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木の中にいる
「46話」
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「早く食べるニャ。 食わせろニャー」
「ちょっとまってね今切るから」
何とかタマさんを引きはがすことに成功するが、まだ興奮状態のままである。
早く切って食べさせないと俺の体がやばい。
「うぉっ……切ると匂いやばすぎないこれ」
切るとさらに匂いが強くなる。
これだけ匂いが強いとモンスターを集めかねない……さっさと切って食べてしまわないと。
「んじゃ切り分け……ってタマさん危ないってば」
「いい匂いニャー」
三日月形に切って、あとは一口サイズに切り分けて……といったところで我慢出来なくなったのか、タマさんがすんすんとメロンの匂いを嗅ぎにきた。
刃物あるんだから危ないでしょっ、当たってもたぶん切れないんだろうけど。心臓に悪いのです。
「んっし、切り分け終わりっと。 タマさんどうぞー」
タマさんの妨害にも負けず、なんとか切り終えた。
で、さーどうぞと勧めた瞬間メロンにタマさんの手が伸びる。はやい。
「ニャ。 ……ニャッ!!!?」
食べたタマさんの反応は劇的であった。
目はまん丸に、尻尾はたぬきのように膨らんで棒立ちのまま動かなくなる。
「え、何か反応すごいね……そ、そんな美味しかった? てか、大丈夫?」
ほっぺをちょんちょんと突くと、急にタマさんが再起動した。
急に動かれるとびっくりするじゃないか。
ってタマさん? えらい勢いで食い始めたんですけど……。
「え、タマさん。 タマさん? 全部無くなる勢いなんですけどっ!?」
メロンはそんながっついて食うものじゃねーデスヨ!?
てか全部なくなる!まじでなくなる!
手を出したいけどタマさんの手が早くてこわい。当たったらこれ吹き飛ぶんじゃないの??
「せ、せめて1個だけ……!」
タマさんの光速の前足をさけ、どうにか1つ確保することに成功した。
ちょっと怖くてもう手だせない。
「それじゃ……っうっはぁ!」
食った瞬間口内にメロンの濃厚な甘みとそれに香りが広がって、唾液が一気にでた。
もうこれメロンじゃない! メロンじゃないなら何なのさって話だけど、もうそんぐらいやばいよこれ。
「やばい、これまじでやばい。 味もだけど香りがやばすぎる、美味しすぎてくらくらする……」
美味しすぎて眩暈がする。
そんなことって普通あるのだろうか? ……てかこれ食って大丈夫なものなのだろうか?
まあ、今更だけど……もう一つぐらい食べようかな?って。
「も、もう1個だけ……って無いし!」
タマさん食べるの早すぎい!
あんだけ大量にあったメロンが瞬殺じゃん、もー。
せめてもう一つぐらい食べたかった……。
「……もう1個だけ追加しよっか?」
「ニャ!」
結局誘惑に負けたのであった。
タマさん?もちろん反対などするわけもないのです。
およそ30分後。
そこには枯れた草原の上で仰向け寝転がる一人と一匹の姿があった。
「もう食えないニャ」
「うっぷ」
いや、美味しかったもんで調子にのって追加で4個ほどね?
ちょっと草原やら森やら枯れちゃったけど……ま、まあダンジョンだし?よしとしよう、そうしよう。
「あ……皮処分しないと。 タマさんいつまで匂い嗅いでるの、腐っちゃうし埋めるよー」
「ニャー……もう少し、もう少しだけニャァ」
食べたのは中身なので皮の部分は残してある。
放っておくと腐っちゃうし、誰かに見られてもあれなんで処分したいんだけど……タマさんが確保してて皮を手放さないのだ。
気持ちは分かるけどね、すごく良い匂いするし……でも鼻を押し当ててスーハーしてるとちょっと危ない奴に見えちゃうよタマさん?
「この皮なんかやばい成分でも出てるんじゃないの……っ」
「返すニャー」
何とか回収した皮を手に持ち、残りの皮を回収に向かう俺。
その腰にはタマさんがしがみついたままである。 重いけど可愛いからこのままにしておこう。
んで、何枚か回収したあたりで前方にオーガ達が集まっているのを見つけたんだ。
そのオーガ達なんだけど、いったい何をしているのかとよくよく見てみると……メロンの皮に鼻を押し当てスーハーしていた。
「……何やってんだあいつら?」
いや、匂い嗅いでるのはわかるんだけどね?
ここダンジョンですよ?あなた達モンスターですよ?
