「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。

佐藤 美奈

文字の大きさ
1 / 39

第1話 子供が夫の顔に似てない

しおりを挟む
ソフィアとジャックは運命的で熱烈な恋愛の末ゴールインして夫婦になった。公爵位を持つ高位貴族のジャックと結婚し、伯爵家の令嬢であったソフィアは公爵夫人になる。二人の子供に恵まれているし、週末には親しい友人たちとパーティはもちろん食事を共にし、実に幸福な結婚生活でソフィアはいつも陽気で幸せな気分に浸っていられた。

「ソフィア」
「何?」
「今日は帰ってから話がある」
「今言えない事?」
「とても大切なことだから」
「そう、わかりました」

その日、夫のジャックはそう言って出かけた。かなりを抱えているのかと妻のソフィアは、育児をしながらとても心配で不安になっていた。ジャックは何を言いたいのだろう? と首をかしげながら過ごした。だがいくら考えてもさっぱり見当がつかなかった。

夕方近くになってジャックが帰宅し、日常会話をするようにごく自然にソフィアはおかえりなさいと迎える。その後はいつもと変わらず食事をしてお風呂へ入り、部屋に戻って落ち着いていると夫婦の話し合いが始まった。

「以前から思っていたが、リアムが僕に似てないよな?」

二人は向かい合ってソファに腰をおろしているとジャックが口を開いた。ちょっと責めるようにそう言われたソフィアは、意外という顔ですぐに言葉が出なかった。

そう言われれば、そうかもしれない。夫婦には二人の子供がいて、上の子供のトーマスはジャックと似ているけど、確かに下の子供のリアムはさっぱり似てない。でも両方ともジャックの子供であるとソフィアは神に誓って言える。なぜならソフィアはジャック以外の男性と体の関係を持ったことがないからだ。

「間違いなくあなたの子供です」

長男は夫と似ているけど次男は似てないけど、ソフィアには過去にやましいことは何もないので、胸を張って紛れもなく夫のジャックの子供であると主張した。

「――本当に心当たりがないのか?」

しばらく考えこんだ後、探るように目を光らせてジャックは言った。その顔からはかなり疑ってかかっているのがわかる。こんなことを言えばになるかもしれない。しかしジャックのほうもそれなりの覚悟を決めて聞いたので、簡単に納得することは出来なかった。

長男のトーマスは10歳で次男のリアムは7歳。生まれてきた子供は二人とも健康的にも問題はなく順調に成長していた。だが大きくなるほどジャックは心の中で思うようになる。

(下の子供が全然僕に似ていない)

前から似てないと思って悩んでいた事を、結婚式に呼んだ親しい友人たちに相談すると、子供の写真を見せたら明らかにジャックと似てないと言われた。もしかしてお前の子供じゃないんじゃないのか? と冗談半分で発したセリフで悩み、とうとう我慢しきれなくなって聞いてしまったというわけだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。

アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。 今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。 私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。 これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。

その結婚は、白紙にしましょう

香月まと
恋愛
リュミエール王国が姫、ミレナシア。 彼女はずっとずっと、王国騎士団の若き団長、カインのことを想っていた。 念願叶って結婚の話が決定した、その夕方のこと。 浮かれる姫を前にして、カインの口から出た言葉は「白い結婚にとさせて頂きたい」 身分とか立場とか何とか話しているが、姫は急速にその声が遠くなっていくのを感じる。 けれど、他でもない憧れの人からの嘆願だ。姫はにっこりと笑った。 「分かりました。その提案を、受け入れ──」 全然受け入れられませんけど!? 形だけの結婚を了承しつつも、心で号泣してる姫。 武骨で不器用な王国騎士団長。 二人を中心に巻き起こった、割と短い期間のお話。

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

誓いを忘れた騎士へ ―私は誰かの花嫁になる

吉乃
恋愛
「帰ってきたら、結婚してくれる?」 ――あの日の誓いを胸に、私は待ち続けた。 最初の三年間は幸せだった。 けれど、騎士の務めに赴いた彼は、やがて音信不通となり―― 気づけば七年の歳月が流れていた。 二十七歳になった私は、もう結婚をしなければならない。 未来を選ぶ年齢。 だから、別の男性との婚姻を受け入れると決めたのに……。 結婚式を目前にした夜。 失われたはずの声が、突然私の心を打ち砕く。 「……リリアナ。迎えに来た」 七年の沈黙を破って現れた騎士。 赦せるのか、それとも拒むのか。 揺れる心が最後に選ぶのは―― かつての誓いか、それとも新しい愛か。 お知らせ ※すみません、PCの不調で更新が出来なくなってしまいました。 直り次第すぐに更新を再開しますので、少しだけお待ちいただければ幸いです。

【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」 そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。 彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・ 産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。 ---- 初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。 終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。 お読みいただきありがとうございます。

初恋だったお兄様から好きだと言われ失恋した私の出会いがあるまでの日

クロユキ
恋愛
隣に住む私より一つ年上のお兄さんは、優しくて肩まで伸ばした金色の髪の毛を結ぶその姿は王子様のようで私には初恋の人でもあった。 いつも学園が休みの日には、お茶をしてお喋りをして…勉強を教えてくれるお兄さんから好きだと言われて信じられない私は泣きながら喜んだ…でもその好きは恋人の好きではなかった…… 誤字脱字がありますが、読んでもらえたら嬉しいです。 更新が不定期ですが、よろしくお願いします。

妻の私は旦那様の愛人の一人だった

アズやっこ
恋愛
政略結婚は家と家との繋がり、そこに愛は必要ない。 そんな事、分かっているわ。私も貴族、恋愛結婚ばかりじゃない事くらい分かってる…。 貴方は酷い人よ。 羊の皮を被った狼。優しい人だと、誠実な人だと、婚約中の貴方は例え政略でも私と向き合ってくれた。 私は生きる屍。 貴方は悪魔よ! 一人の女性を護る為だけに私と結婚したなんて…。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 設定ゆるいです。

【完結】生贄になった婚約者と間に合わなかった王子

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
フィーは第二王子レイフの婚約者である。 しかし、仲が良かったのも今は昔。 レイフはフィーとのお茶会をすっぽかすようになり、夜会にエスコートしてくれたのはデビューの時だけだった。 いつしか、レイフはフィーに嫌われていると噂がながれるようになった。 それでも、フィーは信じていた。 レイフは魔法の研究に熱心なだけだと。 しかし、ある夜会で研究室の同僚をエスコートしている姿を見てこころが折れてしまう。 そして、フィーは国守樹の乙女になることを決意する。 国守樹の乙女、それは樹に喰らわれる生贄だった。

処理中です...