結婚式で王子を溺愛する幼馴染が泣き叫んで婚約破棄「妊娠した。慰謝料を払え!」花嫁は王子の返答に衝撃を受けた。

佐藤 美奈

文字の大きさ
9 / 20

第9話 無能な男は彼女に支配されて従順

しおりを挟む
「このたびは、私共の娘のアンジェリカがこのような事態を引き起こしてしまい申し開きのできないことです」
「エリザベート様にご不快の念をおかけ致しまして大変申し訳ございません」

アンジェリカの親の伯爵家のご夫妻が両手をついて深々と頭を下げた。身の置きどころのないような気分におそわれ、手はぶるぶる震え顔面は蒼白となり生きた心地がしておりませんでした。

「そんなに怖がらないでください」

エリザベートは自分の足元に視線を落として、身体を卑屈に丸めてひれ伏す夫妻を見下ろしながら柔らかい表情で軽く微笑んで声をかけた。思いやりのある口ぶりで彼女の気づかいが感じられる。

「愚か者めが!エリザベート令嬢の怖さをやっと思い出したか」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃいいーーーっ」
「ご無礼をはたらきましたがどうかお許しください!」

二人はつい先ほどまで国王のオリバーに面と向かって、怒りもあらわに威勢よく侮辱ぶじょくの毒舌を言い放っていた。

それがどうしてこのような状況になっているのか?

数分前――オリバーの言葉に夫妻はひるむ事なくにらみ返して感情が燃え立っていた。アンジェリカの国外追放は子供を溺愛する親の怒りは、想像の域を遥かに超えたもので血走った瞳で視線を向けた。

その時、周囲の空間に不思議な現象が起こりエリザベートが突然姿を現わして、いきり立っていた二人の頭上に冷水を浴びせかけた。

「どうしてそんなに物分かりが悪いのですか?」

エリザベートの言葉を聞いた瞬間、数年前にエリザベートがもたらした出来事が部屋にいた全員の頭をよぎった。

――なんだと!?その恐るべき光景をはっきりと思い出して、あっという間に心が崩れ落ちて伯爵家夫妻は臆病な表情に変わった。

オリバーは張り詰めた顔に冷や汗がじっとり肌にしみる。エリザベートには何がどうなっても逆らうことができないし、喧嘩を売ること自体があり得ない。無条件降伏が絶対的に正しい選択であったことを過去が証明している。

彼女を怒らせたら自分たちの身にどんながふりかかるか?考えただけで死人みたいな真っ青な顔をして身体はみっともなく震えつづける。

「全て私たちが間違っていました。アンジェリカは追放されて当たり前でした」
「むしろ国外追放程度で許していただきまことにありがたく心から感謝いたします」

エリザベートの能力をど忘れして口を滑らせて悪口を言ってしまった。自分たちはとんでもない事をしてしまったことに気がついた。夫妻は殺されるかも知れないという不安で声には切実な響きがこめられていた。

「キチガイでも本能的に恐怖は感じるようだな。その言葉を痛切に肝に銘じておけ」

エリザベートへの無礼を懲らしめるようにオリバーは重々しい低い声で伯爵夫妻に警告を与えた。そして自分が素晴らしい空間に入っているのを感じて、説明のつかないリラックスした状態で心が明るくなりました。

まさか――彼女は精神的な能力まで使えるのか?部屋には夫人のつけている花の匂いの香水が汗にまみれてかすかに漂っていた。

「オリバーは少し黙っていなさい」
「エリザベート様、出過ぎたことをして申し訳ございません」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄?いいですよ。ですが、次期王を決めるのは私ですので

水中 沈
恋愛
「コメット、今ここで君との婚約を破棄する!!」 建国記念パーティーの最中、私の婚約者であり、第一王子のエドワードは人目も気にせずに大声でそう言った。  彼の腕には伯爵令嬢、モニカがべったりとくっついている。 婚約破棄の理由を問うと、モニカを苛めた悪女と結婚する気は無い。俺は真実の愛を見つけたのだ!とのたまった。   「婚約破棄ですか。別に構いませんよ」 私はあっさりと婚約破棄を了承し、書類にサインをする。 (でもいいのかしら?私と婚約破棄をするってことはそういう事なんだけれど。 まあ、本人は真実の愛とやらを見つけたみたいだし…引き留める理由も無いわ) 婚約破棄から数日後。 第二王子との結婚が決まった私の元にエドワードが鬼の形相でやって来る。 「この悪女め何をした!父上が弟を次期王にすると言い出すなんて!! お前が父上に良からぬことを吹き込んだだろう!!」 唾をまき散らし叫ぶ彼に冷めた声で言葉を返す。 「まさか。 エドワード様、ご存じないのですか?次期王を決めるのは私ですよ」 王座がいらない程焦がれる、真実の愛を見つけたんでしょう?どうぞお幸せに。 真実の愛(笑)の為に全てを失った馬鹿王子にざまぁする話です。

【完結】義妹と婚約者どちらを取るのですか?

