ドリームミュージカル

ぱっりん

文字の大きさ
5 / 61
高校一年生、桜川高等学校合唱部

4話「バラバラミュージック」

しおりを挟む
何だかんだで合唱部に入る事になった私。
新顧問、どんなか気になるし
やってみるかなーと、甘い気持ちで、部活のドアを開いた。
すると、歌乃はすでに来ていた。
「おはよ」歌乃が、こちらを振り向いて言う。
「おはよ」
朝ではないが、ちょっぴり天然な歌乃に合わせる。
そして、歌乃の隣に座った。
すると、ドーンとドアが開いて、
部長、雪葉と、見空が入ってきた。
「みんな!こんにちは」
と、四人しかいない部室に叫ぶ。 
「まだこれだけ?まあまだ部活は始まらないしね」
雪葉が、ふふふんと、席に座る。
「あ、あの、席ってどういう順番なんですか?」
「適当だよ。まだパート分けもしてないし。
だから、可愛い一年生の隣に座ろ~と思って★」
白い葉を見せながら、雪葉がいう。
「...雪葉先輩、髪、今日は結ばないんですね。」
「おっ、わかる?毎年変えてるんだよ、髪型!」と、
右側にだけ集めた髪をサラサラととく。
見空は、雪葉の隣に座った。
「私、前に後輩になる子達かな?といったでしょ?
マジだったんだー」と雪葉は言った。
「お名前は?」
と、今まで一言も言葉を発していなかった、見空が言った。
紺色の、くるんと内側にカールした髪は、こちらを向いていた。
「戸崎琉空(るあ)です!」と、私がここぞ!と言った。
歌乃は、クールに少し間を開けて「高島歌乃と申します。」と言った。
「ルアピーと歌乃ちゃんか。」と、雪葉と見空が言う。
「ん?ルアピー?」
「だってぇ、ルアピーって顔なんだもん。 歌乃ちゃんは
歌乃ちゃんって顔。」
「なんですか?それ...」暫くすると、部員がどんどん集まってきた。
二年生とか一年生、勿論三年生も。
私達の周りはあっという間に埋まった。
歌乃は、トントンと私の肩に、手をおいた。
「ねぇ、人多くない?」
「昨日もこれくらいいたと思うよ」
人が多いのに、歌乃は驚いたようだ。しかし昨日はもっといた。
部員用のイスに座ってるから多く見えるのかもしれない。
そこから、会話は途切れた。
き、きまずい...
先輩は、見空と話してる。
歌乃は、ノートを見てるし、
やはり、歌乃みたいなミュージカルスターと、目指してるだけの
私じゃ、お門違いだったのかも...
それに、昨日、少し名前よびしあっただけだもんね。
友達ではないかもしれない。
友達...といえばクラスで、二人できた友達を思い出した。
花と、心ちゃんたち。
二人ともショートカット。あちらから話しかけて来てくれた。
あの子達はどの部活にしたんだろう。
合唱部を見渡すと、ショートカットの髪型が見えた。
アノコたちも合唱部かあ。と少し微笑む。

