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第17話
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「今度ルージュと会いますが、その時はナルセスも出席してください」
「ルージュに会うと正直にまだ体が震えるけど、アイシャが隣にいるなら怖くないよ。僕にできる事があるなら何でも協力しよう」
ナルセスはルージュに恐怖心を植えつけられていたので怯えたような表情をしたが、気力を奮い立たせて曇りのない瞳でアイシャを見つめながら、話し合いの場に立ち会うことを熱望した。
そして数日後、ルージュと会う日がやってきました。
アイシャとナルセスは付き人兼護衛を連れてルージュと約束をした場所に向かいました。二人の方が先に到着したみたいでルージュの姿はまだなかった。
しばらくするとルージュがノックもなく部屋に入ってくる。予定していた時間はとうに過ぎていた。
相変わらず悪びれる様子もなくナルセスを脅していたということにも、罪の意識や反省して自らを改めようとする姿勢がほとんど見られないばかりか、アイシャに対してもあざ笑い愚弄が感じられるふてぶてしい態度をとり椅子に腰かけて足を組む。
「それで二人の離婚が決まったのかしら?」
ルージュが第一声を発した瞬間、アイシャは怒りを通り越し呆れてしまった。
「私達夫婦は別れませんよ?ねぇナルセス」
「その通りだ。アイシャとは絶対に別れない!離婚なんてあり得ないことだ!」
「は?」
アイシャとナルセスの言葉が受け止められなかったのだろう。正面に座っているルージュがひどく取り乱した顔に変わり、間抜けな声が部屋に響く。
「ナルセスこの人に言ってやりたい事があるんでしょ?」
「あぁ、たくさんあるよ。まず僕はルージュの事が好きではないし愛してない。恥ずかしい姿を撮られて強要されたから仕方なく関係を持っただけだ」
「ベッドの上では愛してるって甘くささやいてくれたじゃないの!」
「それは君にお願いされて言わされたからだろう?抱かれた理由もアイシャを悲しませたくなかったからだ。本当はすぐにでも全てを打ち明けるべきだったと今は後悔してる」
「ナルセスふざけるなよ!」
「それに愛しているアイシャと別れて、なぜ君と結婚しなければならないのか僕は理解ができない」
ルージュが悲痛な表情になり激しく泣いて床に崩れるように座り込む。予想以上にナルセスの言葉が効いた。相手の気持ちを考えない自分勝手な恋だが、本当にナルセスに愛情を抱いていたと思われる。
アイシャは今回の出来事で自分がまだナルセスの事を深く愛してるのだと、再び実感する事ができたことがこの上ない喜びだと分かりました。
「そういう事だからナルセスのことは諦めなさい」
この日が二人がルージュの会った最後の日になりました。何故ならもうルージュは、ナルセスに振られてから廃人のように過ごしているのを人づてに聞いて知った。
ナルセスは職務が終わり家に帰ると、アイシャが出迎えてくれて今日は夕食の料理をメイドと一緒に作ったと話してくれるなど幸せを感じている日々。
週に一度は二人で買い物に出かけてデートをするようになり、何よりも二人が以前にも増して顔をほころばせる事が多くなる。
「子供ができたんだな。ナルセスおめでとう」
「ありがとう」
「二人の関係が修復して友人としてとても嬉しく思うよ」
後日、ナルセスと親友のハリソンが酒を飲みながら楽しくお喋りし、夫婦が仲直りしたことを気持ちの良い笑顔で喜んでいた。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
この物語を、皆さまと共有できたことが何よりの幸せです。
またどこかの物語でお会いできますように。
「ルージュに会うと正直にまだ体が震えるけど、アイシャが隣にいるなら怖くないよ。僕にできる事があるなら何でも協力しよう」
ナルセスはルージュに恐怖心を植えつけられていたので怯えたような表情をしたが、気力を奮い立たせて曇りのない瞳でアイシャを見つめながら、話し合いの場に立ち会うことを熱望した。
そして数日後、ルージュと会う日がやってきました。
アイシャとナルセスは付き人兼護衛を連れてルージュと約束をした場所に向かいました。二人の方が先に到着したみたいでルージュの姿はまだなかった。
しばらくするとルージュがノックもなく部屋に入ってくる。予定していた時間はとうに過ぎていた。
相変わらず悪びれる様子もなくナルセスを脅していたということにも、罪の意識や反省して自らを改めようとする姿勢がほとんど見られないばかりか、アイシャに対してもあざ笑い愚弄が感じられるふてぶてしい態度をとり椅子に腰かけて足を組む。
「それで二人の離婚が決まったのかしら?」
ルージュが第一声を発した瞬間、アイシャは怒りを通り越し呆れてしまった。
「私達夫婦は別れませんよ?ねぇナルセス」
「その通りだ。アイシャとは絶対に別れない!離婚なんてあり得ないことだ!」
「は?」
アイシャとナルセスの言葉が受け止められなかったのだろう。正面に座っているルージュがひどく取り乱した顔に変わり、間抜けな声が部屋に響く。
「ナルセスこの人に言ってやりたい事があるんでしょ?」
「あぁ、たくさんあるよ。まず僕はルージュの事が好きではないし愛してない。恥ずかしい姿を撮られて強要されたから仕方なく関係を持っただけだ」
「ベッドの上では愛してるって甘くささやいてくれたじゃないの!」
「それは君にお願いされて言わされたからだろう?抱かれた理由もアイシャを悲しませたくなかったからだ。本当はすぐにでも全てを打ち明けるべきだったと今は後悔してる」
「ナルセスふざけるなよ!」
「それに愛しているアイシャと別れて、なぜ君と結婚しなければならないのか僕は理解ができない」
ルージュが悲痛な表情になり激しく泣いて床に崩れるように座り込む。予想以上にナルセスの言葉が効いた。相手の気持ちを考えない自分勝手な恋だが、本当にナルセスに愛情を抱いていたと思われる。
アイシャは今回の出来事で自分がまだナルセスの事を深く愛してるのだと、再び実感する事ができたことがこの上ない喜びだと分かりました。
「そういう事だからナルセスのことは諦めなさい」
この日が二人がルージュの会った最後の日になりました。何故ならもうルージュは、ナルセスに振られてから廃人のように過ごしているのを人づてに聞いて知った。
ナルセスは職務が終わり家に帰ると、アイシャが出迎えてくれて今日は夕食の料理をメイドと一緒に作ったと話してくれるなど幸せを感じている日々。
週に一度は二人で買い物に出かけてデートをするようになり、何よりも二人が以前にも増して顔をほころばせる事が多くなる。
「子供ができたんだな。ナルセスおめでとう」
「ありがとう」
「二人の関係が修復して友人としてとても嬉しく思うよ」
後日、ナルセスと親友のハリソンが酒を飲みながら楽しくお喋りし、夫婦が仲直りしたことを気持ちの良い笑顔で喜んでいた。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
この物語を、皆さまと共有できたことが何よりの幸せです。
またどこかの物語でお会いできますように。
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