124 / 332
122話 「チョコは未知の食べ物」
しおりを挟む
黒っぽい何かが色々とのった皿がテーブルの上にことりと置かれる。
「ご飯までもう少し掛かるからそれまでこれ食べててー」
その見慣れぬ物体に自然とみんなの視線が集まる。
加賀の言葉とその甘い匂いからおそらく食べ物である事は分かるが、見た目は黒っぽい謎の物質である。
皆興味は示すが中々手を出す様子はない、お菓子であればすぐ食いつくシェイラでも手を出しあぐねているようだ。
「加賀っちこれってお菓子だよね……」
「そですよ、見た目は慣れるまであれかもですが」
「へー……」
うっ(うまうま)
が、うーちゃんに躊躇いはない。チョコを両手に持ちモリモリと食べて行く。
その様子を見て他の者たちも手を付けだす。大体皆に行き渡った所で加賀はある事に気が付いた。
「あっれ、八木いない?」
「あー、八木ならギルドに報告してからくるってよ」
「あ、そかそか」
どう言えばギルドの依頼でリッカルドに向かっていたのだと思い出す加賀。
「リッカルドの方は特に問題起きなかったです?」
「ふむ……じゃあ、俺が教えてやるよ。あっちで何があったのか」
そう言うと何時になく真剣な表情を浮かべるヒューゴ。
加賀の対面の椅子に腰かけ、実はな……と語りだす。
「八木様お帰りなさいませ」
「どうもエルザさん、ただいま戻りました」
ギルドの受付にて八木をエルザが出迎える。
ちょうどヒューゴがリッカルドの話を始めたのと時を同じくして、八木もまたリッカルドの出来事をエルザへと報告するのであった。
「なるほど、交渉は上手くいったとの事でそれは何よりです……黒鉄の流通量も増えるでしょうし非常に助かります」
まずは交渉がうまく言った事、そして黒鉄の流通量が増える事に対し例を言いそして頭を下げるエルザ。
「男色の件は申し訳ありません……貴族の事ですので少しぼかして伝えるしかなかったのですが、まさかそう解釈されるとは」
「ははは……まぁ、無事だったんでその話はもうお終いと言う事で」
「そう、ですか……分かりました、次に褒賞の──」
八木がギルドから受け取った褒賞はかなりの額であった。
それこそ一年は何もせずそれなりに遊んで暮らせる程度には。
もっとも八木にはそのつもりも無いし、周りも八木にやってもらいたい仕事はまだ山ほどある。自堕落な生活をすることにはまずならないだろう。
「……なんかすっごい甘い匂いってか、これチョコか。加賀の奴もう戻ってんだな」
ギルドを出て歩く事しばし、八木は宿の前へと到着していた。
ふわりと風にのってチョコの甘い匂いが八木の元へと届く、それは扉を開けるとより鮮明となり八木の嗅覚を刺激する。
「久しぶりにチョコ食いてえなあ……うっす、今戻ったよ」
匂いの元は食堂だ、中からはわずかに人の話し声が聞こえる。
八木は扉を開け手を上げると皆へと声をかけた。
「え、何この雰囲気……」
扉を開けた八木であるが、どうも雰囲気がおかしい。
扉を外から聞こえていた話し声から中にいるのは少人数だろうとあたりをつけていた。だが実際には宿のメンバーのほぼ全員が食堂に揃っていたのである。
さらに八木が扉をあけた瞬間、先ほどまでわずかに聞こえていた話声も止み今はうーちゃんのチョコを食べる音しかしていない。
さらには皆の様子も見ると何時もと違う。バクスは苦り切った顔をしていて、咲耶は何故か笑みが浮かんでおり、探索者は新規追加メンバーとせっかく打ち解けてきたのに今は壁を感じる。そして加賀とアイネは無表情である。
「えぇ……あ、加賀じゃん戻ってたの──」
人口密度の高い食堂の中、八木は加賀を見つけたのでとりあえず声をかける。
が、アイネがすっと加賀をかばうように腕をひき自分の影に隠してしまう。
「え、あのアイネさん……?」
「八木、悪いけどボクにその趣味はないんだ」
「何の話です!?」
八木が一体何の話かと聞いてみれば例の城でのお手伝いさんがあれだった件をヒューゴが誤解を招くように若干脚色を加えつつ語っていた事が判明する。
尚、語った本人はとうに逃げていた模様。
「確かに嘘ではないけど、ひどい誤解招く言い方を……あれは貴族のお嬢様がだめってのを城の人が曲解したからであった、ちゃんと説明してお引き取り願ったからね!」
「私は信じてたよ」
「アイネさん思いっきり加賀庇ってたじゃないすか……」
信じたと言いつつも八木の恨みがましい視線を受けそっと八木から視線を外すアイネ。
他の人も似たようなものである。
「まあ何にせよ無事? でよかったよ。ほいココアね」
「お、ありがと。そっちも目当てのもの手に入ったようで何より」
「うんありがと。探索者の皆さんも用事は無事すんだんですか? ここに全員揃ってるって事はそうでしょうけど」
加賀の言葉に一斉に反応しだす探索者達。
かろうじて加賀が聞き取れたのはオークションが終わった事、今日からここにやっかいになる事。
そして加賀や八木、それにアイネに対する質問がいくつか。
「えぇっと……とりあえずオークションは無事終わったのと今日からこの宿に泊まる事は分かりました……質問については、えっとではそちらの方」
質問について言及したところで一人はいはいと言いつつ手をあげる人物が加賀の目に留まる。
