270 / 332
267話 「ただめし」
しおりを挟む
国際会議が開催される都市は大きかった。
フォルセイリアはもちろんシグトリアと比べてもそん色ないどころかずっと大きい。
恐らくこの近隣諸国の中では一番の大きさを誇る都市である事だろう。
「おー……おおー」
「命、あまりキョロキョロしないの」
街中へと入った一行であるが、その都市の大きさに初めて訪れる物は皆きょろきょろと興味深そうにあたりを見渡していた。
「……フォルセイリア並とまではいきませんが、さすがに結構凝った建物多いですね」
「見覚えのある建物がいっぱいあるなあ」
「これ、八木の設計した建物か……そういやどれも真新しい建物ばっかだ」
八木の事務所で請け負った仕事の中にはこの都市関係の仕事もあったようだ。
真新しい家のほぼ全てが八木にとって見覚えのある建物ばかりである。
「去年来た時と比べて大分街並みが変わっているね……とは言っても変わったのはメインの通りだけの様ね。他は以前と変わっていない」
「まだ手つけてないんだろうな」
ただ街が大きいせいか、それともフォルセイリアに比べ開発が始まったのが遅かった為か、真新しい建物はメインの通り沿いのみとなっている。
「それでは我々はここでお別れです」
「皆さん道中の護衛ありがとうございました」
会議の会場であるこの街で一番大きな建物……要は城を前にして護衛の面々は一向にそれぞれ一言挨拶をすませると本来の主の元へと帰って行く。
「あー……気が重いな」
「ここまで来ておいてもう手遅れだ、諦めろ」
「晩餐会までまだ時間が掛かりますのでな、それまではこちらで御寛ぎください。護衛の方々にも部屋を用意しておりますので……どうぞこちらへ」
こうして一行は晩餐会に参加する事となった。
そして結果から言えば晩餐会事態は特に問題なく終えることが出来たと言える。
ただ会話の端々に隠す気のなさそうな思惑が見え、加賀と八木の二人が精神的に大分疲れる事とはなる。
「一年振りに国際会議に参加して見ればこの街並みの代わり様! いやはや驚きました……ところでこれらは全て八木殿が携わったと御聞きしてますが……」
「ははは……」
自分の所の街がまだ八木が設計した図面を入手していなければ、無理やり……では無いが断りにくそうな言い回しで仕事の依頼をかけたり。
「素晴らしく芳醇な香り……ただ甘いだけではなく苦みとの調和が素晴らしい、見た目も落ち着いた色の中に艶のありこれもまた素晴らしいですな」
「ありがとうございます……そのお菓子ですけど」
「ぜひ我が国でもこの様な素晴らしい菓子が広まれば良いのですが、どう思いますかな? そうそう、実は今度講師をお招きしようと考えてしましてな……」
加賀であれば講師として呼ぼうとしたり。
最も菓子に関してはアイネのレシピがほとんどだと分かると蜘蛛の子を散らす様に加賀の元を去っていったが。
「彼らの服を全て!?」
「女性物もですよね……?」
「……他にどういった服が御座いますの?」
ただ咲耶に関しては周りに集まるのは咲耶が作った服に興味のある女性のみ。
話はおおいに盛り上がり、結果として男性陣がほとんど寄り付かず一見すると平和そうに見える。
「母ちゃんの所だけ平和だ」
「……そうかあ?」
一時的に開放されようやく飯にありつけた二人。
皿を片手にぼーっと咲耶の方を眺める二人。
「あそこだけ男が寄り付かない、すごい」
「一人いるぞ……目が死んでる」
平和に見えたが一人だけ逃げ遅れた人物がいた様だ。
おそらく誰かの旦那さんであろうが、逃げ出すタイミングを逃し咲耶を囲む輪の中から抜け出せないでいた。
その顔は人生を諦めたような、どこか遠くを見るその目は魚の様で、二人はそれを見てすっと距離を取るのであった。
「疲れた……今日はもう寝よう」
晩餐会も終わり、疲れたように宛がわれた部屋へと戻る加賀。
全てが全てああいったやり取りであった訳では無いが偉い人に囲まれて食事と言うのはそれだけで気が張るものである。
ふらふらとした足取りで部屋の前へと加賀、その背後から声をかける人物がいた。
