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錆びた短刀誰のもの?
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「はぁはぁ……」
錆びた短刀を振り回す次郎とそれを見つめる二匹のゴブリン。
膠着状態が続いていた戦いについに動きがあった。
次郎が錆びた短刀を振り回す事に疲れ、一瞬全ての力が抜けたその時、飛びかかれるタイミングを見計らっていた錆びた短刀持ちのゴブリンが襲いかかる。
「ゴギャギャ!!」
その隙をついたタイミングは完璧で、もし相手が次郎では無くこの世界の兵士であっても並の兵士ならば仕留める事が出来ただろう。
しかし、次郎もただの馬鹿ではない。考え無しに錆びた短刀を振り回していたように見えて、実はそのあいだ起死回生の一手を得るためにギャグを考えていたのだ。
ギャグを考えながら錆びた短刀を振り回していたため、もしゴブリンが多少の怪我を恐れずに突っ込んできていた場合、次郎は対処する事が出来ずにやられていただろう。
(きたっ!!)
ゴブリンの錆びた短刀が次郎に届くかどうかという時に、次郎は何が起こるかわからない運次第の自分の魔法を発動させるのだった。
「その短刀は担当の者がお預かりしますっ!!!」
ギャグを言い放ち、これで何かしら起こると期待した次郎を裏切るかのように状況は変わらない。
何かしらの攻撃が発動してゴブリンを迎撃する事も無ければ、ゴブリンが転んだり吹っ飛んだりという事も無い。
もはやこれまでかと思った次郎に錆びた短刀が迫って……いなかった。
錆びた短刀を持っていたはずのゴブリンの手に何も無く、ただ拳だけが次郎に襲いかかる。
この結果にはゴブリンの方も驚いており、拳に力を入れるのを忘れていた。
力のこもっていない拳を受けた次郎はここが反撃のチャンスとばかりに自らの手に持つ錆びた短刀をゴブリンの胸元に突き立てる。
ゴブリンは悲鳴を上げながら仰け反り、その後ろから素手のゴブリンが姿を現し、次郎に襲いかかる。
次郎はとっさにもう一つの錆びた短刀を投げつける。
これは素手のゴブリンには避けられたものの隙を作ることが出来た。
だが、次郎はこれで丸腰。
ゴブリンと次郎が殴り合いになった場合平和な日本で喧嘩なぞせずに育った次郎が勝つ確率はとても低いだろう。
しかし、天は次郎を見放していなかった。
ふと違和感を覚え、自らのズボンのポケットを見るとそこには先程までは無かったはずの錆びた短刀。
(そうかっ!さっきの魔法でやつの錆びた短刀が俺のズボンのポケットに移っていたのか!)
その錆びた短刀をポケットから抜き放ち、ゴブリンを迎え撃つ。
ゴブリンは相手が丸腰だと思っていたため驚き慌て、防御態勢に移ろうとする。
次郎はそのゴブリンを押し倒すようにして襲い掛かり、馬乗りになり錆びた短刀を何度も突き立てる。
暫く錆びた短刀を突き立てるとゴブリンは死に絶え、そこに残るのは胸元に錆びた短刀を突き立てられ苦しみながらもがくもう一匹のゴブリンと返り血や土埃で汚れた次郎だけだった。
次郎は苦しむもう一匹のゴブリンに止めを刺すと木の影に姿を隠し、その疲れた身体を休めるために目を閉じた。
錆びた短刀を振り回す次郎とそれを見つめる二匹のゴブリン。
膠着状態が続いていた戦いについに動きがあった。
次郎が錆びた短刀を振り回す事に疲れ、一瞬全ての力が抜けたその時、飛びかかれるタイミングを見計らっていた錆びた短刀持ちのゴブリンが襲いかかる。
「ゴギャギャ!!」
その隙をついたタイミングは完璧で、もし相手が次郎では無くこの世界の兵士であっても並の兵士ならば仕留める事が出来ただろう。
しかし、次郎もただの馬鹿ではない。考え無しに錆びた短刀を振り回していたように見えて、実はそのあいだ起死回生の一手を得るためにギャグを考えていたのだ。
ギャグを考えながら錆びた短刀を振り回していたため、もしゴブリンが多少の怪我を恐れずに突っ込んできていた場合、次郎は対処する事が出来ずにやられていただろう。
(きたっ!!)
ゴブリンの錆びた短刀が次郎に届くかどうかという時に、次郎は何が起こるかわからない運次第の自分の魔法を発動させるのだった。
「その短刀は担当の者がお預かりしますっ!!!」
ギャグを言い放ち、これで何かしら起こると期待した次郎を裏切るかのように状況は変わらない。
何かしらの攻撃が発動してゴブリンを迎撃する事も無ければ、ゴブリンが転んだり吹っ飛んだりという事も無い。
もはやこれまでかと思った次郎に錆びた短刀が迫って……いなかった。
錆びた短刀を持っていたはずのゴブリンの手に何も無く、ただ拳だけが次郎に襲いかかる。
この結果にはゴブリンの方も驚いており、拳に力を入れるのを忘れていた。
力のこもっていない拳を受けた次郎はここが反撃のチャンスとばかりに自らの手に持つ錆びた短刀をゴブリンの胸元に突き立てる。
ゴブリンは悲鳴を上げながら仰け反り、その後ろから素手のゴブリンが姿を現し、次郎に襲いかかる。
次郎はとっさにもう一つの錆びた短刀を投げつける。
これは素手のゴブリンには避けられたものの隙を作ることが出来た。
だが、次郎はこれで丸腰。
ゴブリンと次郎が殴り合いになった場合平和な日本で喧嘩なぞせずに育った次郎が勝つ確率はとても低いだろう。
しかし、天は次郎を見放していなかった。
ふと違和感を覚え、自らのズボンのポケットを見るとそこには先程までは無かったはずの錆びた短刀。
(そうかっ!さっきの魔法でやつの錆びた短刀が俺のズボンのポケットに移っていたのか!)
その錆びた短刀をポケットから抜き放ち、ゴブリンを迎え撃つ。
ゴブリンは相手が丸腰だと思っていたため驚き慌て、防御態勢に移ろうとする。
次郎はそのゴブリンを押し倒すようにして襲い掛かり、馬乗りになり錆びた短刀を何度も突き立てる。
暫く錆びた短刀を突き立てるとゴブリンは死に絶え、そこに残るのは胸元に錆びた短刀を突き立てられ苦しみながらもがくもう一匹のゴブリンと返り血や土埃で汚れた次郎だけだった。
次郎は苦しむもう一匹のゴブリンに止めを刺すと木の影に姿を隠し、その疲れた身体を休めるために目を閉じた。
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