34 / 332
33話 「港町にいこう」
しおりを挟む
翌朝、窓から差し込む光の眩しさに八木の意識は覚醒する。
先日十分昼寝したからだろう、二度寝することなく身を起こすと大きく伸びをする。
良い匂いと音にさそわれ部屋をでるとバクスがすでに朝食を作り終えるところであった。
「おはようございまっす。バクスさん早いっすね」
「おう、おはようさん。まあ慣れだな、慣れ。早く起きようと思ってれば自然と目が覚める」
バクスに挨拶しつつ皿を棚から取り出す八木、テーブルに皿を置いたところで加賀がまだ起きてきていない事に気が付いたようだ。
「あっれ、まだ加賀のやつ寝てるのか」
「ああ、すまんが起こしてきてくれんか? もう飯になるし」
「了解でっす」
軽い返事をして加賀の部屋と向かう八木。ノックをするとほぼ同時に戸をガチャリとあけ中にはいる。
「おーい、加賀~飯だぞー? かっ……」
「ゔ~……」
八木の声に寝返りしつつ、うるさそうにうなる加賀。
そんな加賀をみて八木は思わず固まってしまうことになる。
正確には加賀、ではなく加賀の頭の下だが。
加賀の頭の下にあったのが枕ではなく、白いふわふわした物体、ようはうーちゃんであった。
「加賀ー! まくら!まくらあああああ!」
「んあ? なんだよ八木…まくらがどうし…ほぁあああああ!?」
「なんだ? どうした?」
八木と加賀の声にすぐさまかけつけるバクス、その視線の先では加賀がおそるおそると言ったようすでうーちゃんをゆすっていた。
「ど、どどどどうしよう!? うーちゃん? お、おきて……」
う?(んお? もう朝?)
加賀にまくらにされつつも寝ていたらしいうーちゃん。その無事な様子に八木はほっと胸をなでおろし、加賀は力が抜けたようにべっどに座り込むのであった。
「あー、ほんとびっくりした……うーちゃん、もう頭の下に潜り込んだりしちゃダメだよ?」
うー……(おぬしが寝てるわしをひっつかんでまくらにしたんじゃろがっ、わたしのせいにするでないわー)
「まじ?」
うっ(まじ)
それを聞いてそっとリンゴをさしだす加賀であった。
「じゃあ、飯食い終わったところで早速だが出発するぞ。今から出れば夕方には恐らくつくだろう、荷物は昨日のうちにまとめておいたな?」
朝食を終え、後片付けを終わったところで早速出発するようである。
3人と一匹は荷物を持つと家を後にし、アンジェを迎えにガレージへと向かった。
「でけえええええ!?」
案の定そうそう以上に大きいアンジェの姿に八木が驚きの声をあげる。
一方のアンジェは特に期した様子もなく、二日連続で出かけれることで上機嫌そうだ。
「あら、はじめまして? ふふ、二日連続で出かけれるなんて嬉しいわあ」
「しゃ、しゃべ…っむぐご」
ガチンと歯がかみ合う音がする。下から突き上げられた手が八木のあごを押し上げたのだ。
アンジェがしゃべった事に驚き声をあげそうになる八木だが、とっさに加賀が口を押さえにはいったようだ。
「八木だめだめ、アンジェの声わかるのボクたちだけなんだから。神の落とし子ってばれるか……あれな人って思われちゃう」
「……おう、ありがとよ」
舌でもかんだのか顔をしかめつつ礼をいう八木。少し落ち着いたのか改めてアンジェをみて感嘆の声をあげる。
「ほんと立派な馬だなあ、大きいって聞いてたからばん馬みたいの考えてたけど……その比じゃねえな」
「そうだろう? それに大きいだけじゃないぞ、当然力も体力も普通の馬とはくらべものにならん。何せ普通なら二日かける道のりを一日で行けるからな」
八木とバクスが話し込む間にも加賀とうーちゃんは荷物を積み込んでいく。
とは言え行き帰りで二泊三日の行程だ。3人の荷物をつむのにさほど時間はかからない、程なく準備がととのったようだ。
「すまんな加賀、荷物積み込んでてくれたのか」
「いえいえー、大した量じゃないですしー。そろそろ行きます?」
「うむ……ああ、そううだ御者台には俺がたつから、二人は中に入っててくれ」
そうバクスから申し出があったが、ずっとバクスが御者台にたつのは大変だろうと八木と加賀も途中で交代することを申し出る。
だが、バクスはまずないだろうがと前置きをし、道中何かに襲われる可能性もある、とっさに対応できる俺が御者台にいたほうが良いと断る。
二人はそういう理由なら、とバクスの申し出を受けることにした。
まだ日が昇って間もない早朝、1台の馬車が街の門をくぐっていく。
