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第9話
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「――あなたたち、このディオール帝国が誰のおかげで今があると思いますか?」
エリザベス女王は、大騒ぎしていた夫と息子に怒鳴り声を飛ばした。お叱りを受けた二人は弱らされて静かに頷き、再び土下座の姿勢になった。
そして彼女は、やがて話し始めたときには品格のある落ち着いた物腰をしていた。二人に魔法帝国について意見を問う形をしながら先へ進む。
「それはお母様のおかげです!」
「そうだな、エリザベスの威光によるところが大きいだろう……」
「大部分はお母様の御威光を背景に国の平和が維持できております。国民を守って奇跡を見せてくださる真の救世主です!!!」
「誰もが皆エリザベスを頼りにしている。国を救った英雄で国民に未来への希望を与えた。我の妻には、その力があるっ!!!!」
考えるまでもなくガブリエルは、ひとえに母のおかげでございますと答えた。夫も口を開くと、しっかりとした口調で話す。息子の意見に同意する旨の回答を行った。間違いなく、この国で暮らすほとんど全員がそれに肯定するだろう。
なぜかと言うと、エリザベス女王はディオール帝国の最高指導者で頂点。その上に彼女は世界最強の魔法使いと言われて、その実力と功績を広く認められている。エリザベスは魔法帝国を象徴する存在だ。彼女は最も尊い国の宝で、国民一人一人の未来を幸運に導いてくれる素晴らしい女性で深い信仰心を持たれている。
彼女の魔法の才能は、ずば抜けて高く並ぶ者がいない。この世に存在する全ての魔法を自在に使いこなすことができる。自ら前線で指揮を執り戦うのです。最強の破壊力を持つ攻撃魔法に、鉄壁の守りを誇る防御魔法は、外国の敵部隊をすっかり圧倒させた。
彼女の恐ろしさに震え上がりながら、到底勝てない相手だと全力で逃げていく。彼女は敵兵士の悲痛な泣き声の合唱を数え切れないほど聞いた。完全無欠な女王として世界の頂点に君臨している。
「そう言ってくれるのは大変嬉しいですが、私の力なんて彼女と比べれば遠く及びません。無いのと同じです」
ところがエリザベスは次の瞬間、信じられない言葉を口にする。負け知らずの無敵の女王が、彼女と比べたら私の実力なんて足元にも到達していないと言い、さらに自分の力は彼女と比較すると無いに等しいとまで、とても澄んだ美しい声で高らかに宣言したのだ。
「――お、お母様、ご謙遜がすぎておられます」
「なあ、ガブリエルよ。いくらなんでも……ありえぬことだ。その者と比較して、エリザベスの力が無いも同然なんて……そんな事あってたまるものかっ!!!」
「お父様の言う通り、あり得ないことです。とは言え、お母様の言葉は信じます。真実なら彼女とは誰なんですか……!?」
「そんな話我も知らんぞっ!!!!!その女は一体誰なのだ……!?」
目の前で土下座をしている夫と息子は、エリザベスからの衝撃の告白に、最初はしばらく唖然としていた。エリザベスの顔を見上げて驚いた顔のまま固まってしまった。
そして、ひどく取り乱して異議を唱え始めた。特に夫は異常な興奮状態で顔が赤くなって燃えた表情をしていた。この人、心臓が弱いのに大丈夫かしら?と妻は自分でも意外なほど落ち着いた気持ちで、少し心配そうな様子である。
息子は心が不安定ながら、夫と違って無駄に大声で叫んでいませんが、考えられないという感じで控えめな母の態度に、視線を送る様子が困惑しきっているように見えた。それでも誠実に心から母のことを信頼していた。
夫は感情が最高点に達した時、頭の中が真っ白になって意識を失いかけそうになった。彼女とは誰何だ?と異様な熱気がこもった声で、下から吠え立ててしつこい追及が繰り広げられる。
「これは明白な事実です。ディオール魔法帝国の最重要な事で彼女は絶対必要な貴重な女性です。彼女の命は私たちより重い。彼女一人の命と私たち三人の命を天秤にかけても私たちの命が空気のように軽すぎて、全然釣りあわないほどなのですよっ!!!!!!!!!」
彼女一人がいるだけで、この国がどんなに強い力を持つか……。魔法帝国に、なくてはならない大切な女性を冷たい対応して追放した国に、近い未来に罰が下される。
(ごめんなさい。いつかまた会えたら、もう一度この国を助けてくれますか……?)
