「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。

第2話 検査を受けないなら離婚

「どうすれば信じてくれるの？」

ソフィアには罪悪感のような後ろめたい気持ちは一切ありません。ですが人の心の中を読めたり、過去の出来事を知ることが出来るような超人的な人間はいないので、ジャックには本当の事を言っているのか分からない。自分の無実を証明したい思いもあるソフィアは意見を求めることにした。

「病院に行って検査をしてほしい」
「そんな……」

医療の専門家に鑑定してもらうために病院に行ってほしいとジャックは言った。あまりにも唐突にやってきた言葉に、ソフィアは今まで信頼関係を築いていた夫婦の絆が失われていくような気がして悲しくなる。

「いさぎよく検査を受けないなら君の過去に秘密があると確信するから離婚の手続きを進めなければならない。当然だが高額の慰謝料を支払ってもらう」

ジャックは耳を疑うようなことを言ってきた。医療機関で自分と子供の適切な検査を受けなければ離婚をすると脅し文句を並べてくる。けれど負い目のないソフィアは穏やかな顔でちっとも動じない。そうはいってもジャックへの信用が一気に地に落ちた。

「あなたの気持ちはよくわかりました。あなたの条件通りに検査を受けてもいいですよ。ですがあなたの子供だと判明したらどうするつもりですか？」

まだ夫婦として後戻りはできると思いながら、不意に口元を引き締めて念押しするように聞いた。ソフィアはジャックの事を愛しているので、最後のチャンスをあげることにした。離婚をチラつかせ慰謝料まで請求しこれだけ本気で疑っておいて、自分の子供だと科学的に証明されたらどうするのかと質問したのだ。

「その時は僕の子供だと分かって良かったということで今まで通りでいいだろう」

ジャックは検査をしないなら離婚と慰謝料を要求しておきながら、自分の子供だと確かめられたら以前と変わらず生活しようと言った。それも悪びれる風も見せずに少し面倒くさそうに淡々と話した。

これには許せなくてソフィアは眉間をかすかに寄せていた。ソフィアはジャック以外の男性と寝たことはないので、勝ちは決まっているがジャックの態度が気に食わない。妻にだけ一方的にペナルティを要求するやり方に納得ができなかったので、夫にも同じくらいの罰がないと検査を受けたくなかった。

「それは都合がよすぎます。何事もなかったように生活なんて私はできません」  

ソフィアは夫の考えをおとなしく受け入れるわけにはいかないと、視線を逸らさずに一段と改まった声で言った。もうジャックに対する不信感を抑えられなくなっていました。自分に対して宣戦布告を行ったと判断して、昨日までの夫だとは思わないようにした。