拝啓神様。転生場所間違えたでしょ。転生したら木にめり込んで…てか半身が木になってるんですけど!?あでも意外とスペック高くて何とかなりそうです

熊ごろう

文字の大きさ
153 / 156
後日談?

「アフター6話」

しおりを挟む
お尻を擦りながらタマさんの後を付いて行くことしばし……しばし?


「なんでこんな広い……?」

我が家は確かに広いが、こんなに歩かなくとも玄関まで着くはずだ。
ここ、本当に我が家だよね……?


なんて不安になってきた訳だけど……そのまま少し歩くと森がふっと途切れて建物が見えてくる。……ついでに半端じゃなく広くなった畑も。

「うおー……まじで我が家だ。どうなってんのこれ?割とちゃんとした川まであるし……」

ちょっと色々と気になることはあるが、確かに我が家である。
あまり長い期間住んでいた訳じゃ無いけど、見間違えることはない……しかしなあ……畑広がってるし、川とかあるんだよなあ。タマさんと川遊びしたら楽しそうですね?


「ハナの魔法ニャ」

なんでもありだな、魔法って。

やはりと言うか何というか、この我が家周辺の不思議空間はハナが何かしでかした結果によるものらしい。

……まあ、広くなったし、別に文句は無いのだけどね。
街中にあんな森が現れたらちょっと邪魔にならないかなーって気になるぐらいだ。近所の評判が怖い。

「っへー……肝心のハナは?どこだろ」

「あそこニャ」

「おっ……寝ながら草くってる」

やらかした本人はどこに居るのやら、と思ったら……草むらで寝そべってむしゃむしゃと草を食んでいた。
鼻ちょうちん出てるから、寝てるね完全に!
暢気なもんである。


「おーい、ハナおきろー。帰ったぞー」

寝ているハナに手を掛けてゆさゆさと揺らすと、ぱちんと鼻ちょうちんが割れて、ハナがのそりと身を起こす。



「ハハハ……一瞬忘れかけてたの気のせいかなっ」

そして起こした張本人である俺をじーっと見つめ……くりっと首を傾げた。
俺のこと忘れてませんかね!?


「この森?全部ハナがやったんだよね?」

その後、ちょっとしたら俺のことを思い出したらしく、頭をすり寄せてきたので撫でながらこの森について聞いてみた。

「あ、やっぱり……嬉しそうね」

ハナがやったことで間違いは無いらしい。
そしてどこか得意気にみえる……確かに凄い魔法だとは思うけどね。
タマさんの魔法とは別方向でだけど。

魔法が未だに使えない俺にはなんとなーくしか分からんけど、様は空間を歪めていたって事でしょ?それ、相当難しいと思うんだ。

その使い道が畑を広げて川を造るってのが、なんとなくハナっぽいけど。


まあ、とりあえずご飯にしよう。

「米のストックぱないな。野菜は干してあるんかな、これ」

食材ある?とハナに尋ねると、庭に何時の間にか建っていた小屋……小屋と言うか倉庫だなこれ。
倉庫に連れていかれ、中を覗けば大量のお米やらなんやらがぎっしりと詰まっていた。

全部ハナが育てた作物である。
日保ちしない物は乾燥させたりして、長期間保存できるようにしたとかなんとか。

いや、凄いねこの子。
なんであんなところで尻尾切られる生活をしていたのだろうか……謎だ。




「うまうま」

それはそうとご飯ですよ!
どれも大変美味しゅうございます。

ギルドのご飯も美味しいけど、野菜とか食うならこっちのが断然おいしい。

あ、ちなみに作ったのはハナである。


「おいしいニャ」

「……タマさん野菜は相変わらず苦手か」

「ニャ!」

タマさんも美味しそうに食っていたのだけど、流れるような動作で俺の皿に野菜を入れていく……まあ、全部ではないんだけどね。美味しかろうが苦手なものは苦手らしい。



「ほいほいデザートね。たんと食べるのよー」

でも果物は好き。
野菜も甘いのは甘いんだけどねー。苦味成分が嫌なのかなーと思う。

んま、久しぶりの果物だしたっぷり食べると良いのですよ。
タマさんもハナも果物好きだから、がんがん売れていく。

俺は果物は1個も食えば十分なので、果物出すだけ出してお酒飲んでる。

日常に戻ってきたって感じがするね。
さて、明日はギルドの再建のお手伝いしないとだし、お風呂入って寝るとしますかね!


