母が病気で亡くなり父と継母と義姉に虐げられる。幼馴染の王子に溺愛され結婚相手に選ばれたら家族の態度が変わった。

佐藤 美奈

文字の大きさ
9 / 17

第9話

この頃はナルセスが嬉しそうで機嫌が良さそうな感じがした。愛する人の笑顔を見るとアイシャも喜ばしい気分になり、夕食の会話がいつも以上に膨らむ。

次の日が休みという事もあり、酒を飲みながら夜遅くまでたくさんの愉快な話をしていた。自分達はまだこんなにも仲の良い夫婦でいられる。夫婦ってこんなにも良いものだったのかとアイシャは心を揺さぶられる。

でもまずは義姉のルージュからナルセスを救い出し、問題を解決しなければならないと密かに誓う。


「ナルセス約束通り今日は出かけましょう」
「えっ?」
「どうしたの?昨日の話し覚えてないの?」
「ごめん……アイシャとの会話が楽しくて酒がすすんで酔って記憶にない。でも久しぶりに二人でどこか出かけるのもいいね」
「じゃあ買い物に付き合って」
「わかった」

こんな話し合いも普通の夫婦なら当たり前の会話なのだろう。昨日の夜は二人で長い間おしゃべりしていたが、アイシャは夫婦でこんなに自然に語り合いをしているのが嬉しかった。

ナルセスと一緒に行動するのはいつ以来だろう?最近までナルセスが休みの日でさえも何かと理由をつけて一人で出かけていた。

ところが今日は二人で並んで腕を組みながら歩いている。そんな姿なんて想像出来るはずもない夫婦関係だった。こんなに心地がよくて安らぎを感じるものなのかとアイシャは心の底から喜ぶ気持ちを隠しきれない。

「これなんてどう?」
「いいと思うよ」

夫婦で店に入り商品を選んで二人で買う。こんな日常的に見られる何の変哲もないイベントが今のアイシャとナルセスには新鮮でとても充実感を覚えるものだった。

そこはアイシャが頻繁に足を運ぶお洒落の店。いつもアイシャが着ているドレスと似た感じのたくさんの素敵なドレスや好んで身につけているアクセサリーが並んでいる。

「アイシャ様いつもお越しいただきありがとうございます。今日は旦那様もご一緒なんですね」
「フフッ、そうなんです」

アイシャがよくドレスや飾りつけを買う店、そんな店すらもナルセスは今日まで知らなかった。そのことがアイシャに申し訳ない気持ちになった。

「ねぇナルセス、このドレスはどう?」
「うん、よく似合うんじゃないか。試着してみたら?」
「そうするわ」

アイシャが店員に案内されて試着室に向かった。

「今日のアイシャ様はとても嬉しそうです」

ナルセスが待っていると従業員が話しかけてきた。

「そうなんですか?」
「はい、常日頃から付き添いの方はいらっしゃいますが、いつもはお一人でお選びになっていましたので……」
「夫として情けなく恥ずかしい限りです」 

その瞬間にまたアイシャに対して、いたたまれない気持ちになる。今まで放ったらかして愚かな振る舞いをアイシャにしてきたのだと、ナルセスは頭をかいて後悔と反省しきりでした。

あなたにおすすめの小説

婚約者を妹に取られた私、幼馴染の〝氷の王子様〟に溺愛される日々

佐藤 美奈
恋愛
エリーゼ・ダグラス公爵家の令嬢は、フレックス・グリムベルク王子と婚約していた。二人の結婚は間近に迫り、すべてが順調に進んでいると思われた。しかし、その幸せは突然崩れ去る。妹のユリア・ダグラスが、フレックスの心を奪ってしまったのだ。婚約破棄の知らせが届くとき、エリーゼは絶望に打ちひしがれた。 「なぜ?」心の中で何度も繰り返した問いに、答えは見つからない。妹に取られたという嫉妬と、深い傷を負ったエリーゼが孤独に沈んでいた。そのとき、カイル・グリムベルク王子が現れる。 彼はエリーゼにとって、唯一の支えであり安らぎの源だった。学園で『氷の王子様』と呼ばれ、その冷徹な態度で周囲を震えさせているが、エリーゼには、その冷徹さとは対照的に、昔から変わらぬ温かい心で接してくれていた。 実は、エリーゼはフレックスとの婚約に苦しんでいた。彼は妹のユリアに似た我儘で気まぐれな性格で、内心では別れを望んでいた。しかし、それを言い出せなかった。

