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森の賢人
「74話」
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あまりにもでかい荷物を抱えていたので、ダンジョンに入る順番待ちしている間周りの視線が痛かったです。
俺が荷物を持たずにタマさんが持っていたままだったらどうなっていたのだろうか。
袋叩きかな?
「目的地手前までいけるショートカットがあるニャ。 そこまでは走って行くニャ」
「おー」
下層だしね、ショートカットしても遠いだろうし走っていかないとだよね。
ところでタマさん、飛ばし過ぎではないでしょうか。
こっちは全力で走っていると言うのに、タマさんはスキップするように駆けている。
ぱっと見ぜんっぜん速そうな走り方じゃないのにその速度はどういうことなの。
後ろを見てっ、俺の体力はもう限界よ!
「ここ降りたらもうすぐニャー」
「…………」
喋る元気すら無かった。
地面にぐったりと横たわる俺、久しぶりデスネ。
「降りる前に桃作っておくニャ」
そう言ってどこかに……たぶんモンスター連れてくるつもりで、どこかに行こうとするタマさん。
あかん、止めなきゃ。
「……た、タマさん……」
「ニャ?」
「や、休ませて……」
生まれたての小鹿のような俺の足を見て!
息も絶え絶えな俺を見て!
「ウッドは貧弱だにゃあ」
「えぇ……」
貧弱ってなんだろう。
ハ〇クみたいな成人男性が貧弱と呼ばれる世界。怖いデスネ。
そのあと一応休憩を挟んで桃を生産した俺であったが、桃を食べてタマさんから魔法をかけて貰い、ショートカットの穴を降りて……今は下層へと降り立っている。
「……雰囲気違うねえ」
中層にいったときもそうだったけど、雰囲気がガラッと変わるんだよね。
ここは何か明らかに空気が違う。なんか重苦しい。
空の色もどんより暗いし、赤黒い雲なんかもあるわでもうやばい雰囲気がぷんぷんである。
「一気に降りたから、ここから敵が一気に強くなるニャ」
「通りで滑り台長いと思った……」
中層に降りるショートカットよりも滑ってる時間長かったんだよねー……。
さっきまで居た階層には八ツ目なんかが居たんだけど、ここからは何が出るのやら。
なんて考えていたらタマさんがぽむって肩を叩いてきた。
私、すごく嫌な予感がします。
「せっかくだから戦ってみるニャ」
「えっ!? そ、それはちょっと遠慮したいなあ……」
やっぱそうくるよね!
ちょっとこんな雰囲気の階層の敵とは戦いたくないのですが……。
「もうこっち来てるから諦めるニャ。 ここの敵はみんな脳筋だから安心するといいニャー」
「あ、安心……?」
もう来ているらしい。
視界には入ってないけど、タマさんにはわかるのだろう。
てかね、こんなところで脳筋な敵とかやべえのしか出てこなさそうで安心できる要素が何もないのですがそれは。
もうさ、体長10mの巨人とかそんなの出てくるんじゃないの。
そんなのどうやって倒せと……あれ?
岩陰から何か出てきたけど、思ったよりでかくない。
2mちょいしか無いんじゃなかろうか?
体はオーガを縮めた感じで、頭部は悪魔みたいな角はやしたエイリアンみたいなやつだ。
……小っちゃいけど、滅茶苦茶怖ぇ……。
そいつは俺を見て一瞬立ち止まった……と思った次の瞬間、身構える俺目掛けて猛スピードで突っ込んできた。
「ちょっ……はやっ!?」
体全体がぶれて見えるぐらいの速度で突っ込んできたそいつに、俺は対応が遅れてしまう。
「がっ……は」
そいつが放った拳が俺の横っ腹に突き刺さる……一応は腕を挟んでガード出来たけど、腕の骨が軋む音がした。
盾で防げなかったのが痛い、おそらく折れてはいないだろうがヒビは入っているだろう。
拳の衝撃で体が浮き、地面にちょっとさしていた根っこが千切れ、俺は盛大に吹っ飛ばされてしまう。
地面をドリルのように抉り、ようやく止まったかと思い顔を上げてみれば、目の前でそいつが拳を振り上げていた。
「んがっ」
今度は盾で防げた!