見渡すととある事に気づいた。
「リボンの色が違う?」
私と、歌乃、雪葉は赤色だが、
見空はオレンジだ。
「あー、ミュージカル科か、普通科ってことよ。
赤がミュージカル、オレンジが普通科。」
と、スラスラと、雪葉が説明した。
ほえーと頷く。で、また会話が途切れた。
「きょ、今日はいい天気だねー。」
タメ口で言ったからか、歌乃に言ってると思ったらしく、
先輩は、見空と、話してた
歌乃は、シーンとして、ノートにシャーペンでなにか書き込んでた。
歌乃の方を向いて、
「なにかいてるの?」と言ってみたが、...反応は返ってこない。
無視された。
やはり、友達なんかじゃ、歌乃とはなかったんだ...!!
そこからは時間が長く感じた。
何か持ってないかなとポケットを探した。
でも、ティッシュとハンカチしか入ってない。
スマホは学校ではイベント以外使用禁止だ。
学食を買うときしか使えない。
15分くらい待つと、ようやく港が、入ってきた。
「こんにちは。新顧問の、港と申します。よろしくお願いします。」
港は、優しい声で、言った。
優しい先生なのかな?
港が、来た瞬間、ノートから目を離し、歌乃の目は、港に
釘付けだった。
「私が引退した後の、今までの合唱部のコンクールの最高歴は、府大会銅賞と聞きましたよ。
府大会で、銅賞。おかしいですよね。合唱コンクールでは
最低でも、県大会はいってほしいものです。
さて、今年の私達の目標は、頑固全国大会とします。」
チョークで全国大会と大きく書かれた。
「前回の歌は酷かったですね。
まずは、合わせれるようにしなくては。」
港先生は、ニッコリと微笑む。
部室はざわざわしてた。全国大会なんて無理だ!と声も聞こえた。
港先生は、それを無視して、
「パート決めのまえに、皆さん合唱していただけますか。 皆さん
知ってる曲だと、ぶんぶんぶんなどでも良いです。」
そして部室のパイプ椅子から立って、ぶんぶんぶんを全員歌い出した。
私と、部長と、歌乃は比較的上手く歌えてた。それは聞こえた。
でも、ガタガタのリズム、合わないテンポが、
急激に上手い声を飲み込み、下手とした。
ニコニコしてた港先生は、眉を釣り上げ、
大きなため息をついた。
「下手すぎます。」
単刀直入にいってくるものだから、少しビックリした。
「...今日は改善できそうもない。
明明後日パート分けをするので、集まって。 土曜と日曜は
準備があるのでやりません」
港先生は、そしてドアから出て行った。
しーんと静まり返る部室と、短過ぎ!という批判の声。
部長は立ち上がると、「じゃ、皆帰るよ。
明日は本格的にやるって、いってたじゃん」と、
軽くいって、ドアから出て行った。
私と歌乃も出て行った。
隣同士に座ってたから歩くのがどうしても近くなる。気まずいよぉ。
後ろから、体当たりを食らった。後ろを見ると、緑色のショートカットの
友達、花と、優しく微笑む茶色のショートカットの、心ちゃんがいた。
「よっ、ルア!」ニッコリと花が叫ぶ。「まさか、同じ
部活だなんて、花、凄く嬉しいよ!」花は小柄な体を縮ませてジャンプした。
「...この方は?」歌乃が、目を見開いて、私に耳打ちした。
「友達の花と、心だよ。」一応答えておく。
「ルアちゃんごめん!今日は、花ちゃんと、
アイス屋に寄ってくから、別方向になるから
一緒に帰れないや。二人分の予約だから、ごめんね!」と、心が花と、かけていった。
また、気まずい空気が流れる。
学校の情報掲示板を通ると、歌乃がぷるぷるの唇を開き、
「一緒に、お祭り行かない?」
「お祭り?七夕祭り?夏祭り?」
今は春だ。何のお祭りなんだろう
「ほら、春祭り。」
あ、春祭りか!と納得する。二年に一度だけやる、お祭りで、
花火も上がってとっても綺麗。
でも今みたいな気まずい状況で.,,と思ったが、
春祭り、行きたいのでいいよ。と、歌乃にいった。
電車にのると、歌乃も同じ路線のようだ。
電車にのる私の手にはあんまん、歌乃は肉まんをぱくぱくしてた。
三駅目で、歌乃は降りた。「じゃあね」
歌乃は、こちらに手を降って、微笑んだ。
「じゃあね」私も言った。
春祭り、明日か。
明日は土曜だからいきなり合唱部無いもんね。
歌乃が、あっと声を出した。
「LINE、交換しておこう」と言った。
うん、と、LINE交換して、電車が閉まるギリギリで歌乃は降りていった。
つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...