「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。

佐藤 美奈

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第34話 初体験の特別な女性には冷たくできない

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「お兄様どうかしましたか?」
「何でもないよ」

今日もダニエルが家に来てリアムとトーマスと遊んでいました。でも兄の様子がどこかおかしい。ソフィアは子供と触れ合いながらも時折、元気のない顔つきで寂しそうに笑う兄に疑惑が湧いていた。

ソフィアは子供と遊び終わって休んでいた兄に話しかけた。ダニエルはなんでもないと答えた。ソフィアは兄の事をよく知っているので勘でも推測でもなくはっきりわかる。

間違いなく隠し事をしていると感じて、妹はしつこく聞いたら兄はぽつぽつと話しはじめた。

「今マリアに毎日ストーカーされてるんだ」
「つきまとい行為をされてるの?」
「うん」

ダニエルはマリアからもう一度やり直そうと復縁を迫られていると言う。なんとか退ける方法はないかと頭を働かせていますが、思い浮かばず困り果てていると話した。

実はソフィアもストーカーまがいの行為をされていたことが過去にあり学園に通っていた時に被害を受けた。しつこさや強引さには怒りを覚えたけど、得体の知れない恐怖心に包まれた。ストーカーという異常者に追われていたことを思い出して、ソフィアは顔がみるみる青ざめて目に焦りがにじむ。

「あの人はお兄様との結婚を夢見ているのでしょうね」
「……そうかもしれない。でも私は結婚するつもりはないし突然姿を現すマリアに怖くなってる」

言いづらい話なのでダニエルは躊躇した顔をしていたが、妹の言葉に後押しされて深刻な表情で再び重い口を開く。いつも気がついたらマリアが後ろにいて、ひっそりとした気配にぞっと寒気がしてほとほと困り果てていると話した。

「お兄様なら魔法で対処されてはどうですか?」

と言ってもマリアがストーカー行為を繰り返していても世界一の精霊魔法使いの兄なら、いくらでも対処するための様々な方法は身につけているのでは? とソフィアは質問した。

マリアが近づいてこないように防御魔法を張っておいたり、兄の半径100メートル以内の近隣を徘徊しないようにするなど何でもできそうな気がするが。

「マリアは普通のにすぎない。魔法を使ってまで傷つけたり遠ざけることはしたくない」
「そうですか」

ダニエルは女性に優しく甘やかし可愛がる事が生き甲斐で、女性への紳士的な振る舞いを常に心がけている。どんなにしつこく後をつけられても残酷な仕打ちはできないと言う。

当然ながらダニエルの初体験の相手で大人の階段をのぼらせてくれた女性である。大偉業を成し遂げさせてくれたマリアに兄は涙が出るほどありがたかった。頭が上がらない存在になり強くは言えないのが胸中の深くに秘められている。

「うぅ、うわああぁぁぁっ」

話を終えた兄の目は涙がうすく光っていた。ふいに立ち上がると泣きながら二階へ駆け上がって寝室のほうに走って行きました。

「お兄様どこへ行かれるのですか? お持ちください!」

妹は追いかけてベッドで身体を震わせて泣きつづける兄を発見した。いかにも痛々しい姿に同情を浮かべつつ哀れみの眼差しで見つめていた。

ダニエルの言い分に呆れながらもソフィアは純粋な心を持った兄を手助けしたくなり、打ち明け話を聞いた数日後ある所にやって来た。

「――突然お伺いいたしまして申し訳ございません」

ソフィアの付き人が軽く戸を叩いても人の応答がない。少し強めに叩いたら小さな足音が聞こえてくる。

「お姉ちゃん誰?」
「息子がすみません。ところで、どちら様でしょうか?」

ソフィアの子供のリアムよりも幼い男の子が出てきて不思議そうな顔をして首を振った。その子供に追いつき後ろから声をかけたのは熟年の女性だった。やつれた顔をしているが若い頃は高い確率で美少女であったに違いない印象を受けた。
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