれた完璧すぎる男性―― 名門貴族、セシル・グラスフィット。 美しさ、強さ、優しさ、すべてを兼ね備えた彼に愛され、 アンナはようやく本当の幸せを手に入れる。 そんな中、落ちぶれた元婚約者が復縁を迫ってくるけれど―― 心優しき令嬢が報われ、誰よりも愛される、ざまぁ&スカッと恋愛ファンタジー

幼馴染同士が両想いらしいので応援することにしたのに、なぜか彼の様子がおかしい

今川幸乃
恋愛
カーラ、ブライアン、キャシーの三人は皆中堅貴族の生まれで、年も近い幼馴染同士。 しかしある時カーラはたまたま、ブライアンがキャシーに告白し、二人が結ばれるのを見てしまった(と勘違いした)。 そのためカーラは自分は一歩引いて二人の仲を応援しようと決意する。 が、せっかくカーラが応援しているのになぜかブライアンの様子がおかしくて…… ※短め、軽め

【完結】婚約相手は私を愛してくれてはいますが病弱の幼馴染を大事にするので、私も婚約者のことを改めて考えてみることにします

よどら文鳥
恋愛
 私とバズドド様は政略結婚へ向けての婚約関係でありながら、恋愛結婚だとも思っています。それほどに愛し合っているのです。  このことは私たちが通う学園でも有名な話ではありますが、私に応援と同情をいただいてしまいます。この婚約を良く思ってはいないのでしょう。  ですが、バズドド様の幼馴染が遠くの地から王都へ帰ってきてからというもの、私たちの恋仲関係も変化してきました。  ある日、馬車内での出来事をきっかけに、私は本当にバズドド様のことを愛しているのか真剣に考えることになります。  その結果、私の考え方が大きく変わることになりました。

処理中です...