106 / 156
生を受けた理由
「105話」
しおりを挟む
「……とりあえず戻るか」
まあとりあえず戻ろう。
貰って即捨てるってのもないし、一応持って帰ろうと思う。
タマさんならこれが何か分かるかも……分かるかなあ。
少なくとも俺よりは分かるはず……そんな感じでちょっと不安を覚えつつ街へと戻るのでした。
「もう解体始めてるのね」
街へ戻るとにゃんこ達はもう尻尾の解体を始めていた。
てか間近で見ると尻尾のでかさがやばい。
太いところだと直径15mぐらいあるんじゃない?
それをにゃんこ達がよってたかって切りまくってる光景は……なんかすごい。
「料理の準備もしないとだからニャ」
そうだった、これ食べるんだった。
解体するだけでも一苦労だし、その上料理もしないとだから時間も掛かるってもんだ。
「ところでそれ何ニャ?」
「いやー……あのでっかいのに貰ったんだけど、俺もよく分からない……」
本当にわからん。
見た目はー……なんか白っぽい三角錐気味の丸い何か。
あと結構古そうな見た目してる。
「んー……にゃがっ」
「食べ物じゃないと思うんだよなあ」
いつか見た光景ですね。
タマさん、分からないととりあえず齧るのね……。
「見たら何となく分かるニャ。 これ、削れてすっかり丸くなってるけどたぶんあいつの牙ニャ」
「え? そうなんだ?」
牙ってあのでっかいやつか。
でも、これは俺が抱えられるぐらいの大きさだし、たぶんさきっちょが欠けたやつとか?
……牙なんて貰ってどうしろと。
「無茶苦茶堅いニャー。 防具にするか武器の強化に使うといいニャ」
「おぉ……」
おう、ごめん。なんか有能な素材だったぽい?
よくみたたタマさんが齧っても浅い穴しか開いてないし、下手な金属よりずっと堅いっぽいぞこれ。
ありがたく頂いてしまおう。
「それじゃタマも手伝ってくるニャ。 ウッドはその辺で……変なことせずじっとしてるニャ」
「はひ」
やだ、まだタマさんの目が冷たいわ。
おとなしくまってます……本当ダヨ?
大体3時間ぐらい経っただろうか、だんだんいい匂いが漂ってくるようになってまいりました。
俺? ちゃんと大人しくしてましたよ。 キャットタワーと化しているがな!
一歩たりとも動いてないし、というか指先すら動かしてないのでタマさんも怒れまい!
そんな感じでドヤ顔してたら口にお肉つっこまれました。
もちろん生じゃねーです。
「肉うめぇっ」
「やっぱ美味しいニャ」
すっごい脂乗っててすごいなこのお肉。
脂乗ってるけどさらっとしててしつこくない……うむ、こりゃにゃんこ達に狙われるのも分かると言うものだ。
「ニャ。 ウッドはあれニャ」
「んも?」
なんでしょう。
お肉に夢中でちゃんと聞いてなかった。
「せっかくの歓迎会なんだニャ。 何か挨拶するか一発芸でもするニャ」
「そんな飲み会で後輩に絡む先輩みたいな……えぇ、本当にやるのぉ?」
それ何てパワハラ。
お酒はいっている状態ならともかく素面の状態でやるのはちょっと辛いんですが、それは。
「ニャ」
「えー……そ、それじゃあ」
……まあ、歓迎会開いてくれたわけだし、お礼は言わないといけないと思ってたからね。
ちょうど良いタイミングだと思ってやってしまおう。
「本日は、このような会を設けていただきありがとうございます。 私、タマさんと一緒にダンジョンシーカーをやっているウッドと申します。 この街で醤油とお味噌を作っていると聞いていてもたっても――……」
結果から言うと誰も聞いていなかったデス。
そりゃそうよ! お肉と俺のスピーチどっちを優先するって言ったらそりゃお肉ですよねっ!!
泣いちゃうぞ、大の大人が泣いちゃうぞ。
「いつまでいじけてるニャ。 元気だすニャ」
「別にいじけてなんか……あ、手はそのままでお願いします」
タマさんが俺を慰めるように肉球を押し付けてくる。
まったく、肉球押し付ければ良いとかそんなこと思ってないよね? その通りなんだけどさ!
