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第9話

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「レベッカ、勇者パーティーのほうがSランクパーティーよりも数段上だよ。仮に冒険者ギルドの階級をつけるならSSSトリプルエスランクというところだろうな……」
「な、なぜですか?」

レオンが話した勇者パーティーとSランクパーティーの階級の差に、それほどの違いがあるのか?とレベッカは自分の耳を疑ったくらいだった。以外すぎる言葉を返したレオンにレベッカは驚きの口調で尋ねた。

「そりゃそうだろう。勇者パーティーは『世界に一組』しかいないんだよ?」
「逆にSランクパーティーは確かに数は少ないけど、私たちの他にも数十組はいるからね」

さっき思わず大声をあげたリアムが、レオンの意見に同意するように言った。続いてアメリアも自分たちの他にもSランクパーティーは複数存在すると話した。

「でも私たちはAランクでしたけど?」
「そんなのSランク試験に合格してないだけだろ?それに面倒くさい条件もあるからな」

それでもレベッカは釈然しゃくぜんとしない気持ちが残って、自分たちはAランクだったと問いたげな顔をして聞いた。そうするとレオンが至極まっとうな意見を述べてくれる。

冒険者ギルドで最高峰のSランクになると、貴族から仕事を依頼されて直接交渉に出向くこともある。その時に体面や礼節を重んじる貴族に対して、冒険者は最低限の礼儀は守るべき必要があると考えられてにも試験があるのだ。

「私たちは貴族だから勉強はそれなりに得意だし……」
「それからSランクには礼儀作法や言葉遣いの試験もあるからね」
「平民はそういうのに慣れてないから、いくら強くてもSランクを断念してるパーティーは結構いるとうわさに聞く」

一般的に雲の上の暮らしをしている貴族の彼らは、平民と違って教育係を雇って小さい頃から高い教育を受けており、基礎的な知識とともに洗練された上品な礼儀を身につけることを要求されるのです。

正式な招待状が送られて、にぎやかで華やかなパーティー会場に行き貴族同士の交流を深めるために、様々なパーティーは非常に盛んに行われている。彼らはいくたびか繰り返される何かの記念パーティーや、お城で夜ごと定期的に開かれる舞踏会ぶとうかいで踊って語り明かしているのだった。

「あっ!」

その瞬間、レベッカの頭に稲妻いなずまが走り閃くものがあって、飛び上がらんばかりに声を発した。これまでSランクの試験には、の幼馴染のせいで何度も落ちていたことを思い出した。
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