「ご飯までもう少し掛かるからそれまでこれ食べててー」
その見慣れぬ物体に自然とみんなの視線が集まる。
加賀の言葉とその甘い匂いからおそらく食べ物である事は分かるが、見た目は黒っぽい謎の物質である。
皆興味は示すが中々手を出す様子はない、お菓子であればすぐ食いつくシェイラでも手を出しあぐねているようだ。
「加賀っちこれってお菓子だよね……」
「そですよ、見た目は慣れるまであれかもですが」
「へー……」
うっ(うまうま)
が、うーちゃんに躊躇いはない。チョコを両手に持ちモリモリと食べて行く。
その様子を見て他の者たちも手を付けだす。大体皆に行き渡った所で加賀はある事に気が付いた。
「あっれ、八木いない?」
「あー、八木ならギルドに報告してからくるってよ」
「あ、そかそか」
どう言えばギルドの依頼でリッカルドに向かっていたのだと思い出す加賀。
「リッカルドの方は特に問題起きなかったです?」
「ふむ……じゃあ、俺が教えてやるよ。あっちで何があったのか」
そう言うと何時になく真剣な表情を浮かべるヒューゴ。
加賀の対面の椅子に腰かけ、実はな……と語りだす。
「八木様お帰りなさいませ」
「どうもエルザさん、ただいま戻りました」
ギルドの受付にて八木をエルザが出迎える。
ちょうどヒューゴがリッカルドの話を始めたのと時を同じくして、八木もまたリッカルドの出来事をエルザへと報告するのであった。
「なるほど、交渉は上手くいったとの事でそれは何よりです……黒鉄の流通量も増えるでしょうし非常に助かります」
まずは交渉がうまく言った事、そして黒鉄の流通量が増える事に対し例を言いそして頭を下げるエルザ。
「男色の件は申し訳ありません……貴族の事ですので少しぼかして伝えるしかなかったのですが、まさかそう解釈されるとは」
「ははは……まぁ、無事だったんでその話はもうお終いと言う事で」
「そう、ですか……分かりました、次に褒賞の──」
八木がギルドから受け取った褒賞はかなりの額であった。
それこそ一年は何もせずそれなりに遊んで暮らせる程度には。
もっとも八木にはそのつもりも無いし、周りも八木にやってもらいたい仕事はまだ山ほどある。自堕落な生活をすることにはまずならないだろう。
「……なんかすっごい甘い匂いってか、これチョコか。加賀の奴もう戻ってんだな」
ギルドを出て歩く事しばし、八木は宿の前へと到着していた。
ふわりと風にのってチョコの甘い匂いが八木の元へと届く、それは扉を開けるとより鮮明となり八木の嗅覚を刺激する。
「久しぶりにチョコ食いてえなあ……うっす、今戻ったよ」
匂いの元は食堂だ、中からはわずかに人の話し声が聞こえる。
八木は扉を開け手を上げると皆へと声をかけた。
「え、何この雰囲気……」
扉を開けた八木であるが、どうも雰囲気がおかしい。
扉を外から聞こえていた話し声から中にいるのは少人数だろうとあたりをつけていた。だが実際には宿のメンバーのほぼ全員が食堂に揃っていたのである。
さらに八木が扉をあけた瞬間、先ほどまでわずかに聞こえていた話声も止み今はうーちゃんのチョコを食べる音しかしていない。
さらには皆の様子も見ると何時もと違う。バクスは苦り切った顔をしていて、咲耶は何故か笑みが浮かんでおり、探索者は新規追加メンバーとせっかく打ち解けてきたのに今は壁を感じる。そして加賀とアイネは無表情である。
「えぇ……あ、加賀じゃん戻ってたの──」
人口密度の高い食堂の中、八木は加賀を見つけたのでとりあえず声をかける。
が、アイネがすっと加賀をかばうように腕をひき自分の影に隠してしまう。
「え、あのアイネさん……?」
「八木、悪いけどボクにその趣味はないんだ」
「何の話です!?」
八木が一体何の話かと聞いてみれば例の城でのお手伝いさんがあれだった件をヒューゴが誤解を招くように若干脚色を加えつつ語っていた事が判明する。
尚、語った本人はとうに逃げていた模様。
「確かに嘘ではないけど、ひどい誤解招く言い方を……あれは貴族のお嬢様がだめってのを城の人が曲解したからであった、ちゃんと説明してお引き取り願ったからね!」
「私は信じてたよ」
「アイネさん思いっきり加賀庇ってたじゃないすか……」
信じたと言いつつも八木の恨みがましい視線を受けそっと八木から視線を外すアイネ。
他の人も似たようなものである。
「まあ何にせよ無事? でよかったよ。ほいココアね」
「お、ありがと。そっちも目当てのもの手に入ったようで何より」
「うんありがと。探索者の皆さんも用事は無事すんだんですか? ここに全員揃ってるって事はそうでしょうけど」
加賀の言葉に一斉に反応しだす探索者達。
かろうじて加賀が聞き取れたのはオークションが終わった事、今日からここにやっかいになる事。
そして加賀や八木、それにアイネに対する質問がいくつか。
「えぇっと……とりあえずオークションは無事終わったのと今日からこの宿に泊まる事は分かりました……質問については、えっとではそちらの方」
質問について言及したところで一人はいはいと言いつつ手をあげる人物が加賀の目に留まる。
10
あなたにおすすめの小説
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる