王子に婚約破棄されて国を追放「魔法が使えない女は必要ない!」彼女の隠された能力と本来の姿がわかり誰もが泣き叫ぶ。

佐藤 美奈

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第33話

なんとか説得して引き止めたいみたいだけど、どう引き止めてみても自分のわがままにしか聞こえないなとガブリエルは思い始める。気まずい沈黙ちんもくの中で、ふと思いついたことを口走った。

「魔法が使えないと不便ふべんだ。遠くに行くのにも馬車では時間がかかりすぎる。飛んで行けたらどれほど楽なのかと感じるよ」
「それは仕方ない事です。昔に戻ったと思ってあきらめてください」

魔法が使えないと生活で何かと不都合ふつごうなことがある。魔法は非常に便利ですから恵まれた環境かんきょううばわれてしまった。クロエもそうだろうと思いますが真面目まじめな顔で、元から魔法が使えなかったと思ってくださいと冷たく返した。

「ガブリエルおやめなさい」
「お母様……?」

再び魔法が使いたい。一筋の光明こうみょうを捨て切れないガブリエルをたしなめるように、エリザベスが静かに言った。恥かしいといった感じの息子を見ていられなかったのです。

「クロエを困らせてはなりません」
「魔法が使えなくなって、お母様は本当によろしいのですか?」

彼女の頭と心を悩ませ続けるのはやめなさい。もうこの国から解放してあげなさいと言った。先ほどクロエとエリザベスは、そのような話し合いをしていました。ところがガブリエルには諦めきれない未練が残っている。

「それは残念な事だと思います。ですがあなたが自分で判断して決まっていたクロエとの婚約を破棄したのです。今さら男らしくありませんよ。クロエがこの場に姿を見せてくれた事に私たちは感謝すべきです」
「はい……」

ガブリエルの一連の身勝手な行動が全ての原因でしょう?悪あがきにしても度が過ぎていますよ?むしろクロエが忽然こつぜんと姿を現したことで、直接謝罪する機会を与えてもらい和解したことにありがたいと思いなさいと言葉をかけた。

この方針に不満を抱いているのは明らかですが、ガブリエルはやむを得ず彼女を解放することに同意する。

「クロエごめんなさいね。息子が迷惑めいわくばかりかけて……」
「いえ、気にしていません」
「それではクロエ、天界に帰っても元気で過ごしてください」
「ありがとうございます。エリザベス様もお疲れのようなのでご自愛ください」

最後まで息子がいろいろ御面倒ごめんどうをおかけしました。エリザベスは深々と頭を下げねばならなかった。どうぞお気遣いなくと答えるクロエの明るい笑顔に救われるような気がした。これでいよいよお別れいたします。互いにどうかお身体をお大事になさいませと言い、二人はいつからか涙を流していた。

「クロエ……またいつか会ってくれるか?」
「はい、問題が起こったら様子を見に来ますよ。ディオール帝国は私の第二の故郷こきょうですからね」
「そう言ってくれると実に嬉しい」
「それじゃ行きます」

また会いたい!ガブリエルがすがるような目で見つめてきた。クロエはまた何かあれば愛する心のわがふるさとに来ると言い残した。彼女は笑顔を浮かべて神々の世界に旅立って行くのだった。

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