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32話 「ビール売ってないらしい」
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うー(もう食えんぞい。あ、でもリンゴはたべる)
「やべえ、おなか。やべえ」
「ちと食いすぎたか」
「お粗末様でした」
夕飯にだしたハムはかなり好評だったようだ。
食べ過ぎで動けない3人をよそに後片付けをはじめる加賀、そこにバクスが声をかける。
「加賀はいろいろ作れるんだな、ハムなんかはここらじゃ肉屋ぐらいしか作らんのだが……それにこんなしっとりとジューシーなのはじめてだ」
「ありがとうございまっす! お肉屋さんのハムとの違いはたぶん、保存食として作ってるかどうかーかな、と。ボクは保存のこと気にせず作ってるので……」
「加賀はハムとか作るの得意だったからなあ……そういや燻製とかはつくらんの?」
「ほう! 燻製も作れるのか??」
燻製という言葉と聞いてバクスが大きく反応する。
それをみた加賀は若干驚きつつもええと答え頷く。
「そうかそうか! なら腸詰のもできるのか?」
「もちろん。できますよー」
「ウィンナーとか加賀の超得意なやつじゃん」
ウィンナーに相当な思い入れがあるのか、加賀の言葉を聞いたバクスは飛び上がらんばかりに喜んでいる。
加賀は少し子供っぽいそのしぐさを見て、意外なところもあるんだなと思いつつ口を開く。
「ウィンナー好きなんですか? あれ、おいしいですよねー」
「おう、10年ぐらい前だったかな? 海を渡った先の山に囲まれた……ズナベルクだったかな、まあいい。そこでビールっての一緒に食ったんだが……これがたまらなく旨くてな」
「ビールとウィンナーの組み合わせは正義!」
ウィンナーとビールと聞いて俄然テンションのあがる八木。どちらも八木の好物だったりする。
なお、加賀は酒がダメなためビールもあまり好きではない。
「このへんでは売ってないんですかー?」
加賀のそぼくな質問にピタリと動きをとめるバクス。
その顔はさきほどとは違いしかめっつらになってしまっている。
「売ってればよかったんだがなあ……」
「まじか……禁輸品とかですか?」
いや、とつぶやくとそっと椅子に腰かけるバクス。
コップに残っていた水を飲み干すと軽くため息をつく。
「単にあいつら作った分みんな自分たちで食っちまうんだ」
輸出にまわす分はないんだとよ、そういうバクスの表情はすっかりやさぐれてしまっていた。
バクスの話をきいて八木も食べたくなってしまったのだろう、ウィンナーはともかくビールが売ってないと聞いて軽くへこんでいる。
うー(のうのう、加賀)
「ん、うーちゃんどした?」
うー(そのウィンナーっての食べてみたいの)
さっきから騒がしい二人をよそに、食後のデザートにリンゴを食べていたうーちゃんだが。
しっかり会話は聞いていたようだ、目をキラキラさせつつ加賀へとおねだりをする。
「そっかー。……そだね、ボクも食べたいし二人も食べたいだろうから……つくっちゃおうか」
「……そうか、ウィンナーは加賀が作れるんだったな」
「ええ……材料あればですけど」
その言葉を聞いて顎を触るバクス、その顔はいつになく真剣である。
「……何が必要だ?」
「えっとー……豚肉は猪肉で代用するとして、とりあえず羊の腸あれば作れます」
「わかった、明日トゥラウニに行くぞ」
ウィンナーに必要な材料、それを聞いたバクスの判断は早かった。
予想外なその言葉に二人は思わず声をあげてしまう。
「あ、明日ですか?」
「んむ、香辛料とかもほしかったんだろう? なに、いい機会だ。宿の候補も決まったし八木の休みもかねて、な」
