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「この前の写真は相当喜んでいただけましたよね?」
「だ、誰が喜ぶものですか!」

数週間後再び訪れてアメリアに苦痛を与えるイザベラ。この間挑発するように見せられた彼の写真を嬉しかった?とこちらの神経に障ることを平然と言ってきます。

幼馴染は人の弱みを握っている人でなしだと、アメリアは身にしみて感じる。だが、次の一言で腹わたが煮えくり返る。

「あれからノアには抱かれていないそうですね?」
「うるさい!」

イザベラは彼と体を重ね合わせていますか?と悪そうな顔で尋ねてきた。もうあなた達の夫婦のことは何でも分かっていますよ?そんな風な気配を匂わせている。

アメリアは忍耐が限界に達して叫ぶ。腹の底から出した声は遠くまで響き渡っていた。けれど、イザベラは少しも動じないどころか涼しい表情で鼻先で笑う。

本音は彼に抱かれたい……。だけどあの写真を見せられてからは、いくら愛してやまない彼でもアメリアはそういう気分には簡単になれませんでした。


「アメリア今日いいかな?」
「ごめんなさい……疲れてるの……」

最近、妻から夜のお誘いをねだられなくて彼のほうからモーションをかけました。ところが、沈鬱な面持ちで断られます。

「どこか具合が優れないのか?」
「ううん、大丈夫」
「そう……それならいいけど……何か困ったことがあったら相談してね。僕達は夫婦なんだから」
「ノアありがとう」

彼は不思議な顔で問います。何か病気をしてないのか?と妻の体調を気にするほどです。アメリアは首を振って大丈夫と消え入りそうな声で答えました。

以前よりも元気がないと一目見て分かります。しかし夫はそれ以上は追及しませんでした。何かあるな?とは思いましたが、彼女が言いたくなったらそう遠くない将来話してくれるよな……?そんな考えを巡らせる。

「奥様?そんなに感情的にならないでくださいね?」
「誰のせいで怒ってると思うの!」
「フフッ……奥様も辛いですよね?ノアがいつも隣に寝ているのに……愛してもらえなくて寂しいでしょう?」

本当に礼儀をわきまえない恥知らずな幼馴染です。アメリアのことをイラつかせる天才と言える。夫の口から私達の最近の関係を教えてもらった事は予想はしていました。

それでもアメリアは気持ちを抑えられない。敵意の視線を向けてイザベラを睨み続ける。


「私とノアが二人でどんな感じで過ごしているか拝見したくありませんか?」
「ど、どういうこと!?」

少しの間、互いに沈黙しているとイザベラは妙な事を発言する。アメリアは理解が追いつかなくてひどく動揺した。
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