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第17話

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「あなたも隠れていないで何かおっしゃってください」
「なあ、僕達は何もなかったよな?」
「殿下はお黙りなさい!」

アルフィにはもともと浮気癖があり、オリビアの妹エリーもその中のひとりでした。この浅はかな頭の獣が……抱き合ってキスして何もなかったはないだろう。途中までならいいのか?オリビアが現れなかったらどうなっていたのかなんて聞かなくても分かる。

自己正当化に執拗な力を注ぐ王子なのである。女性には後で話を聞くつもりで、彼と二人きりで説明を聞く。病室を訪れるまでは夢にも考えていなかった。

「殿下まずは服の乱れを整えてください」
「僕にはやましいことのある気持ちはないからこのままでいい」

オリビアが服を着ろと言ってもアルフィは聞き入れず、ほぼ全裸のまま強気に主張するスタンスをとっていた。彼は痩せているが長身でたくましい筋肉をしてスタイルはいい。

王子の言い訳に半ば感心し半ば呆れてしまう。だが終始、一貫性がなくその疑いが消えることはない。昔は好きで何度も愛し合ってきた男が、激しく詰め寄り筋の通らない意見を繰り返してくる。彼女は恐ろしいものを感じます。

「婚約者の僕の言う事が信じられないのか?」
「この場を目撃して何を信じろと言うのですか?それにもう婚約者ではございません。殿下の頭はぼんくら過ぎます」
「そんなことを言うな!ふざけ合ってただけで変な気持ちはない」
「では私が他の異性と抱き合っていたら、どのように思われますか?」
「それは許さん。人として守るべきモラルが欠如している恋人だと思う」

互いに噛み合わない言い合いが続く。そんな理屈付けで納得できると思っているのだろうか?

自分が愛しているのはお前一人だ。そんな言葉まで出してきて未だに未練を持っている彼は、気違いの天才になるのかもしれない。

ごまかそうとしたって、その手はくわないけど、何故彼は謝ろうとしないのか。態度が従順で自分が悪いことを認めれば、許さないなりに彼女の溜飲も下がるだろう。

だがとても正気の沙汰とは思えない。彼はどうかしているのだ。ほとんど軽蔑しきった顔つきの彼女は冷水を浴びせられたように、苛立ちは引いてしまっている。別れているので正直言って彼に対する気持ちは欠片もなかった。

「殿下が神妙に反省さえすれば許しましたけど……」
「じゃあ謝る。ごめんなさい」
「もう遅い!」

アルフィは負けず嫌いな性格で付き合っている時は、自分勝手なことを言ってきてもオリビアが温和な心で受け止めてきた。最終的には彼女がいつも折れる形で乗り越えてきたカップル。

彼のそういうところも含めて好きになり愛していた。一生懸命尽くそうとして努力を惜しまなかった。しかし彼の中ではそれが常識になっていて彼女を軽く見ていたのです。
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