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第22話
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オリビアはなぜそんなに至れり尽くせりで、自分によくしてくれるのか把握できませんでしたが、心地良い気持ちになっていました。
湯に浸かって食事を終わらせると、オリビアはお手伝いさんに部屋へ案内された。疲れていたのですぐに横になり枕に頭をあずける。その晩、少年の兄がやってきました。
「あの、少しよろしいですか?」
「何かご用でしょうか?」
薄暗い中で部屋の外から声が聞こえてオリビアはとっさに起き上がると、声のしたほうに向き直って丁寧に応対した。
「話があります」
男は夜中に忍び込んでオリビアを口説こうとしているのだ。これまで男は弟が連れてきてくれた女性をいつも口説こうとするが失敗に終わっていた。だが今日こそ、心を引き締めてこの勝負に勝利するという決心する。
「今日は遅いので明日お聞きします」
オリビアは男の言葉を払いのける。でも拒まれたことは何度もありました。なので一度拒まれた程度では心は折れない。
「大事な話なのです」
「だから明日の朝聞きますから……」
「明日は駄目です。今話があるのです」
男は何度も声をかけてきて、正直なところオリビアは少し参りました。あんまりしつこいので気持ちを爆発させる。
「あなたはなんて失礼極まりない男なのですか?夜中に恋人でもないのに部屋に入ろうとするなんて何を考えているの?」
烈火の如く怒りの感情が噴出したオリビアに、男は何も言い返せず戸惑い気味の表情で立っていた。
その時、争うような声が耳の中に流れてきた家のお手伝いさんが、急いで駆けつけて来た。誰かが近づいてくる気配を感じ取った男は、大慌てで逃げるように自分の部屋に戻っていく。
「どうかされましたか?」
お手伝いの女性はオリビアの部屋に向かって声をかけた。
「大丈夫です。でもさっきまで部屋の前に男がいました。断りましたが部屋に入れてほしいと何度も頼まれて、あの声はご長男だと思いますけど……」
「またですか……」
オリビアはまだ興奮冷めやらぬ面持ちで、相手の声に敏感に反応する。何が起こったのかオリビアが簡単に説明すると、呆れたような声で語り始める。
少年の兄は、少年が連れてきた女性を夜中になると、全力で言い寄るがいつも振られているらしい。
だが今回ばかりは本気で、美しさが滲み出ているオリビアに出会って顔を見た時から、胸が異常なほどときめいて一目ぼれしてしまった。
湯に浸かって食事を終わらせると、オリビアはお手伝いさんに部屋へ案内された。疲れていたのですぐに横になり枕に頭をあずける。その晩、少年の兄がやってきました。
「あの、少しよろしいですか?」
「何かご用でしょうか?」
薄暗い中で部屋の外から声が聞こえてオリビアはとっさに起き上がると、声のしたほうに向き直って丁寧に応対した。
「話があります」
男は夜中に忍び込んでオリビアを口説こうとしているのだ。これまで男は弟が連れてきてくれた女性をいつも口説こうとするが失敗に終わっていた。だが今日こそ、心を引き締めてこの勝負に勝利するという決心する。
「今日は遅いので明日お聞きします」
オリビアは男の言葉を払いのける。でも拒まれたことは何度もありました。なので一度拒まれた程度では心は折れない。
「大事な話なのです」
「だから明日の朝聞きますから……」
「明日は駄目です。今話があるのです」
男は何度も声をかけてきて、正直なところオリビアは少し参りました。あんまりしつこいので気持ちを爆発させる。
「あなたはなんて失礼極まりない男なのですか?夜中に恋人でもないのに部屋に入ろうとするなんて何を考えているの?」
烈火の如く怒りの感情が噴出したオリビアに、男は何も言い返せず戸惑い気味の表情で立っていた。
その時、争うような声が耳の中に流れてきた家のお手伝いさんが、急いで駆けつけて来た。誰かが近づいてくる気配を感じ取った男は、大慌てで逃げるように自分の部屋に戻っていく。
「どうかされましたか?」
お手伝いの女性はオリビアの部屋に向かって声をかけた。
「大丈夫です。でもさっきまで部屋の前に男がいました。断りましたが部屋に入れてほしいと何度も頼まれて、あの声はご長男だと思いますけど……」
「またですか……」
オリビアはまだ興奮冷めやらぬ面持ちで、相手の声に敏感に反応する。何が起こったのかオリビアが簡単に説明すると、呆れたような声で語り始める。
少年の兄は、少年が連れてきた女性を夜中になると、全力で言い寄るがいつも振られているらしい。
だが今回ばかりは本気で、美しさが滲み出ているオリビアに出会って顔を見た時から、胸が異常なほどときめいて一目ぼれしてしまった。
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