姉の婚約者に愛人になれと言われたので、母に助けてと相談したら衝撃を受ける。

佐藤 美奈

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「母に頼まれたんですよね?」
「そうだよ」
「お忙しい中足を運んでくださりありがとうございます。せっかくですがお断りします」
「どうして?遠慮することはないからね」

部屋の中には二人だけです。イリスは探るように質問するとキースは気にしない様子で答える。

イリスはわざわざ出向いてくれたことに対して感謝の言葉を伝えますが、金銭的援助を受けるのは拒否しました。

当然ながらキースは母親からの頼みごとを承諾してやって来たので、そう簡単に引き下がることはできない。

宝石のようなエメラルドグリーンの瞳を見開いて不思議な顔で改めて尋ねる。

「キース様に申し訳ないので……」
「そんな他人行儀なことを言わないでくれ。僕は君のお姉さんと婚約してるんだよ?身内じゃないか」

イリスは理由を打ち明けたところ、キースに水臭いと返されます。姉のミシェルと縁組みして家族同様なんだから遠慮する必要のない相手なんだよ?と本当に誠実な顔で説得する。


「お姉様はこのことは知っているのですか?」
「言ってないから知らないよ」
「そうですか」
「特にミシェルに伝えるようなことでもないし、僕としてもイリスの役に立てて嬉しいんだけどね?」

しばらく互いに無言のままでイリスは不意に気になるような顔をします。姉のミシェルは自分の学費のサポートをしてもらうことは承知の上なのか質問した。

キースはその程度は他愛もない事だからミシェルには伝えてないとクールに答える。

彼からしたら学費くらい安いものでそれほど重要でないと言われれば、イリスは納得したように相槌を打つ。

更にキースは頼りにされて嬉しいとさえ言ってくれます。


「それではよろしくお願いします」
「そう言ってくれて安心したよ。喜んで引き受けさせてもらう」
「ありがとうございます」

考え込んで覚悟を決めた表情のイリスは、深々とお辞儀をして助かりますと言いありがたさに胸が打たれる。

本当のことを言うとイリスは学園で友人も作りたかったし、もっと勉強もしたかったのです。

これで合間を見て働く必要もなくなり、学園に専念できると飛び上がって喜びたい気持ちになりました。

しかし喜んだのも束の間でした。
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