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第6話

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「ヘンリー王子との婚約は取りやめにするかもしれませんけど、お父様とお母様は余計な口出しはしないでください」

この話し合いの前にセシリアは両親に、これまでの事情を説明したところ、お父様とお母様は神妙な顔つきで言ったのだ。

「これまでバカ王子に付き合わせて申し訳なかった」
「あのダメ王子何を考えてるのかしら!」

思っていたよりも前向きな返事をもらえてセシリアはほっと胸を撫で下ろす。あの王子と結婚が破談になって良かったとまで言った。


そして再び話し合いの場に戻る。ヘンリーが別の自分がシャロンを好きになったなどと意味不明なことを言い出した。

すがるような眼差しで見つめてきて、実際にシャロンに相手にしてもらえなくて浮気してないのだから、婚約破棄はできないと苦しい言い訳を口にする。

王妃様は息子が悪いのを理解しているので、言い逃れが許されるような空気ではないのだが、それでも強気の自己弁護をするヘンリーはすでに気が狂っているのだ。

「こんな愚かな息子だがセシリア嬢どうか見捨てないでやってくれ」

その時、国王がセシリアの前で、いきなり土下座をしたのである。息子の一時期の気の迷いだったから許してやってほしい。お願いしますと地面に額を擦りつけた。

息子を溺愛するあまり国王が簡単に土下座までしてまうのかと、セシリアとシャロンと王妃様は一瞬驚いた顔を見せた。

「国王のお父様がここまで頭を下げているのだからセシリアは僕とやり直すべきだ!」

ヘンリーは自意識過剰の空回りを行うのです。セシリアとシャロンに王妃様は、ヘンリーの言ってることが認識できずに茫然として虚脱の状態になる。

彼は付き合っていた時から、被害妄想的な反応をすることが多々ありました。それでも好きだったので、赤ちゃんを見るように温かい目で見守ってあげていた。

でも私以外に目移りして別れてほしいなどという男には手加減なんか不要ですの!それで結局王子を許せないし、婚約解消の話し合いは物別れに終わって、また後日改めて議論することになった。

「ヘンリー王子の自己保身には呆れました」
「そうね、シャロンも話し合いに付き合わせてごめんなさい」

話し合いが終わったその日、セシリアとシャロンは一緒に食事を共にした。お気に入りの最高級ワインを飲みながら、ヘンリー王子の愚痴を言い合うことで盛り上がった。

「シャロンの足にしがみついて泣いている姿を見せられてやり直せるわけないでしょ?」
「その通り。だけどヘンリーと国王には話が通じなくて困りました」

いくら年月を積み重ねて愛情を深めていても、そんなみっともない姿を直接目撃すれば幻滅に変わって百年の恋も冷めるというものです。
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