あ、ちなみにですね。
俺たちはもうタマさんの故郷を離れて森の中を歩いているところです。 走ってないのはお腹きついからですね。
結局あの後ひたすら食って飲んでしかしてなかったもんで……おなかいっぱいなったところで、お礼言ってそろそろお暇しまーすと言ってきたんだけど、たぶん大半のにゃんこは気が付いてなさそう。
お肉まっしぐらって感じデス。
んで、帰るときに忘れずに醤油とお味噌をゲットして、ついでに皆のお土産にってことでここ特産のお酒もゲットしておいた。
あとは帰るだけなんだけどー……。
「…………ねえ、タマさん。 気のせいかな、すっごい地面揺れてない?」
「気のせいじゃないニャ」
なんかさっきからグラッグラ地面が揺れてるんすよ。
あとね、ずしんずしんって重そうな音もしてるの。いやな予感しかしないの!気のせいって言ってよタマさん!
ああー、もう嫌な予感しかしない。
これ絶対あれだよ、あのでっかいのが近くにいるよ。ていうか追ってきてませんかねこれ?
……ちらっとな。
「…………うげっ」
俺たちの後方……たぶん1キロ先ぐらいかな。
あのでっかい奴が明らかにこっちに向かって近づいてきていた。
まあとりあえず戻ろう。
貰って即捨てるってのもないし、一応持って帰ろうと思う。
タマさんならこれが何か分かるかも……分かるかなあ。
少なくとも俺よりは分かるはず……そんな感じでちょっと不安を覚えつつ街へと戻るのでした。
「もう解体始めてるのね」
街へ戻るとにゃんこ達はもう尻尾の解体を始めていた。
てか間近で見ると尻尾のでかさがやばい。
太いところだと直径15mぐらいあるんじゃない?
それをにゃんこ達がよってたかって切りまくってる光景は……なんかすごい。
「料理の準備もしないとだからニャ」
そうだった、これ食べるんだった。
解体するだけでも一苦労だし、その上料理もしないとだから時間も掛かるってもんだ。
「ところでそれ何ニャ?」
「いやー……あのでっかいのに貰ったんだけど、俺もよく分からない……」
本当にわからん。
見た目はー……なんか白っぽい三角錐気味の丸い何か。
あと結構古そうな見た目してる。
「んー……にゃがっ」
「食べ物じゃないと思うんだよなあ」
いつか見た光景ですね。
タマさん、分からないととりあえず齧るのね……。
「見たら何となく分かるニャ。 これ、削れてすっかり丸くなってるけどたぶんあいつの牙ニャ」
「え? そうなんだ?」
牙ってあのでっかいやつか。
でも、これは俺が抱えられるぐらいの大きさだし、たぶんさきっちょが欠けたやつとか?
……牙なんて貰ってどうしろと。
「無茶苦茶堅いニャー。 防具にするか武器の強化に使うといいニャ」
「おぉ……」
おう、ごめん。なんか有能な素材だったぽい?
よくみたたタマさんが齧っても浅い穴しか開いてないし、下手な金属よりずっと堅いっぽいぞこれ。
ありがたく頂いてしまおう。
「それじゃタマも手伝ってくるニャ。 ウッドはその辺で……変なことせずじっとしてるニャ」
「はひ」
やだ、まだタマさんの目が冷たいわ。
おとなしくまってます……本当ダヨ?
大体3時間ぐらい経っただろうか、だんだんいい匂いが漂ってくるようになってまいりました。
俺? ちゃんと大人しくしてましたよ。 キャットタワーと化しているがな!
一歩たりとも動いてないし、というか指先すら動かしてないのでタマさんも怒れまい!