フォルセイリアはもちろんシグトリアと比べてもそん色ないどころかずっと大きい。
恐らくこの近隣諸国の中では一番の大きさを誇る都市である事だろう。
「おー……おおー」
「命、あまりキョロキョロしないの」
街中へと入った一行であるが、その都市の大きさに初めて訪れる物は皆きょろきょろと興味深そうにあたりを見渡していた。
「……フォルセイリア並とまではいきませんが、さすがに結構凝った建物多いですね」
「見覚えのある建物がいっぱいあるなあ」
「これ、八木の設計した建物か……そういやどれも真新しい建物ばっかだ」
八木の事務所で請け負った仕事の中にはこの都市関係の仕事もあったようだ。
真新しい家のほぼ全てが八木にとって見覚えのある建物ばかりである。
「去年来た時と比べて大分街並みが変わっているね……とは言っても変わったのはメインの通りだけの様ね。他は以前と変わっていない」
「まだ手つけてないんだろうな」
ただ街が大きいせいか、それともフォルセイリアに比べ開発が始まったのが遅かった為か、真新しい建物はメインの通り沿いのみとなっている。
「それでは我々はここでお別れです」
「皆さん道中の護衛ありがとうございました」
会議の会場であるこの街で一番大きな建物……要は城を前にして護衛の面々は一向にそれぞれ一言挨拶をすませると本来の主の元へと帰って行く。
「あー……気が重いな」
「ここまで来ておいてもう手遅れだ、諦めろ」
「晩餐会までまだ時間が掛かりますのでな、それまではこちらで御寛ぎください。護衛の方々にも部屋を用意しておりますので……どうぞこちらへ」
こうして一行は晩餐会に参加する事となった。
そして結果から言えば晩餐会事態は特に問題なく終えることが出来たと言える。
ただ会話の端々に隠す気のなさそうな思惑が見え、加賀と八木の二人が精神的に大分疲れる事とはなる。
「一年振りに国際会議に参加して見ればこの街並みの代わり様! いやはや驚きました……ところでこれらは全て八木殿が携わったと御聞きしてますが……」
「ははは……」
自分の所の街がまだ八木が設計した図面を入手していなければ、無理やり……では無いが断りにくそうな言い回しで仕事の依頼をかけたり。
「素晴らしく芳醇な香り……ただ甘いだけではなく苦みとの調和が素晴らしい、見た目も落ち着いた色の中に艶のありこれもまた素晴らしいですな」
「ありがとうございます……そのお菓子ですけど」
「ぜひ我が国でもこの様な素晴らしい菓子が広まれば良いのですが、どう思いますかな? そうそう、実は今度講師をお招きしようと考えてしましてな……」
加賀であれば講師として呼ぼうとしたり。
最も菓子に関してはアイネのレシピがほとんどだと分かると蜘蛛の子を散らす様に加賀の元を去っていったが。
「彼らの服を全て!?」
「女性物もですよね……?」
「……他にどういった服が御座いますの?」
ただ咲耶に関しては周りに集まるのは咲耶が作った服に興味のある女性のみ。
話はおおいに盛り上がり、結果として男性陣がほとんど寄り付かず一見すると平和そうに見える。
「母ちゃんの所だけ平和だ」
「……そうかあ?」
一時的に開放されようやく飯にありつけた二人。
皿を片手にぼーっと咲耶の方を眺める二人。
「あそこだけ男が寄り付かない、すごい」
「一人いるぞ……目が死んでる」
平和に見えたが一人だけ逃げ遅れた人物がいた様だ。
おそらく誰かの旦那さんであろうが、逃げ出すタイミングを逃し咲耶を囲む輪の中から抜け出せないでいた。
その顔は人生を諦めたような、どこか遠くを見るその目は魚の様で、二人はそれを見てすっと距離を取るのであった。
「疲れた……今日はもう寝よう」
晩餐会も終わり、疲れたように宛がわれた部屋へと戻る加賀。
全てが全てああいったやり取りであった訳では無いが偉い人に囲まれて食事と言うのはそれだけで気が張るものである。
ふらふらとした足取りで部屋の前へと加賀、その背後から声をかける人物がいた。
0
あなたにおすすめの小説
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる