突然「彼と別れて婚約破棄してください」と言われる〜恋人の王太子殿下に確認すると浮気相手と結婚したい？弱みを握られてました

第2話

「失礼いたしました。いつも殿下にはお世話になっています」

クロエ令嬢が眉をしかめてひどく憂鬱そうな顔をしたのを見て気まずい雰囲気を感じたイリス令嬢はまたたく間に謝罪をする。

相手は公爵令嬢で伯爵令嬢の自分よりも権力が上の貴族。怒らせてはいけないと直感的に判断したのです。

その選択は間違いではないですが、とうにクロエ令嬢は目の前にいるイリス令嬢を敵対相手だと見極めて怒りをこめて睨みつけている。

その程度の謝罪では腹の虫がおさまらないクロエ令嬢は自分の恋人で婚約者に何のお世話してるんだと思っていました。

結局のところ不本意ながら場所を移動することに。

イリス令嬢はお腹が空いていると言うので食事をしながら話を聞くことになりレストランに到着した。

「それで用事と言うのは何ですか？」

VIPルームという特別な部屋に通されて、椅子に座って間を置かずにクロエ令嬢が落ち着かない様子で口を開く。

ここに来るのにも不愉快に思っていて早く相手が自分に伝えたいことを聞いて退出したい気持ちでした。

「待ってください。私は空腹状態では冷静にお話しできませんので、まずはゆっくり何かを頂かせてください」
「ええ、どうぞ」

それなら仕方ないと了承しました。だがクロエ令嬢は更に表情が険しくなる。

食事が運ばれてくると正面に座っている美少女と呼べるタヌキ顔の見るからに愛くるしい大きな目で丸顔のイリス令嬢は突き動かされるように食べ始めました。

貴族の令嬢とは思えないマナーの悪さで、洗練されていないどころか見ているこちらが恥ずかしくなるほどです。