でもまた盛大にすっ飛ばされてしまう……吹っ飛ばされながらもあいつを見ると、俺を追いかけているところであった。
ただひたすらに俺を殴ることしか考えていないのだろう。
俺は今度はすぐに体制を整えると、拳を振り上げ襲い掛かるそいつに向かい金棒をふるった。
と、同時に足から延ばしておいた蔦をそいつの足に絡ませる。
「足元がお留守ですよっ……と!」
ものの見事にすっ転んだそいつの顔面にカウンターで金棒がめり込んだ。
今度は向こうが吹っ飛ぶ番である。
「あらー……あまり効いてない」
ふっとんだ先でそいつはすぐ身を起こした。
顔面から謎な体液が垂れているのでノーダメージでは無いのだろうけど、体の動きが鈍るとかそんなことは無さそうだ。
やはり普通に殴り合うのだと分が悪い。
……あとダメージそんなんでも無かったけど、怒りはむっちゃかったらしい。
天に向かってもの凄い咆えてますネ。
「ここは冷静に話し合おうじゃ――」
ほら、人類皆兄弟っていうじゃない?
冷静になって話合えば……とか何とかアホなこと考えてたら雄叫び上げながらこっちに突っ込んできましたよっと。
「――やっぱそうよね!」
君、モンスターだもんね。
俺はそいつの拳を盾で受け流す……左腕痛めてるの忘れてた、これ完璧折れたかも。
ただ、受け流すこと自体には成功した。怒りで大振りになってたからラッキーだね。
で、受け流した瞬間蔦を伸ばしてそいつの両手足を拘束する。
それだけだと力負けするので空いている手足も使い、転ばした上でがっちりと抑え込んだ。
「初めからこうしてれば良かった……とうっ」
あとは先端をドリルみたいにした蔦を耳に突っ込んでかき回す。
そいつはビクビクンッと体を震わせ動かなくなった。
……うん、やっぱこれ反則だわ。
俺が荷物を持たずにタマさんが持っていたままだったらどうなっていたのだろうか。
袋叩きかな?
「目的地手前までいけるショートカットがあるニャ。 そこまでは走って行くニャ」
「おー」
下層だしね、ショートカットしても遠いだろうし走っていかないとだよね。
ところでタマさん、飛ばし過ぎではないでしょうか。
こっちは全力で走っていると言うのに、タマさんはスキップするように駆けている。
ぱっと見ぜんっぜん速そうな走り方じゃないのにその速度はどういうことなの。
後ろを見てっ、俺の体力はもう限界よ!
「ここ降りたらもうすぐニャー」
「…………」
喋る元気すら無かった。
地面にぐったりと横たわる俺、久しぶりデスネ。
「降りる前に桃作っておくニャ」
そう言ってどこかに……たぶんモンスター連れてくるつもりで、どこかに行こうとするタマさん。
あかん、止めなきゃ。
「……た、タマさん……」
「ニャ?」
「や、休ませて……」
生まれたての小鹿のような俺の足を見て!
息も絶え絶えな俺を見て!
「ウッドは貧弱だにゃあ」
「えぇ……」
貧弱ってなんだろう。
ハ〇クみたいな成人男性が貧弱と呼ばれる世界。怖いデスネ。
そのあと一応休憩を挟んで桃を生産した俺であったが、桃を食べてタマさんから魔法をかけて貰い、ショートカットの穴を降りて……今は下層へと降り立っている。
「……雰囲気違うねえ」
中層にいったときもそうだったけど、雰囲気がガラッと変わるんだよね。
ここは何か明らかに空気が違う。なんか重苦しい。
空の色もどんより暗いし、赤黒い雲なんかもあるわでもうやばい雰囲気がぷんぷんである。
「一気に降りたから、ここから敵が一気に強くなるニャ」
「通りで滑り台長いと思った……」
中層に降りるショートカットよりも滑ってる時間長かったんだよねー……。
さっきまで居た階層には八ツ目なんかが居たんだけど、ここからは何が出るのやら。
なんて考えていたらタマさんがぽむって肩を叩いてきた。
私、すごく嫌な予感がします。
「せっかくだから戦ってみるニャ」
「えっ!? そ、それはちょっと遠慮したいなあ……」
やっぱそうくるよね!
