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第9話

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イリス令嬢に会って話しマクシム殿下と別れるように迫られた翌日。今は学園の昼頃。

とにかくマクシム殿下に真意を確かめるために話したいのですが、心の準備も必要なクロエ令嬢にはまだ聞けていません。

いつも通りの挨拶は交わしましたが、それ以上の接触はしてなかった。

挨拶した時も特に変化もなく笑顔のマクシム殿下だったので心の奥に火がともるように安心しました。

「クロエ一緒に食べないか」
「わかりました」

あんなことがあったのでマクシム殿下に呼ばれてクロエ令嬢は心臓がドキッとしました。

でも丁度いいタイミングが突然やって来たとも思います。食事しながら問いただそうと直ぐに頭を回転させる。

「クロエ今日はあまり話しかけてこなかったね」
「そうですね…」
「僕は少し寂しかった。休憩時間の時も君の素敵な声が聞きたかった」

妙なことをイリス令嬢から言われて少し不信感を持った。彼女から話を聞かなかったら普段通り楽しくお喋りしていたと思う。

クロエ令嬢は頭の中を整理していた。昨日も帰宅してから思い悩んでいたが、結局マクシム殿下に問うしかないからベッドに潜り込む。

予想以上に寝つきが良く長時間ぐっすり眠れました。

でもいざ聞くとなると、こうしたらどうだろうといろんな方向から光を当てて考えていたのです。

「それよりマクシムに聞きたいことがあります」
「どうした?そんな顔して悩み事か?」

睨みつけるほど真剣な目つきの婚約者のクロエ令嬢にマクシム殿下も並大抵のことではないと感じて顔を引き締める。

「イリス令嬢のことです」
「……!?」

マクシム殿下は油断して水を浴びたように心が震える。

「あのイリスとかいう人は気が触れています」
「イ、イリスが…な、なんて言ったんだ?」

イリス令嬢に恐ろしく動揺している。マクシム殿下ば平静を装うと余計に声が震えたのです。

クロエ令嬢は二人の間に何かあるのは間違いないと痛いほどに実感した。

「昨日マクシムのことで話があると言われて…」
「ど、どんな話だ?」
「昨日学園から帰る時です。直ぐに教えてと言ったのですが、ここでは話しにくいと言うので場所を変えて聞きました。正直気が乗りませんでしたが…」
「そ、それで…な、なにを…?」

マクシム殿下の慌てぶりは普通ではない。不安で背中を押されるように言っているようです。

その声にはハンターに追い詰められた小動物のような感じがしました。
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