世界に女は自分だけ妊娠して人間を救え「断る！私は子供は産まないし結婚しない」特別に重要な女性の幸福な独身生活

第7話 男の甘美な誘惑には負けません

愛は異世界で第二の人生がスタートした。この世界は魔法が存在するファンタジーな世界。女性がいなくなって世界が危機に陥って愛が召喚される。子供を作ってほしいと頼み込む国王カルロスと王子アルシオンの熱心な申し出にも愛はきっぱり拒絶したのだった。

理由は生涯を独身でいることを決意し、異世界でもそのスタンスを貫き通す姿勢をとっただけのこと。でありながら愛も少しずつ変わり始め、結婚はしないという考え方のまま恋愛の相手を求めるようになる。

「アイ様おはようございます」
「おはよう」

次の朝早く愛の部屋のドアをノックする音が響いていた。部屋に入ると愛の近くに寄って腰をかがめて丁寧に挨拶をした。顔を上げた若い男性の三人は顔のタイプに差はあれ揃って眉目秀麗びもくしゅうれいだ。男たちは並んで微笑むと愛は軽く挨拶をした。

愛は城に住むことになり何十もある部屋の中で一番いい部屋をあてがわれた。広い部屋には絵をはじめとする高価な美術品がずらりと並べられて室内には豪華な装飾が施されていた。愛は最初に部屋に入ったときは緊張した様子で動きまわっていました。

「ちょっと!?待って――」

愛は戸惑ったように声を出して、どうしていいのか分からない顔をした。部屋に入って来た男たちが愛に近寄ってきて、そのうちの一人が熱烈なキスをしてきた。なので愛の反応はむしろ当然とでもいうべきものであった。

「いきなり何をするの！」
「アイ様、私たちは朝のお慰めに参りました」

唇を奪われた愛は怒りがあふれ出てくる。悔しさでぶるぶる震えて信じられないという視線を向けて非難するように声を放つ。両手で押し返すと男はふっと後ろに下がり冷静な顔で口を開いた。

「私たちはカルロス王に命じられてアイ様を担当することになり派遣されてきました」
「担当？私と何をするの？」
「アイ様の妊娠をお手伝いをする役目でございます。アイ様と子作りできることを光栄に思っております」

担当を務めることが決まったと言うが愛は不思議そうな顔で尋ねた。要するに愛と肉体関係を持つことをカルロス王の名において許された男たち。

カルロス王は昨日のうちに優秀な男を呼び寄せ、大臣たちと夜中すぎまで真剣に検討して任命した。器量に秀才に人柄など全てを兼ね備える超エリート階層の男たちだった。

「あなた達では駄目です！」
「アイ様？」
「どうしてですか？」
「私たちに何かご不満でも？」

愛は断固拒否という姿勢を崩さない。この女性はただ者ではない……自分の容姿に絶対の自信があり色気を覗かせて愛と関係を持ち、一線を超えた仲になろうとしていた男たちは目の前の現実が受け入れられなくて顔に驚きが浮かんでいた。

愛は映画俳優のような彫りが深い整った顔だちの男たちに言い寄られキスをされた。普通の女性なら自分の意志を制御する事は難しかっただろう。だが気高き女性の愛は誘惑に打ち勝ち男たちを退ける。

よく見ればどこにでもいるような安っぽい美形の男じゃないの？愛は男たちの顔面を冷静に分析していました。