ちょっとこんな雰囲気の階層の敵とは戦いたくないのですが……。
「もうこっち来てるから諦めるニャ。 ここの敵はみんな脳筋だから安心するといいニャー」
「あ、安心……?」
もう来ているらしい。
視界には入ってないけど、タマさんにはわかるのだろう。
てかね、こんなところで脳筋な敵とかやべえのしか出てこなさそうで安心できる要素が何もないのですがそれは。
もうさ、体長10mの巨人とかそんなの出てくるんじゃないの。
そんなのどうやって倒せと……あれ?
岩陰から何か出てきたけど、思ったよりでかくない。
2mちょいしか無いんじゃなかろうか?
体はオーガを縮めた感じで、頭部は悪魔みたいな角はやしたエイリアンみたいなやつだ。
……小っちゃいけど、滅茶苦茶怖ぇ……。
そいつは俺を見て一瞬立ち止まった……と思った次の瞬間、身構える俺目掛けて猛スピードで突っ込んできた。
「ちょっ……はやっ!?」
体全体がぶれて見えるぐらいの速度で突っ込んできたそいつに、俺は対応が遅れてしまう。
「がっ……は」
そいつが放った拳が俺の横っ腹に突き刺さる……一応は腕を挟んでガード出来たけど、腕の骨が軋む音がした。
盾で防げなかったのが痛い、おそらく折れてはいないだろうがヒビは入っているだろう。
拳の衝撃で体が浮き、地面にちょっとさしていた根っこが千切れ、俺は盛大に吹っ飛ばされてしまう。
地面をドリルのように抉り、ようやく止まったかと思い顔を上げてみれば、目の前でそいつが拳を振り上げていた。
「んがっ」
今度は盾で防げた!
でもまた盛大にすっ飛ばされてしまう……吹っ飛ばされながらもあいつを見ると、俺を追いかけているところであった。
ただひたすらに俺を殴ることしか考えていないのだろう。
俺は今度はすぐに体制を整えると、拳を振り上げ襲い掛かるそいつに向かい金棒をふるった。
と、同時に足から延ばしておいた蔦をそいつの足に絡ませる。
「足元がお留守ですよっ……と!」
ものの見事にすっ転んだそいつの顔面にカウンターで金棒がめり込んだ。
今度は向こうが吹っ飛ぶ番である。
「あらー……あまり効いてない」
ふっとんだ先でそいつはすぐ身を起こした。
顔面から謎な体液が垂れているのでノーダメージでは無いのだろうけど、体の動きが鈍るとかそんなことは無さそうだ。
やはり普通に殴り合うのだと分が悪い。
……あとダメージそんなんでも無かったけど、怒りはむっちゃかったらしい。
天に向かってもの凄い咆えてますネ。
「ここは冷静に話し合おうじゃ――」
ほら、人類皆兄弟っていうじゃない?
冷静になって話合えば……とか何とかアホなこと考えてたら雄叫び上げながらこっちに突っ込んできましたよっと。
「――やっぱそうよね!」
君、モンスターだもんね。
俺はそいつの拳を盾で受け流す……左腕痛めてるの忘れてた、これ完璧折れたかも。
ただ、受け流すこと自体には成功した。怒りで大振りになってたからラッキーだね。
で、受け流した瞬間蔦を伸ばしてそいつの両手足を拘束する。
それだけだと力負けするので空いている手足も使い、転ばした上でがっちりと抑え込んだ。
「初めからこうしてれば良かった……とうっ」
あとは先端をドリルみたいにした蔦を耳に突っ込んでかき回す。
そいつはビクビクンッと体を震わせ動かなくなった。
……うん、やっぱこれ反則だわ。
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