トゥラウニは馬車で西に二日ほどいった所にある港町だ。
アンジェであれば一日で行けるが早朝にでる必要があるとの事で、今日は夕飯を食べて早々に解散となったようだ。
「えっとー、着替えと石鹸とシャンプーとー……ん、大体こんなもんかな?」
「ぬぅ」
部屋で荷物をかばんへと詰め込む二人、加賀のほうは大体詰め終わったようであるが、八木はというと先ほどから荷物とにらめっこしたまま動きがない。
「どしたん?」
「……仕事道具どうしようかなあ」
「や、むりでしょ」
バクスの持つ馬車は現代日本の車両とそん色ないレベルのものではあるが、それでも地面からの振動を完全に抑えることはできない。
当然ながらそんな状況で図面をかけるわけもなく、八木はしぶしぶといった様子で仕事道具をつむのをあきらめたようだ。
「羊の腸うってるといいなあ」
「そうだねー、羊扱ってるって話だしたぶんあると思うけど……なかったら香辛料だけは買って、ベーコンでも作ろうかな」
「お、ベーコンいいねいいね。あの猪肉でつくったらうまいだろうなあ」
ベーコンと聞いて笑顔を見せる八木。
ウィンナーだけではなくベーコンも好物なのだろう。
「向こうでの予定だけど、八木はどするー? ボクは香辛料探す予定だけど」
「んー、俺は建物見て廻れればそれで……宿は1泊目と2泊目違うとこ泊まってくれるそうだし」
「そかそか、じゃあなるべくいっぱいお店まわろっか」
「おう、お願いするわ。んじゃそろそろ寝るな、加賀もはやめに寝とけよー」
「ん、おやすみー」
自分の部屋と戻る八木を見送り、加賀も寝ようとしたところで何かの気づいたように再びバッグをあける加賀。どうやらうっかりマクラをいれてしまっていたようだ。
うー(なにしとんのじゃ)
「やー、うっかりしまっちゃったね。ほい、うーちゃんおいでおいで」
そういいながらベッドへともぐりこむ加賀。
うーちゃんもベッドにはいったのを確認するとそっと電気を消した。
「やべえ、おなか。やべえ」
「ちと食いすぎたか」
「お粗末様でした」
夕飯にだしたハムはかなり好評だったようだ。
食べ過ぎで動けない3人をよそに後片付けをはじめる加賀、そこにバクスが声をかける。
「加賀はいろいろ作れるんだな、ハムなんかはここらじゃ肉屋ぐらいしか作らんのだが……それにこんなしっとりとジューシーなのはじめてだ」
「ありがとうございまっす! お肉屋さんのハムとの違いはたぶん、保存食として作ってるかどうかーかな、と。ボクは保存のこと気にせず作ってるので……」
「加賀はハムとか作るの得意だったからなあ……そういや燻製とかはつくらんの?」
「ほう! 燻製も作れるのか??」
燻製という言葉と聞いてバクスが大きく反応する。
それをみた加賀は若干驚きつつもええと答え頷く。
「そうかそうか! なら腸詰のもできるのか?」
「もちろん。できますよー」
「ウィンナーとか加賀の超得意なやつじゃん」
ウィンナーに相当な思い入れがあるのか、加賀の言葉を聞いたバクスは飛び上がらんばかりに喜んでいる。
加賀は少し子供っぽいそのしぐさを見て、意外なところもあるんだなと思いつつ口を開く。
「ウィンナー好きなんですか? あれ、おいしいですよねー」
「おう、10年ぐらい前だったかな? 海を渡った先の山に囲まれた……ズナベルクだったかな、まあいい。そこでビールっての一緒に食ったんだが……これがたまらなく旨くてな」
「ビールとウィンナーの組み合わせは正義!」
ウィンナーとビールと聞いて俄然テンションのあがる八木。どちらも八木の好物だったりする。
なお、加賀は酒がダメなためビールもあまり好きではない。
「このへんでは売ってないんですかー?」
加賀のそぼくな質問にピタリと動きをとめるバクス。
