「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。

佐藤 美奈

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第33話 不幸な結婚生活に涙し妻は夫と離婚を望む

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「なに? 開き直るの? あなた謝りに来たんじゃないの?」
「奥様申し訳ありません。感情が高ぶってつい調子に乗ってしまいました。お許しください」

ソフィアが詰問するような口調でたずねた。マリアはハッと我に返って慌てて頭を下げた。マリアは本音をうっかり言ってしまい平謝りで非礼を詫びて号泣しながらお暇した。

「――マリアが来たのか?」
「はい。これを持ってきました」
「ブハッ!!」

夕食後にコーヒーを飲んでいた時、マリアが訪ねてきたことを夫に話した。夫は少し驚いた感じで聞き返してきた。マリアに渡された鉄製の鞭を夫に見せたところ、思いがけない物に驚いて口に含んでいたコーヒーを吹き出していた。

「ムチだと!?」
「あなた?」
「これは……僕の欲しがっていた。ゴホンッ」
「これをどうしましょうか?」
「……」

ジャックは口を拭いて冷静になれない態度でびっくりして目を開いている。鞭を眺めながら言うと、ばつが悪そうにゴホンと咳払いした。ソフィアが声をかけますがジャックは何か悩んだ顔をして黙ってしまった。

しばし重苦しい沈黙に支配された。やがて夫が口を切る。

「本当にこれをマリアが持ってきたのか?」
「今日の昼過ぎ頃に来て、これであなたを叩けと言われて困りました」
「叩けだって! 冗談だろう? マリアはどうしたのかな? あんな良い子がそんなひどい事を言うはずないのに……」

耳を疑う言葉が夫の口から出た。妻を疑いマリアを助けるような事を言い始める。夫とマリアの絆はかなり根深いものを感じさせる。それとも夫婦関係の悪化を企んだマリアの作戦なのかもしれません。

「私が嘘をついているというのですか?」
「ソフィアを信じているが本当にマリアがこんな物を渡して叩けと言いに来たのか?」
「私を信じると言いながら、あの人を庇うような事を言うのですね」
「すまない悪かった。僕が間違っていた」
「最低な人同士あなたは、あの人とお似合いかも知れません」

実はマリアは結婚を意識していた恋人と別れて、精神的に病んでしまいソフィアに嫌がらせをしにきた。マリアはソフィアの精神を乱して夫婦仲を揺さぶってやろうと思って訪問したのだ。

ジャックはマリアと別れてから毎日やり場のない不満を抱きながら生活していた。大きくため息をつき心ではマリアを忘れられなくて一緒に過ごしたいと思っていた。でもまた家庭を裏切るわけにもいかないと心理的な葛藤を何度も繰り返した。

「――子供達のために両親がいたほうがいいと考えて離婚を留まっていましたが、今はあなたと別れたいと思っています」

次の日の朝。朝食を食べ終えて二人きりになると妻が言い始める。昨日夫のマリアへの気持ちを感じ取った妻は離婚を切り出した。

「それだけは待ってくれ」
「本当はあの人と一緒にいたいのはわかっています」
「そうかもしれない。マリアの事を心では嫌いになれなくて……」

別れると言われると夫はすぐに顔が青ざめて悲しげにすがるように見つめて口を開く。夫には嘘でもマリアの事は嫌いになったと言ってほしかった。

正直な気持ちなのかもしれませんが、妻としては複雑な思いのこもった顔をして言葉を返した。

「それならよろしいじゃありませんか?」
「僕が悪いのに自分勝手だと分かっている。許されない事をしておきながら自分はこんなに反省しているのに、どうしてソフィアは許してくれないんだ? って毎日そう思ってしまう事が情けない」

これから先も楽しい結婚生活が送れるとは思えない。そう考えて妻は別れようと言いましたが夫は狂ったように嫌がる。

マリアに心まで奪われてしまった夫は実に勝手な言い分を語った。妻の好きだった夫は嘘の嫌いな真剣な男性でした。子供を自分の子なのかと疑い検査しないなら妻に慰謝料を請求すると脅し、裏ではマリアという若い女性と不倫までしていた。

「離婚はジャックの望んだことでしょう? 両手を上げて喜んであの人と再婚すればよろしいではないですか?」
「マリアの事を好きだとう思いはあるが愛情とは違う。愛しているのはソフィアだけだ」

ひとしきり応答が続いて説得していましたが夫は離婚には同意しませんでした。結果的にマリアの悪意に満ちた作戦は成功し夫婦仲が冷え込んでいく。周囲も羨むおしどり夫婦として知られていたが、夫の言葉から雪崩のように崩れていった。

離婚すれば夫に迎え入れられ公爵夫人になれたら狂喜乱舞は想像にかたくない。マリアは猿みたいに騒ぎまわって嬉しがることでしょう。

マリアの真情を吐露すると恋人と別れたので、ジャックかダニエルと結婚することを目論んでいる。それがマリアの真の狙いなのだ。ソフィアはそれも理解して離婚を申し出たが、夫はどうして離婚を受け入れないのか?
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