妹の婚約者が子供の時に好きだった人で誘惑すると、彼は妹に婚約破棄を告げた

ぱんだ

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第4話

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「どうしてあの時キスしたのか思い出した」
「思い出してくれたの?」
「うん」
「私の初恋だったんだよ」

二人は体を重ねた後ハリーが語り始める。ヴィオラは彼とこんな日がいつかくるとは心のどこかで思っていて幸せな心地だった。

どうやらハリーは遠い過去の出来事を思い出していた。ヴィオラと寝転がっていると記憶がよみがえり懐かしい気持ちで彼女の手を繋ぐ。

ヴィオラは嬉しそうな顔をすると自然に涙が頬を落ちると今更ながら初めて恋をした異性だと本音を明かす。聞きたいことが山ほどあるのでそれからも二人はベッドの上で時を埋めるように笑みを絶やさず話し続ける。

「キスしたのは泣いているのをほっとけなかったから」
「それだけ?」
「愛らしい子だったから瞬間的に気がついたらしてた」
「今もそうなの?」
「うん」

パーティの隅で泣いていたヴィオラをとても寂しそうに見えたハリーは自分が慰めたいと思い引き寄せられるみたいに自然としたと答える。

二人は数秒間視線を送り合うと徐々に互いに顔を近づけて口付けを交わす。今日のような楽しくて好きな人と一緒にいられる温い幸福を感じた時間が永遠に続きますようにと願っていた。

数日経って妹のイザベルと両親が予定通り旅行から帰って来た。だが二人は人目に付かない様にこっそり会って逢い引きを楽しみ無我夢中で愛し合う日常が続く。

「こんな関係になってなんかごめん」
「ハリーは悪くない」
「僕が迫ったから」
「私が悪いよ。本当に妹にとって最低な姉だよね」

二人でいる時に不意に彼が切り出す。現実に戻ったみたいな気持ちになり平和な日々が遠のいていく気がした。だけど二人の中で別れると言う選択は欠片もない。

幸せで出会わなければ良かったなんて考えていなく自分達の世界に入り込み愛しあっている。ただ二人の終着点はどこにあるのか分からなかった。

「イザベルと婚約してる今となっては遅いけど…」
「真面目な顔でなに?」
「本音を言うと前からヴィオラのことは知ってたんだ」
「どういうこと?」
「あのパーティでキスした時から好きになってずっと気になり、それでヴィオラに近づくためにイザベルと…」
「そうなの…」
「まさかイザベルと結婚するなんてね」
「それじゃあ私のことが好きだから妹と付き合ったってこと?」
「うん」

ハリーは先ほど何か言おうとしたが思い直したように口をつぐんでしまった。そのことをヴィオラに伝える決心がついて心の扉を開ける。

何を隠そうハリーはヴィオラのことをずっと以前から気がついていて想い焦がれいつも遠くから眺めていた。姉のヴィオラと親しくなりたくて妹イザベルと恋人関係になったと告白する。
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