そんな感じでドヤ顔してたら口にお肉つっこまれました。
もちろん生じゃねーです。
「肉うめぇっ」
「やっぱ美味しいニャ」
すっごい脂乗っててすごいなこのお肉。
脂乗ってるけどさらっとしててしつこくない……うむ、こりゃにゃんこ達に狙われるのも分かると言うものだ。
「ニャ。 ウッドはあれニャ」
「んも?」
なんでしょう。
お肉に夢中でちゃんと聞いてなかった。
「せっかくの歓迎会なんだニャ。 何か挨拶するか一発芸でもするニャ」
「そんな飲み会で後輩に絡む先輩みたいな……えぇ、本当にやるのぉ?」
それ何てパワハラ。
お酒はいっている状態ならともかく素面の状態でやるのはちょっと辛いんですが、それは。
「ニャ」
「えー……そ、それじゃあ」
……まあ、歓迎会開いてくれたわけだし、お礼は言わないといけないと思ってたからね。
ちょうど良いタイミングだと思ってやってしまおう。
「本日は、このような会を設けていただきありがとうございます。 私、タマさんと一緒にダンジョンシーカーをやっているウッドと申します。 この街で醤油とお味噌を作っていると聞いていてもたっても――……」
結果から言うと誰も聞いていなかったデス。
そりゃそうよ! お肉と俺のスピーチどっちを優先するって言ったらそりゃお肉ですよねっ!!
泣いちゃうぞ、大の大人が泣いちゃうぞ。
「いつまでいじけてるニャ。 元気だすニャ」
「別にいじけてなんか……あ、手はそのままでお願いします」
タマさんが俺を慰めるように肉球を押し付けてくる。
まったく、肉球押し付ければ良いとかそんなこと思ってないよね? その通りなんだけどさ!
あ、ちなみにですね。
俺たちはもうタマさんの故郷を離れて森の中を歩いているところです。 走ってないのはお腹きついからですね。
結局あの後ひたすら食って飲んでしかしてなかったもんで……おなかいっぱいなったところで、お礼言ってそろそろお暇しまーすと言ってきたんだけど、たぶん大半のにゃんこは気が付いてなさそう。
お肉まっしぐらって感じデス。
んで、帰るときに忘れずに醤油とお味噌をゲットして、ついでに皆のお土産にってことでここ特産のお酒もゲットしておいた。
あとは帰るだけなんだけどー……。
「…………ねえ、タマさん。 気のせいかな、すっごい地面揺れてない?」
「気のせいじゃないニャ」
なんかさっきからグラッグラ地面が揺れてるんすよ。
あとね、ずしんずしんって重そうな音もしてるの。いやな予感しかしないの!気のせいって言ってよタマさん!
ああー、もう嫌な予感しかしない。
これ絶対あれだよ、あのでっかいのが近くにいるよ。ていうか追ってきてませんかねこれ?
……ちらっとな。
「…………うげっ」
俺たちの後方……たぶん1キロ先ぐらいかな。
あのでっかい奴が明らかにこっちに向かって近づいてきていた。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした
高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!?
これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。
日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。
おばさん冒険者、職場復帰する
神田柊子
ファンタジー
アリス(43)は『完全防御の魔女』と呼ばれたA級冒険者。
子育て(子どもの修行)のために母子ふたりで旅をしていたけれど、子どもが父親の元で暮らすことになった。
ひとりになったアリスは、拠点にしていた街に五年ぶりに帰ってくる。
さっそくギルドに顔を出すと昔馴染みのギルドマスターから、ギルド職員のリーナを弟子にしてほしいと頼まれる……。
生活力は低め、戦闘力は高めなアリスおばさんの冒険譚。
-----
剣と魔法の西洋風異世界。転移・転生なし。三人称。
一話ごとで一区切りの、連作短編(の予定)。
-----
※小説家になろう様にも掲載中。
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します
三門鉄狼
ファンタジー
目覚めると、リビングアーマーだった。
身体は鎧、中身はなし。しかもレベルは1で超弱い。
そんな状態でダンジョンに迷い込んでしまったから、なんとか生き残らないと!
これは、いつか英雄になるかもしれない、さまよう鎧の冒険譚。
※小説家になろう、カクヨム、待ラノ、ノベルアップ+、NOVEL DAYS、ラノベストリート、アルファポリス、ノベリズムで掲載しています。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる