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191話 「テンプーラ」
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パスワード思い出せて本当によかったorz
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その日の夕食で用意しておいた餅は大福を除いて全て消費しきっていた。
やはり慣れない人にも食べやすいようにと餅の食感がダイレクトにいく料理は少なめにしたのが良かったのかも知れない。
現におこわは若干あまり気味で八木がもりもり食べていなければ余っていた可能性もある。
それは置いといて、何だかんだで好評であったお餅であるが宿の皆が食べられたわけでは無い。
最近ダンジョンの攻略が進んできたたこともあって奥の方に行く場合、朝に宿を出て夕飯までに戻ってくるのが厳しくなってきたのだ。今回もたまたまダンジョンの奥に行っていた何名かは餅をまだ食べていないのだ。そして彼らが宿に戻ってきて餅の事を聞けばどうなるかは想像に難くない。
「あ、あの……」
「…………」
餅を大量消費した次の日の朝、加賀は食堂でシェイラに肩をがっしりと掴まられていた。
無言で少し座った目でじっと見つめてくるシェイラに耐えかねたように声を掛ける加賀であるがシェイラは無言のままである。
「……餅」
「え?」
ぽつりと呟かれた一言。
一瞬理解が追いつかず思わず聞き返した加賀、その目を見ながらシェイラが再度口を開く。
「お餅食べたい」
「えっと……昨日皆が食べちゃって」
皆が食べてしまったと聞いてその場にがっくりと膝をつくシェイラ。
「うっうぅぅ……な、何でよりによって私が居ないタイミングでぇぇ……加賀っちめ」
「うぇっ……あ、そうだ。まだ大福が残ってますよっ」
そんな事はしないだろうが噛みつきそうな目で見てくるシェイラの様子に慌てて大福の存在を告げる加賀。
シェイラはまだ残ってるものがあると知ってなーんだと言うところっと態度を変え笑顔を浮かべる。
「もー残ってるなら残ってるっていってよー……それで、大福ってなーに?」
「これです……」
お皿にまだ山になっている大福をすっとさしだす加賀。
シェイラは白くて丸い物体を手に取り不思議そうに眺めている。
「こうやってこのまま……冷えて固まってるかな……ちょっと食べるの待ってくださいね」
「えー」
抗議の声を上げるシェイラの手から大福を取ると暖炉へと向かう加賀。
暖炉の上で焙って温めるつもりなのだろう。
「ほいほいっと。こうやって焙ると美味しいんですよ。柔くなるし香ばしくもなるし……よっと」
「へー」
少し焼き目がつくように、でも決して焦げないように焼き加減に注意しながら大福をひっくり返す加賀。
やがて狐色についた焼き目から香ばしい香りがあたりに漂ってくる。
「ねね、まだまだー?」
その香りに食欲を刺激されたのか、加賀の袖をぐいぐいと引っ張るシェイラ……とうーちゃん。
どうやら香りに誘われ厨房から出てきたようだ、よく見れば厨房の扉からアイネもひょっこり顔を覗かせている。
「そろそろいいかな……まだいっぱいあるからアイネさんもうーちゃんもどうぞ」
「いっただきー」
「それじゃお言葉に甘えて…‥」
うー(わっひょい)
待ってましたとばかりに焼きあがった大福を手に取る3人。
勢いよくかぶりつくと香ばしく焼けた表面から大福にもかかわらずぱりっと音がなる。
「んんっ……表面ぱりっと中もちもち……え、なにこれむっちゃ美味しいんだけどっ」
「美味しいね……出来立てとどっち良いか悩むねこれ」
うー(うまままま)
一個目をあっと言う間に平らげ次へと取り掛かろうとする3人であるが、あいにく次のは大福はまだ焼いている最中である。
焼けるのを待っている間少し暇になったのだろう、シェイラが加賀に話を振ってくる。
「ねーねー、加賀っち」
「う?」
シェイラに話しかけられた加賀は大福をひっくり返す手を止め彼女の方へと顔を向ける。
「加賀っちって冬はいつもこんなの食べてたの?」
「んー……そういう訳じゃないですけどねー、大福は年中……あ、でも焼いたのは食べるなら涼しい時期かな? でも冬限定ってわけじゃないし…冬と限定するとお鍋とか温かいやつ……あ、変わったとこだとワカサギの天ぷらとかありますね」
視線を大福からそらさないままのシェイラに苦笑しつつ質問に答える加賀。
ワカサギの天ぷらと言ったところでシェイラが反応し顔を加賀のほうへと向ける。
「ワカサギ? 天ぷら?」
「ワカサギは小さい魚で天ぷらはボクらの居た国の揚げ物料理ですねー」
そういえばどっちも宿で出したこと無いですねーと笑う加賀。
「それってどんな料理なの? やっぱおいしいんだよね」
「もちろん美味しいですよん。えっとですね――」
思ったよりも食付いてきたシェイラに天ぷらの概要とワカサギについて語る加賀。
加賀自身はワカサギ釣りはやったことは無い、だがテレビなどで見るたびに一度はやってみたいと思っていたのと少し調べてみた事もありシェイラに概要を説明するのには十分な知識は持っていた。
「へー……面白そう。てか釣ったのをすぐ揚げるってすごいね! このあたりで出来ないかなー?」
大福をかじりながら加賀の話を聞いていたシェイラであるが、ワカサギ釣りに対し大分興味を抱いたようである。耳をぴこぴこ動かしながらはしゃぐ様子は中々に可愛らしいものがある。
パスワード思い出せて本当によかったorz
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その日の夕食で用意しておいた餅は大福を除いて全て消費しきっていた。
やはり慣れない人にも食べやすいようにと餅の食感がダイレクトにいく料理は少なめにしたのが良かったのかも知れない。
現におこわは若干あまり気味で八木がもりもり食べていなければ余っていた可能性もある。
それは置いといて、何だかんだで好評であったお餅であるが宿の皆が食べられたわけでは無い。
最近ダンジョンの攻略が進んできたたこともあって奥の方に行く場合、朝に宿を出て夕飯までに戻ってくるのが厳しくなってきたのだ。今回もたまたまダンジョンの奥に行っていた何名かは餅をまだ食べていないのだ。そして彼らが宿に戻ってきて餅の事を聞けばどうなるかは想像に難くない。
「あ、あの……」
「…………」
餅を大量消費した次の日の朝、加賀は食堂でシェイラに肩をがっしりと掴まられていた。
無言で少し座った目でじっと見つめてくるシェイラに耐えかねたように声を掛ける加賀であるがシェイラは無言のままである。
「……餅」
「え?」
ぽつりと呟かれた一言。
一瞬理解が追いつかず思わず聞き返した加賀、その目を見ながらシェイラが再度口を開く。
「お餅食べたい」
「えっと……昨日皆が食べちゃって」
皆が食べてしまったと聞いてその場にがっくりと膝をつくシェイラ。
「うっうぅぅ……な、何でよりによって私が居ないタイミングでぇぇ……加賀っちめ」
「うぇっ……あ、そうだ。まだ大福が残ってますよっ」
そんな事はしないだろうが噛みつきそうな目で見てくるシェイラの様子に慌てて大福の存在を告げる加賀。
シェイラはまだ残ってるものがあると知ってなーんだと言うところっと態度を変え笑顔を浮かべる。
「もー残ってるなら残ってるっていってよー……それで、大福ってなーに?」
「これです……」
お皿にまだ山になっている大福をすっとさしだす加賀。
シェイラは白くて丸い物体を手に取り不思議そうに眺めている。
「こうやってこのまま……冷えて固まってるかな……ちょっと食べるの待ってくださいね」
「えー」
抗議の声を上げるシェイラの手から大福を取ると暖炉へと向かう加賀。
暖炉の上で焙って温めるつもりなのだろう。
「ほいほいっと。こうやって焙ると美味しいんですよ。柔くなるし香ばしくもなるし……よっと」
「へー」
少し焼き目がつくように、でも決して焦げないように焼き加減に注意しながら大福をひっくり返す加賀。
やがて狐色についた焼き目から香ばしい香りがあたりに漂ってくる。
「ねね、まだまだー?」
その香りに食欲を刺激されたのか、加賀の袖をぐいぐいと引っ張るシェイラ……とうーちゃん。
どうやら香りに誘われ厨房から出てきたようだ、よく見れば厨房の扉からアイネもひょっこり顔を覗かせている。
「そろそろいいかな……まだいっぱいあるからアイネさんもうーちゃんもどうぞ」
「いっただきー」
「それじゃお言葉に甘えて…‥」
うー(わっひょい)
待ってましたとばかりに焼きあがった大福を手に取る3人。
勢いよくかぶりつくと香ばしく焼けた表面から大福にもかかわらずぱりっと音がなる。
「んんっ……表面ぱりっと中もちもち……え、なにこれむっちゃ美味しいんだけどっ」
「美味しいね……出来立てとどっち良いか悩むねこれ」
うー(うまままま)
一個目をあっと言う間に平らげ次へと取り掛かろうとする3人であるが、あいにく次のは大福はまだ焼いている最中である。
焼けるのを待っている間少し暇になったのだろう、シェイラが加賀に話を振ってくる。
「ねーねー、加賀っち」
「う?」
シェイラに話しかけられた加賀は大福をひっくり返す手を止め彼女の方へと顔を向ける。
「加賀っちって冬はいつもこんなの食べてたの?」
「んー……そういう訳じゃないですけどねー、大福は年中……あ、でも焼いたのは食べるなら涼しい時期かな? でも冬限定ってわけじゃないし…冬と限定するとお鍋とか温かいやつ……あ、変わったとこだとワカサギの天ぷらとかありますね」
視線を大福からそらさないままのシェイラに苦笑しつつ質問に答える加賀。
ワカサギの天ぷらと言ったところでシェイラが反応し顔を加賀のほうへと向ける。
「ワカサギ? 天ぷら?」
「ワカサギは小さい魚で天ぷらはボクらの居た国の揚げ物料理ですねー」
そういえばどっちも宿で出したこと無いですねーと笑う加賀。
「それってどんな料理なの? やっぱおいしいんだよね」
「もちろん美味しいですよん。えっとですね――」
思ったよりも食付いてきたシェイラに天ぷらの概要とワカサギについて語る加賀。
加賀自身はワカサギ釣りはやったことは無い、だがテレビなどで見るたびに一度はやってみたいと思っていたのと少し調べてみた事もありシェイラに概要を説明するのには十分な知識は持っていた。
「へー……面白そう。てか釣ったのをすぐ揚げるってすごいね! このあたりで出来ないかなー?」
大福をかじりながら加賀の話を聞いていたシェイラであるが、ワカサギ釣りに対し大分興味を抱いたようである。耳をぴこぴこ動かしながらはしゃぐ様子は中々に可愛らしいものがある。
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