タマさんお風呂に連れてこうとしたら全力で逃げられたよ、こんちくしょう。

久しぶりの一緒にお風呂タイムはしばらくお預けのようである……。



そして翌朝。

ギルド再建しないとーって事で、ギルド跡地に向かうと、そこには既にキンバリーさんの姿があった。

誰かと話してるみたいだけどー……あ、どっか行ったね。
さて、挨拶挨拶っと。

「キンバリーさん、おはようございます」

「お?ウッドか……それにタマさんも」

ご無沙汰してます。

あ、今日はギルドの再建のお手伝いがお仕事なんだけど、タマさんも心配だからって着いてきてくれたんだよねー。
もう、タマさんってば心配性なんだから。ぐへへ。


あ、ハナはお留守番だよ。
種をおくれーと要求されたので、一杯渡しておいた。
植えるのかなって思ったらポリポリ食べてたけどなっ。

あれだ、ひまわりの種的な?意外といける可能性はある。
食おうとは思わんけどっ。

「本当に良かったよ復活して……」

「なんとか戻ってこれました」

いや、ほんと、まじでね。
かなーり危ない橋を渡ったと自覚はある。
もう二度とやらないかんなっ。無駄死にとかまっぴら御免である。

「そして戻って早々これとはなあ……相当飲んだんだな」

「ええ、5日続きましたからね!」

みんなあたまおかしい。

お酒飲みすぎて爆発炎上するとか、一体誰が想像できようか。
つまり俺は悪くないっ。

「そんなにか。俺も参加したかったが嫁さんがな……」

……ん?

「えっ嫁?誰のですか?」

「俺のだよ」

んんん?

「え……またまたご冗談を。分かってます、分かってます。ちょっとした小粋なジョークってやつですね。ハハハ」

「なんで冗談言わないといけないんだよ……」

嘘だろ……俺と同じロンリー野郎だと思ってたのに裏切ったね!

ちくしょう……どうも例の指導者との戦いで、偶然居合わせた女性を助けたんだそうだ。
それで一目惚れからのお付き合いが始まり、結婚に至ったと……ぐぎぎぎ。

「いいもん。俺にはタマさんがいたああああ!?」

お腹に顔を埋めようとしたら噛まれたっ!
てか鼻はあかん!鼻は噛んだらあかん!!




「はよ働くニャー」

「ハイ」

タマさんに見送られ、ギルド跡地へと向かう俺。
悲しさと嬉しさがミックスされて俺の心は今混沌と化している。
我ながら何言ってんだろう。

しおりを挟む
感想 171

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~

御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。 十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。 剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。 十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。 紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。 十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。 自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。 その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。 ※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。

気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!? これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。 日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。

おばさん冒険者、職場復帰する

神田柊子
ファンタジー
アリス(43)は『完全防御の魔女』と呼ばれたA級冒険者。 子育て(子どもの修行)のために母子ふたりで旅をしていたけれど、子どもが父親の元で暮らすことになった。 ひとりになったアリスは、拠点にしていた街に五年ぶりに帰ってくる。 さっそくギルドに顔を出すと昔馴染みのギルドマスターから、ギルド職員のリーナを弟子にしてほしいと頼まれる……。 生活力は低め、戦闘力は高めなアリスおばさんの冒険譚。 ----- 剣と魔法の西洋風異世界。転移・転生なし。三人称。 一話ごとで一区切りの、連作短編(の予定)。 ----- ※小説家になろう様にも掲載中。

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼
ファンタジー
目覚めると、リビングアーマーだった。 身体は鎧、中身はなし。しかもレベルは1で超弱い。 そんな状態でダンジョンに迷い込んでしまったから、なんとか生き残らないと! これは、いつか英雄になるかもしれない、さまよう鎧の冒険譚。 ※小説家になろう、カクヨム、待ラノ、ノベルアップ+、NOVEL DAYS、ラノベストリート、アルファポリス、ノベリズムで掲載しています。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

処理中です...