やっぱこの皮やべえ成分出てるんじゃないの。
「اعطاء الدمار لك」
なんかこう見ちゃいけないものを見ちゃった。
そんな微妙な気持ちになって相手はモンスターだというのに手を出しあぐねていると……タマさんが俺の腰から離れたと思ったら詠唱を開始してた。
そしてその直後、哀れなオーガ達の悲鳴があたりに響く。
「容赦ないねっ!?」
「タマのものに手を出すなんてふてー野郎ニャ」
ふんっと鼻をならしてそう言うタマさん。
オーガ達はというとタマさんの魔法によってミンチとなっていた。
なんか手足の先からギュルギュルギュルって感じで捻じれて細切れになっていくの。まじホラー。
タマさんから果物とるのは絶対しないでおこう。そう思うウッドであった。
「ちょっとまってね今切るから」
何とかタマさんを引きはがすことに成功するが、まだ興奮状態のままである。
早く切って食べさせないと俺の体がやばい。
「うぉっ……切ると匂いやばすぎないこれ」
切るとさらに匂いが強くなる。
これだけ匂いが強いとモンスターを集めかねない……さっさと切って食べてしまわないと。
「んじゃ切り分け……ってタマさん危ないってば」
「いい匂いニャー」
三日月形に切って、あとは一口サイズに切り分けて……といったところで我慢出来なくなったのか、タマさんがすんすんとメロンの匂いを嗅ぎにきた。
刃物あるんだから危ないでしょっ、当たってもたぶん切れないんだろうけど。心臓に悪いのです。
「んっし、切り分け終わりっと。 タマさんどうぞー」
タマさんの妨害にも負けず、なんとか切り終えた。
で、さーどうぞと勧めた瞬間メロンにタマさんの手が伸びる。はやい。
「ニャ。 ……ニャッ!!!?」
食べたタマさんの反応は劇的であった。
目はまん丸に、尻尾はたぬきのように膨らんで棒立ちのまま動かなくなる。
「え、何か反応すごいね……そ、そんな美味しかった? てか、大丈夫?」
ほっぺをちょんちょんと突くと、急にタマさんが再起動した。
急に動かれるとびっくりするじゃないか。
ってタマさん? えらい勢いで食い始めたんですけど……。
「え、タマさん。 タマさん? 全部無くなる勢いなんですけどっ!?」
メロンはそんながっついて食うものじゃねーデスヨ!?
てか全部なくなる!まじでなくなる!
手を出したいけどタマさんの手が早くてこわい。当たったらこれ吹き飛ぶんじゃないの??
「せ、せめて1個だけ……!」
タマさんの光速の前足をさけ、どうにか1つ確保することに成功した。
ちょっと怖くてもう手だせない。
「それじゃ……っうっはぁ!」
食った瞬間口内にメロンの濃厚な甘みとそれに香りが広がって、唾液が一気にでた。
もうこれメロンじゃない! メロンじゃないなら何なのさって話だけど、もうそんぐらいやばいよこれ。
「やばい、これまじでやばい。 味もだけど香りがやばすぎる、美味しすぎてくらくらする……」
美味しすぎて眩暈がする。
そんなことって普通あるのだろうか? ……てかこれ食って大丈夫なものなのだろうか?
まあ、今更だけど……もう一つぐらい食べようかな?って。
「も、もう1個だけ……って無いし!」
タマさん食べるの早すぎい!
あんだけ大量にあったメロンが瞬殺じゃん、もー。
せめてもう一つぐらい食べたかった……。
「……もう1個だけ追加しよっか?」
「ニャ!」
結局誘惑に負けたのであった。
タマさん?もちろん反対などするわけもないのです。
およそ30分後。
そこには枯れた草原の上で仰向け寝転がる一人と一匹の姿があった。
「もう食えないニャ」
「うっぷ」
いや、美味しかったもんで調子にのって追加で4個ほどね?
ちょっと草原やら森やら枯れちゃったけど……ま、まあダンジョンだし?よしとしよう、そうしよう。
「あ……皮処分しないと。 タマさんいつまで匂い嗅いでるの、腐っちゃうし埋めるよー」
「ニャー……もう少し、もう少しだけニャァ」
食べたのは中身なので皮の部分は残してある。
放っておくと腐っちゃうし、誰かに見られてもあれなんで処分したいんだけど……タマさんが確保してて皮を手放さないのだ。
気持ちは分かるけどね、すごく良い匂いするし……でも鼻を押し当ててスーハーしてるとちょっと危ない奴に見えちゃうよタマさん?
「この皮なんかやばい成分でも出てるんじゃないの……っ」
「返すニャー」
何とか回収した皮を手に持ち、残りの皮を回収に向かう俺。
その腰にはタマさんがしがみついたままである。 重いけど可愛いからこのままにしておこう。
んで、何枚か回収したあたりで前方にオーガ達が集まっているのを見つけたんだ。
そのオーガ達なんだけど、いったい何をしているのかとよくよく見てみると……メロンの皮に鼻を押し当てスーハーしていた。
「……何やってんだあいつら?」
いや、匂い嗅いでるのはわかるんだけどね?
ここダンジョンですよ?あなた達モンスターですよ?
やっぱこの皮やべえ成分出てるんじゃないの。
「اعطاء الدمار لك」
なんかこう見ちゃいけないものを見ちゃった。
そんな微妙な気持ちになって相手はモンスターだというのに手を出しあぐねていると……タマさんが俺の腰から離れたと思ったら詠唱を開始してた。
そしてその直後、哀れなオーガ達の悲鳴があたりに響く。
「容赦ないねっ!?」
「タマのものに手を出すなんてふてー野郎ニャ」
ふんっと鼻をならしてそう言うタマさん。
オーガ達はというとタマさんの魔法によってミンチとなっていた。
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