拝啓神様。転生場所間違えたでしょ。転生したら木にめり込んで…てか半身が木になってるんですけど!?あでも意外とスペック高くて何とかなりそうです

熊ごろう

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森の賢人

「90話」

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「ニャ。 頑張れニャー」

何とかなると思うといった直後、俺をぽいっと手放すタマさん。 ひどい。

ブレス回避中だったもんで空中に放り出された訳だけど……。

「まっかせてー……って着地と同時にブレスとかやめてぇっ」

着地自体は問題ないけど問題はその瞬間をきっちり狙ってくる鉄竜である。
空中からただ落下するもんで着地点とかタイミングとかもうばればれなんだよね、だもんで避けられないタイミングで撃ってくるんですわこれが……まあでも。

「ふんぬっ」

俺もきっちり学習しているのです。
鉄竜のブレスは地面をドロッドロに溶かすほど強力ではない、何やら液体っぽいのをぶちまけてるけど、あれは多分踏んだり体に掛かったりしなければ平気なはず。

と言うわけで。
俺は地面に根っこを突き立て……えいっとひっぺり返す。
即席の盾の完成だ!

「さすがにこんだけ分厚いと貫けないだろっ」

ブレスは土壁にあたり、左右に散っていく。
表面が若干溶けているが土壁の先にいる俺の元へ届くことはない。

……嘘です。 はしっこの部分だけ焦げた。

熱いわ!

「どっせい!」

ブレスもずっと吐き続けれる訳じゃない、止んだ瞬間を狙って土壁を鉄竜に対して投げつける。
鉄竜も自分のブレスであっつあつになったそれは食らいたくないようで咄嗟に横に回避する……ので避けた先に向かって種をぶっぱなす。

あ、もちろん今度はいっぺんに撃つようなことはしてないからねっ、連打はしてるけど。

鉄竜とは結構な距離が空いてるけど、相手の図体かなりでかいもんでばっすばす当たる。
名前に負けない通り全身が鉄のような鱗やら甲殻で覆われているが、薄い部分であればバスバス抜けるし分厚い部分も抜けはしないが弾かれもしない。威力的には十分である。


「……これ良いな。 消耗はするけどそれは補給すれば良いし……むっ」

相手のブレスは土壁でガードして、半ば一方的に種をぶっぱなしてた訳だけど……鉄竜はこのままじゃダメだと判断したらしく、ブレスを吐いた後に突っ込んできた。

……まあこっちも黙ってそれを見ている理由はない。
突っ込んできた鉄竜めがけて種を打ち込む。

いい感じで当たっているけど、がん無視で突っ込んでくる。


「おっひょい!」

突っ込んでくると同時に噛みつき、そして前腕を振るうがそれは全力で飛んで回避する。
俺は宙を飛び……ぴたりと空中で静止する。

……別に新たな能力が発動! とかそういう訳じゃないよ。
単に鉄竜の前腕に蔦を絡めておいただけなのです。

あとは蔦を巻き取って……伸ばして隙だらけになった前腕目掛けて攻撃を叩き込む!

「おっしゃ前腕いっただき!」

鱗がひしゃげ、骨が折れる音がした。
ちぎれこそしなかったがもう使用する事は出来ないだろう。

前腕が折れた鉄竜は体勢を崩し突っ込んできた勢いのまま地面を滑っていく。

勢いが収まり止まった時には俺は既に鉄竜の拘束を終えていた。
両足と無事な片腕、それに頭をがっちり固定する。 頭は首が長いこともあって例え鉄竜の背に乗っていたとしても攻撃を受ける可能性があったので、がっちり抑えておいた。

あとは耳にでも蔦を突っ込んで……耳あるのかな鉄竜って。

「これでもう動けない……えっと耳べふぅっ!??」

耳探していたら横っ腹にものすっごい衝撃がきた。
タマさんの奴よりきっついぞこれ!


「あっ!? し、尻尾か!」

ぶっとばされて顔を上げてみれば、そこにはゆらゆらと揺れる長い尻尾があった。
そうだった、竜だもん尻尾あるよね!

「くっそ忘れてた……あばら折れたかこれ」

あばらがギシギシと痛む。 これたぶん折れてるよね。
まあ、ちょっと時間経てば治るけどね!
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