里音
恋愛
私はどこにでもいる中堅の伯爵令嬢アリシア・モンマルタン。どこにでもあるような隣の領地の同じく伯爵家、といってもうちよりも少し格が上のトリスタン・ドクトールと幼い頃に婚約していた。 ドクトール伯爵は2年前に奥様を亡くし、連れ子と共に後妻がいる。 その連れ子はトリスタンの1つ下になるアマンダ。 トリスタンはなかなかの美貌でアマンダはトリスタンに執着している。そしてそれを隠そうともしない。 学園に入り1年は何も問題がなかったが、今年アマンダが学園に入学してきて事態は一変した。

【完結】あなただけがスペアではなくなったから~ある王太子の婚約破棄騒動の顛末~

春風由実
恋愛
「兄上がやらかした──」  その第二王子殿下のお言葉を聞いて、私はもう彼とは過ごせないことを悟りました。  これまで私たちは共にスペアとして学び、そして共にあり続ける未来を描いてきましたけれど。  それは今日で終わり。  彼だけがスペアではなくなってしまったから。 ※短編です。完結まで作成済み。 ※実験的に一話を短くまとめサクサクと気楽に読めるようにしてみました。逆に読みにくかったら申し訳ない。 ※おまけの別視点話は普通の長さです。

某国王家の結婚事情

小夏 礼
恋愛
ある国の王家三代の結婚にまつわるお話。 侯爵令嬢のエヴァリーナは幼い頃に王太子の婚約者に決まった。 王太子との仲は悪くなく、何も問題ないと思っていた。 しかし、ある日王太子から信じられない言葉を聞くことになる……。

婚約破棄、ありがとうございます

奈井
恋愛
小さい頃に婚約して10年がたち私たちはお互い16歳。来年、結婚する為の準備が着々と進む中、婚約破棄を言い渡されました。でも、私は安堵しております。嘘を突き通すのは辛いから。傷物になってしまったので、誰も寄って来ない事をこれ幸いに一生1人で、幼い恋心と一緒に過ごしてまいります。

婚約破棄はまだですか?─豊穣をもたらす伝説の公爵令嬢に転生したけど、王太子がなかなか婚約破棄してこない

nanahi
恋愛
火事のあと、私は王太子の婚約者:シンシア・ウォーレンに転生した。王国に豊穣をもたらすという伝説の黒髪黒眼の公爵令嬢だ。王太子は婚約者の私がいながら、男爵令嬢ケリーを愛していた。「王太子から婚約破棄されるパターンね」…私はつらい前世から解放された喜びから、破棄を進んで受け入れようと自由に振る舞っていた。ところが王太子はなかなか破棄を告げてこなくて…?

幸せな人生を送りたいなんて贅沢は言いませんわ。ただゆっくりお昼寝くらいは自由にしたいわね

りりん
恋愛
皇帝陛下に婚約破棄された侯爵令嬢ユーリアは、その後形ばかりの側妃として召し上げられた。公務の出来ない皇妃の代わりに公務を行うだけの為に。 皇帝に愛される事もなく、話す事すらなく、寝る時間も削ってただ公務だけを熟す日々。 そしてユーリアは、たった一人執務室の中で儚くなった。 もし生まれ変われるなら、お昼寝くらいは自由に出来るものに生まれ変わりたい。そう願いながら

婚約破棄されたので、とりあえず王太子のことは忘れます!

パリパリかぷちーの
恋愛
クライネルト公爵令嬢のリーチュは、王太子ジークフリートから卒業パーティーで大勢の前で婚約破棄を告げられる。しかし、王太子妃教育から解放されることを喜ぶリーチュは全く意に介さず、むしろ祝杯をあげる始末。彼女は領地の離宮に引きこもり、趣味である薬草園作りに没頭する自由な日々を謳歌し始める。

処理中です...