2 / 4
第2話
しおりを挟む
「子供を使って寂しがっている祖母の元に行かせないなんて母親として最低だな!やり方が陰湿じゃないか!」
「私は子供に何も言ってませんよ?」
「嘘をつくな!それなら何でレオは行きたがらないんだ!」
エマ夫人はレオを誘導するようなことは何一つしていないので完全にアイザックの勝手な思い込みでただの八つ当たりにひとしく因縁をつけてきただけ。
「お父様、僕はお母様に仕向けられてお祖母様の所へ行きたくないと言っているのではなく本心で言っています」
するとレオが父親に理屈がおかしいことで責められている母親を見るに見かねて助け船を出す。マリアンヌと会いたくないのは自分の素直な気持ちであると答える。
ここで初めてアイザックはエマ夫人がレオにけしかけて思い通りに操りマリアンヌの家に行きたくないと言わせていることが間違いで、自分が見当違いな浅はかな推測をしていたことに気がつく。
「えっ!?」
「あなた、まずは私に謝罪をしてください!」
一瞬気の抜けた声を出しやらかしたことを自覚したアイザックは居心地が悪そう顔をして振り返り、後ろにいたレオに差し迫った雰囲気で問いただそうとしたところ、先ほどまで疑われて頭ごなしに夫に叱責されていたエマが断ち切るように怒りのこもった不機嫌な声を上げる。
「悪かったよ…」
「取ってつけたような謝り方では許しません!」
「反省してる。エマ申し訳ない…」
まったく悪びれた様子がないアイザックにエマ夫人が誠意を込めて詫びろと本気で迷惑そうな顔つきでしつこくせがむと、妻に声を荒らげたことを恥じて後悔したように頭を垂れるアイザック。エマは納得がいかないながらも少しだけ胸がすっとした。
「じゃあレオはどうしてお祖母様に会いたくないんだ?」
エマ夫人への謝罪を済ませると次に長男のレオが対象となる。なぜ可愛がられている祖母の元に行きたくないのか鋭い瞳で追いつめた口調で直接的に聞く。
「私は子供に何も言ってませんよ?」
「嘘をつくな!それなら何でレオは行きたがらないんだ!」
エマ夫人はレオを誘導するようなことは何一つしていないので完全にアイザックの勝手な思い込みでただの八つ当たりにひとしく因縁をつけてきただけ。
「お父様、僕はお母様に仕向けられてお祖母様の所へ行きたくないと言っているのではなく本心で言っています」
するとレオが父親に理屈がおかしいことで責められている母親を見るに見かねて助け船を出す。マリアンヌと会いたくないのは自分の素直な気持ちであると答える。
ここで初めてアイザックはエマ夫人がレオにけしかけて思い通りに操りマリアンヌの家に行きたくないと言わせていることが間違いで、自分が見当違いな浅はかな推測をしていたことに気がつく。
「えっ!?」
「あなた、まずは私に謝罪をしてください!」
一瞬気の抜けた声を出しやらかしたことを自覚したアイザックは居心地が悪そう顔をして振り返り、後ろにいたレオに差し迫った雰囲気で問いただそうとしたところ、先ほどまで疑われて頭ごなしに夫に叱責されていたエマが断ち切るように怒りのこもった不機嫌な声を上げる。
「悪かったよ…」
「取ってつけたような謝り方では許しません!」
「反省してる。エマ申し訳ない…」
まったく悪びれた様子がないアイザックにエマ夫人が誠意を込めて詫びろと本気で迷惑そうな顔つきでしつこくせがむと、妻に声を荒らげたことを恥じて後悔したように頭を垂れるアイザック。エマは納得がいかないながらも少しだけ胸がすっとした。
「じゃあレオはどうしてお祖母様に会いたくないんだ?」
エマ夫人への謝罪を済ませると次に長男のレオが対象となる。なぜ可愛がられている祖母の元に行きたくないのか鋭い瞳で追いつめた口調で直接的に聞く。
1
あなたにおすすめの小説
幼馴染の許嫁
山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
誰も愛してくれないと言ったのは、あなたでしょう?〜冷徹家臣と偽りの妻契約〜
山田空
恋愛
王国有数の名家に生まれたエルナは、
幼い頃から“家の役目”を果たすためだけに生きてきた。
父に褒められたことは一度もなく、
婚約者には「君に愛情などない」と言われ、
社交界では「冷たい令嬢」と噂され続けた。
——ある夜。
唯一の味方だった侍女が「あなたのせいで」と呟いて去っていく。
心が折れかけていたその時、
父の側近であり冷徹で有名な青年・レオンが
淡々と告げた。
「エルナ様、家を出ましょう。
あなたはもう、これ以上傷つく必要がない」
突然の“駆け落ち”に見える提案。
だがその実態は——
『他家からの縁談に対抗するための“偽装夫婦契約”。
期間は一年、互いに干渉しないこと』
はずだった。
しかし共に暮らし始めてすぐ、
レオンの態度は“契約の冷たさ”とは程遠くなる。
「……触れていいですか」
「無理をしないで。泣きたいなら泣きなさい」
「あなたを愛さないなど、できるはずがない」
彼の優しさは偽りか、それとも——。
一年後、契約の終わりが迫る頃、
エルナの前に姿を見せたのは
かつて彼女を切り捨てた婚約者だった。
「戻ってきてくれ。
本当に愛していたのは……君だ」
愛を知らずに生きてきた令嬢が人生で初めて“選ぶ”物語。
【完結】小さなマリーは僕の物
miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。
彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。
しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。
※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
【書籍化決定】憂鬱なお茶会〜殿下、お茶会を止めて番探しをされては?え?義務?彼女は自分が殿下の番であることを知らない。溺愛まであと半年〜
降魔 鬼灯
恋愛
コミカライズ化決定しました。
ユリアンナは王太子ルードヴィッヒの婚約者。
幼い頃は仲良しの2人だったのに、最近では全く会話がない。
月一度の砂時計で時間を計られた義務の様なお茶会もルードヴィッヒはこちらを睨みつけるだけで、なんの会話もない。
お茶会が終わったあとに義務的に届く手紙や花束。義務的に届くドレスやアクセサリー。
しまいには「ずっと番と一緒にいたい」なんて言葉も聞いてしまって。
よし分かった、もう無理、婚約破棄しよう!
誤解から婚約破棄を申し出て自制していた番を怒らせ、執着溺愛のブーメランを食らうユリアンナの運命は?
全十話。一日2回更新
7月31日完結予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる