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「それではノアと離婚してくれますか?」

アメリアの汚れなき純粋な心の中を見透かしたように、イザベラは人の悪い笑みを浮かべながら続けます。

やっぱりそれが狙いなのね……なんて恐ろしい卑劣な女なの……。ノアはもう身も心もイザベラのものになってしまったの?私に勝ち目はないの?アメリアは心を痛めながら自問自答した。

したり顔のイザベラは、幼馴染という事もあって彼のことを何でも把握している様子。

「ほら少しお腹が大きくなったでしょう?」
「……?」
「ノアと私の子供が成長している証拠ですね」
「……!!」

彼と幼馴染は一般的には人目をはばかる恋をしていますが、完全に愛人の域を超えた不健全な関係になっているのは確実。

イザベラは自慢げに服をめくってお腹を見せてきました。イザベラはお腹が大きくなったと言いましたが、正直アメリアには分かりませんでした。でも一方で怒りが湧き、しかめ顔で睨みつけて黙り込む。

「ノアは私に会った時は、いつもお腹を優しく撫でてくれるんですよ?」
「……」
「奥様も撫でてみますか?」
「結構よ!」
「それは残念です。でも奥様に触られたら、お腹の子供が驚いて泣いちゃいますね」

余裕にあふれた声でアメリアを挑発してきます。事もあろうにイザベラはとんでもない発言をしました。私と彼の愛の結晶が詰まっているお腹に触ってみない?

アメリアは怒りと興奮と悔しさで繰り返し地団太を踏む。誰が触るものですか。ふざけるのもいい加減にしてほしい。神経が張り裂けそうになる。

イザベラが部屋を退出すると、全身に鳥肌が立っていることに気がつきました。アメリアはいつしか呆然とした顔で、生きる気力を失ったまま眠気に負けそうになっていた。


「……アメリア……アメリア……」
「……ノ……ア?」
「こんなところで寝たら風邪をひくよ」

しばらく経つと帰宅したノア。ソファに座りながら可愛らしい寝息を立てていた妻を見つける。声をかけてみますが、直ぐに反応がありません。深い夢の中にいるようです。

でも彼は諦めずに話しかけ続けると、アメリアが寝ぼけながらまだ半分眠った状態で返事をする。ノアは一段と柔らかく思いやりのある声で気遣います。

こんな場所で居眠りしてたら体調を崩すよ?ゆったりと優しい笑顔でそう言うと、突発的にアメリアをお姫様抱っこのように抱きかかえる。

「あ、ちょっと」
「僕がベッドまで運んであげる」

彼の不意打ちにアメリアは戸惑った声を出して慌てますが、無意識のうちに心が躍っていてそのままベッドまで連れて行かれました。


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新作「聖女の魔力を失い国が崩壊。婚約破棄したら、彼と幼馴染が事故死した。」を投稿しました。よろしくお願いします。
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