今宵、薔薇の園で

天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。 しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。 彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。 キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。 そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。 彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。

Short stories

美希みなみ
恋愛
「咲き誇る花のように恋したい」幼馴染の光輝の事がずっと好きな麻衣だったが、光輝は麻衣の妹の結衣と付き合っている。その事実に、麻衣はいつも笑顔で自分の思いを封じ込めてきたけど……? 切なくて、泣ける短編です。

冷淡姫の恋心

玉響なつめ
恋愛
冷淡姫、そうあだ名される貴族令嬢のイリアネと、平民の生まれだがその実力から貴族家の養子になったアリオスは縁あって婚約した。 そんな二人にアリオスと同じように才能を見込まれて貴族家の養子になったというマリアンナの存在が加わり、一見仲良く過ごす彼らだが次第に貴族たちの慣習や矜持に翻弄される。 我慢すれば済む、それは本当に? 貴族らしくある、そればかりに目を向けていない? 不器用な二人と、そんな二人を振り回す周囲の人々が織りなすなんでもない日常。 ※カクヨム・小説家になろう・Talesにも載せています

美人な姉を溺愛する彼へ、最大の罰を! 倍返しで婚約破棄して差し上げます

佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢マリアは、若き大神官フレッドとの結婚を控え、浮かれる日々を送っていた。しかし、神殿での多忙を理由になかなか会えないフレッドへの小さな不安と、結婚式の準備に追われる慌ただしさが、心に影を落とし始める。 海外で外交官の夫ヒューゴと暮らしていた姉カミーユが、久しぶりに実家へ帰省する。再会を喜びつつも、マリアは、どこか寂しい気持ちが心に残っていた。 カミーユとの再会の日、フレッドも伯爵家を訪れる。だが、その態度は、マリアの心に冷たい水を浴びせるような衝撃をもたらした。フレッドはカミーユに対し、まるで夢中になったかのように賛辞を惜しまず、その異常な執着ぶりにマリアは違和感を覚える。ヒューゴも同席しているにもかかわらず、フレッドの態度は度を越していた。 フレッドの言動はエスカレートし、「お姉様みたいに、もっとおしゃれしろよ」とマリアにまで、とげのある言葉を言い放つ。清廉潔白そうに見えた大神官の仮面の下に隠された、権力志向で偽善的な本性が垣間見え、マリアはフレッドへの信頼を揺るがし始める。カミーユとヒューゴもさすがにフレッドを注意するが、彼は反省の色を一切見せない。

逢いたくて逢えない先に...

詩織
恋愛
逢いたくて逢えない。 遠距離恋愛は覚悟してたけど、やっぱり寂しい。 そこ先に待ってたものは…

夫と愛人が共謀して私を陥れようと不倫をでっち上げて離婚と慰謝料を要求してきた。ひどい義家族と戦いの記録。

佐藤 美奈
恋愛
エリザベート公爵夫人は幸せな家庭を築いているのだと思って日々生活していた。だけどそれは見せかけだったのかもしれない。夫のオリバーに依頼されたという弁護士の言葉で、エリザベートの心は激しく動揺してただ意外な驚きだけを感じた。 弁護士から奥様は不倫をしていますね?と指摘されたのだ。当然エリザベートは不倫などしていないので濡れ衣であると反論した。だが弁護士は不倫を認めろと大声でいう。さらに離婚と慰謝料の要求までしてきた。 エリザベートも弁護士に依頼して法廷で争う決心をする。どうやら夫には愛人がいて妻の自分が邪魔になったらしい。義家族との話し合いは平行線をたどり、自分の中で夫に対する愛情が薄れていくのをエリザベートは感じていく。 ※一部刺激的な表現が含まれるかもしれません。人間関係は複雑なものになっています。途中から刺激の強い場面がありますので離れて見てください。

某国王家の結婚事情

小夏 礼
恋愛
ある国の王家三代の結婚にまつわるお話。 侯爵令嬢のエヴァリーナは幼い頃に王太子の婚約者に決まった。 王太子との仲は悪くなく、何も問題ないと思っていた。 しかし、ある日王太子から信じられない言葉を聞くことになる……。