土下座したまま近寄って来た自分の真下にいる夫と息子に向けて、真剣な眼差しで見つめて女王エリザベスは本心からそう言って心の中で、反省と後悔していた。
エリザベス女王は、大騒ぎしていた夫と息子に怒鳴り声を飛ばした。お叱りを受けた二人は弱らされて静かに頷き、再び土下座の姿勢になった。
そして彼女は、やがて話し始めたときには品格のある落ち着いた物腰をしていた。二人に魔法帝国について意見を問う形をしながら先へ進む。
「それはお母様のおかげです!」
「そうだな、エリザベスの威光によるところが大きいだろう……」
「大部分はお母様の御威光を背景に国の平和が維持できております。国民を守って奇跡を見せてくださる真の救世主です!!!」
「誰もが皆エリザベスを頼りにしている。国を救った英雄で国民に未来への希望を与えた。我の妻には、その力があるっ!!!!」
考えるまでもなくガブリエルは、ひとえに母のおかげでございますと答えた。夫も口を開くと、しっかりとした口調で話す。息子の意見に同意する旨の回答を行った。間違いなく、この国で暮らすほとんど全員がそれに肯定するだろう。
なぜかと言うと、エリザベス女王はディオール帝国の最高指導者で頂点。その上に彼女は世界最強の魔法使いと言われて、その実力と功績を広く認められている。エリザベスは魔法帝国を象徴する存在だ。彼女は最も尊い国の宝で、国民一人一人の未来を幸運に導いてくれる素晴らしい女性で深い信仰心を持たれている。
彼女の魔法の才能は、ずば抜けて高く並ぶ者がいない。この世に存在する全ての魔法を自在に使いこなすことができる。自ら前線で指揮を執り戦うのです。最強の破壊力を持つ攻撃魔法に、鉄壁の守りを誇る防御魔法は、外国の敵部隊をすっかり圧倒させた。
彼女の恐ろしさに震え上がりながら、到底勝てない相手だと全力で逃げていく。彼女は敵兵士の悲痛な泣き声の合唱を数え切れないほど聞いた。完全無欠な女王として世界の頂点に君臨している。
「そう言ってくれるのは大変嬉しいですが、私の力なんて彼女と比べれば遠く及びません。無いのと同じです」
ところがエリザベスは次の瞬間、信じられない言葉を口にする。負け知らずの無敵の女王が、彼女と比べたら私の実力なんて足元にも到達していないと言い、さらに自分の力は彼女と比較すると無いに等しいとまで、とても澄んだ美しい声で高らかに宣言したのだ。
「――お、お母様、ご謙遜がすぎておられます」
「なあ、ガブリエルよ。いくらなんでも……ありえぬことだ。その者と比較して、エリザベスの力が無いも同然なんて……そんな事あってたまるものかっ!!!」
「お父様の言う通り、あり得ないことです。とは言え、お母様の言葉は信じます。真実なら彼女とは誰なんですか……!?」
「そんな話我も知らんぞっ!!!!!その女は一体誰なのだ……!?」
目の前で土下座をしている夫と息子は、エリザベスからの衝撃の告白に、最初はしばらく唖然としていた。エリザベスの顔を見上げて驚いた顔のまま固まってしまった。
そして、ひどく取り乱して異議を唱え始めた。特に夫は異常な興奮状態で顔が赤くなって燃えた表情をしていた。この人、心臓が弱いのに大丈夫かしら?と妻は自分でも意外なほど落ち着いた気持ちで、少し心配そうな様子である。
息子は心が不安定ながら、夫と違って無駄に大声で叫んでいませんが、考えられないという感じで控えめな母の態度に、視線を送る様子が困惑しきっているように見えた。それでも誠実に心から母のことを信頼していた。
夫は感情が最高点に達した時、頭の中が真っ白になって意識を失いかけそうになった。彼女とは誰何だ?と異様な熱気がこもった声で、下から吠え立ててしつこい追及が繰り広げられる。
「これは明白な事実です。ディオール魔法帝国の最重要な事で彼女は絶対必要な貴重な女性です。彼女の命は私たちより重い。彼女一人の命と私たち三人の命を天秤にかけても私たちの命が空気のように軽すぎて、全然釣りあわないほどなのですよっ!!!!!!!!!」
彼女一人がいるだけで、この国がどんなに強い力を持つか……。魔法帝国に、なくてはならない大切な女性を冷たい対応して追放した国に、近い未来に罰が下される。
(ごめんなさい。いつかまた会えたら、もう一度この国を助けてくれますか……?)
土下座したまま近寄って来た自分の真下にいる夫と息子に向けて、真剣な眼差しで見つめて女王エリザベスは本心からそう言って心の中で、反省と後悔していた。
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