その顔はさきほどとは違いしかめっつらになってしまっている。
「売ってればよかったんだがなあ……」
「まじか……禁輸品とかですか?」
いや、とつぶやくとそっと椅子に腰かけるバクス。
コップに残っていた水を飲み干すと軽くため息をつく。
「単にあいつら作った分みんな自分たちで食っちまうんだ」
輸出にまわす分はないんだとよ、そういうバクスの表情はすっかりやさぐれてしまっていた。
バクスの話をきいて八木も食べたくなってしまったのだろう、ウィンナーはともかくビールが売ってないと聞いて軽くへこんでいる。
うー(のうのう、加賀)
「ん、うーちゃんどした?」
うー(そのウィンナーっての食べてみたいの)
さっきから騒がしい二人をよそに、食後のデザートにリンゴを食べていたうーちゃんだが。
しっかり会話は聞いていたようだ、目をキラキラさせつつ加賀へとおねだりをする。
「そっかー。……そだね、ボクも食べたいし二人も食べたいだろうから……つくっちゃおうか」
「……そうか、ウィンナーは加賀が作れるんだったな」
「ええ……材料あればですけど」
その言葉を聞いて顎を触るバクス、その顔はいつになく真剣である。
「……何が必要だ?」
「えっとー……豚肉は猪肉で代用するとして、とりあえず羊の腸あれば作れます」
「わかった、明日トゥラウニに行くぞ」
ウィンナーに必要な材料、それを聞いたバクスの判断は早かった。
予想外なその言葉に二人は思わず声をあげてしまう。
「あ、明日ですか?」
「んむ、香辛料とかもほしかったんだろう? なに、いい機会だ。宿の候補も決まったし八木の休みもかねて、な」
トゥラウニは馬車で西に二日ほどいった所にある港町だ。
アンジェであれば一日で行けるが早朝にでる必要があるとの事で、今日は夕飯を食べて早々に解散となったようだ。
「えっとー、着替えと石鹸とシャンプーとー……ん、大体こんなもんかな?」
「ぬぅ」
部屋で荷物をかばんへと詰め込む二人、加賀のほうは大体詰め終わったようであるが、八木はというと先ほどから荷物とにらめっこしたまま動きがない。
「どしたん?」
「……仕事道具どうしようかなあ」
「や、むりでしょ」
バクスの持つ馬車は現代日本の車両とそん色ないレベルのものではあるが、それでも地面からの振動を完全に抑えることはできない。
当然ながらそんな状況で図面をかけるわけもなく、八木はしぶしぶといった様子で仕事道具をつむのをあきらめたようだ。
「羊の腸うってるといいなあ」
「そうだねー、羊扱ってるって話だしたぶんあると思うけど……なかったら香辛料だけは買って、ベーコンでも作ろうかな」
「お、ベーコンいいねいいね。あの猪肉でつくったらうまいだろうなあ」
ベーコンと聞いて笑顔を見せる八木。
ウィンナーだけではなくベーコンも好物なのだろう。
「向こうでの予定だけど、八木はどするー? ボクは香辛料探す予定だけど」
「んー、俺は建物見て廻れればそれで……宿は1泊目と2泊目違うとこ泊まってくれるそうだし」
「そかそか、じゃあなるべくいっぱいお店まわろっか」
「おう、お願いするわ。んじゃそろそろ寝るな、加賀もはやめに寝とけよー」
「ん、おやすみー」
自分の部屋と戻る八木を見送り、加賀も寝ようとしたところで何かの気づいたように再びバッグをあける加賀。どうやらうっかりマクラをいれてしまっていたようだ。
うー(なにしとんのじゃ)
「やー、うっかりしまっちゃったね。ほい、うーちゃんおいでおいで」
そういいながらベッドへともぐりこむ加賀。
うーちゃんもベッドにはいったのを確認するとそっと電気を消した。
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