先日十分昼寝したからだろう、二度寝することなく身を起こすと大きく伸びをする。
良い匂いと音にさそわれ部屋をでるとバクスがすでに朝食を作り終えるところであった。
「おはようございまっす。バクスさん早いっすね」
「おう、おはようさん。まあ慣れだな、慣れ。早く起きようと思ってれば自然と目が覚める」
バクスに挨拶しつつ皿を棚から取り出す八木、テーブルに皿を置いたところで加賀がまだ起きてきていない事に気が付いたようだ。
「あっれ、まだ加賀のやつ寝てるのか」
「ああ、すまんが起こしてきてくれんか? もう飯になるし」
「了解でっす」
軽い返事をして加賀の部屋と向かう八木。ノックをするとほぼ同時に戸をガチャリとあけ中にはいる。
「おーい、加賀~飯だぞー? かっ……」
「ゔ~……」
八木の声に寝返りしつつ、うるさそうにうなる加賀。
そんな加賀をみて八木は思わず固まってしまうことになる。
正確には加賀、ではなく加賀の頭の下だが。
加賀の頭の下にあったのが枕ではなく、白いふわふわした物体、ようはうーちゃんであった。
「加賀ー! まくら!まくらあああああ!」
「んあ? なんだよ八木…まくらがどうし…ほぁあああああ!?」
「なんだ? どうした?」
八木と加賀の声にすぐさまかけつけるバクス、その視線の先では加賀がおそるおそると言ったようすでうーちゃんをゆすっていた。
「ど、どどどどうしよう!? うーちゃん? お、おきて……」
う?(んお? もう朝?)
加賀にまくらにされつつも寝ていたらしいうーちゃん。その無事な様子に八木はほっと胸をなでおろし、加賀は力が抜けたようにべっどに座り込むのであった。
「あー、ほんとびっくりした……うーちゃん、もう頭の下に潜り込んだりしちゃダメだよ?」
うー……(おぬしが寝てるわしをひっつかんでまくらにしたんじゃろがっ、わたしのせいにするでないわー)
「まじ?」
うっ(まじ)
それを聞いてそっとリンゴをさしだす加賀であった。
「じゃあ、飯食い終わったところで早速だが出発するぞ。今から出れば夕方には恐らくつくだろう、荷物は昨日のうちにまとめておいたな?」
朝食を終え、後片付けを終わったところで早速出発するようである。
3人と一匹は荷物を持つと家を後にし、アンジェを迎えにガレージへと向かった。
「でけえええええ!?」
案の定そうそう以上に大きいアンジェの姿に八木が驚きの声をあげる。
一方のアンジェは特に期した様子もなく、二日連続で出かけれることで上機嫌そうだ。
「あら、はじめまして? ふふ、二日連続で出かけれるなんて嬉しいわあ」
「しゃ、しゃべ…っむぐご」
ガチンと歯がかみ合う音がする。下から突き上げられた手が八木のあごを押し上げたのだ。
アンジェがしゃべった事に驚き声をあげそうになる八木だが、とっさに加賀が口を押さえにはいったようだ。
「八木だめだめ、アンジェの声わかるのボクたちだけなんだから。神の落とし子ってばれるか……あれな人って思われちゃう」
「……おう、ありがとよ」
舌でもかんだのか顔をしかめつつ礼をいう八木。少し落ち着いたのか改めてアンジェをみて感嘆の声をあげる。
「ほんと立派な馬だなあ、大きいって聞いてたからばん馬みたいの考えてたけど……その比じゃねえな」
「そうだろう? それに大きいだけじゃないぞ、当然力も体力も普通の馬とはくらべものにならん。何せ普通なら二日かける道のりを一日で行けるからな」
八木とバクスが話し込む間にも加賀とうーちゃんは荷物を積み込んでいく。
とは言え行き帰りで二泊三日の行程だ。3人の荷物をつむのにさほど時間はかからない、程なく準備がととのったようだ。
「すまんな加賀、荷物積み込んでてくれたのか」
「いえいえー、大した量じゃないですしー。そろそろ行きます?」
「うむ……ああ、そううだ御者台には俺がたつから、二人は中に入っててくれ」
そうバクスから申し出があったが、ずっとバクスが御者台にたつのは大変だろうと八木と加賀も途中で交代することを申し出る。
だが、バクスはまずないだろうがと前置きをし、道中何かに襲われる可能性もある、とっさに対応できる俺が御者台にいたほうが良いと断る。
二人はそういう理由なら、とバクスの申し出を受けることにした。
まだ日が昇って間もない早朝、1台の馬車が街の門をくぐっていく。
11
あなたにおすすめの小説
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる