家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

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「5話」

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穴から這い出て家に戻り椅子に腰かけ一息つく。
あ、もちろん作業着は脱いでるよ、汚れちゃうからねー。

靴もだけど、あとで洗わないとだなあ。
幸い靴は黒っぽいこともあって血はそこまで目立たないけどそのままって訳には行かないだろう。

乾いた血でカピカピになってしまうのだ。


「ぷぅ……結構疲れたなあ」

ダンジョンから出たら途端にどっと疲れがでた。
探索している間はそうでもなかったんだけど、脳内麻薬的なものが出てたのだろうか。

とは言え。


「ご飯食べたしもっかい行く?」

昼食を食べ終える頃にはすっかり元気になっていたりする。
まだ高校生ですし? 元気は有り余ってるのだ。

久しぶりの缶詰にチュールも貰えたクロは機嫌よさそうににゃーんと返事を返してくれた。
クロも来てくれそうだね。


「よっし、せっかくだから後2~3個欲しいね、それに地図を埋めちゃいたい」

高校生、それはゲーム大好きなお年頃。
俺もその例に漏れることなくゲームは好きだったりする。
そんな俺が一度ダンジョンに潜っただけで満足するわけもなく、もっとポーションを手に入れてついでに今度はちゃんと地図も作ろうと思う……そしてあわよくばポーション以外のお宝も手に入れたい。 そんな気持ちでいっぱいなんです。


「お? ネズミだ」

昼食を終え、さっそくクロと一緒に再びダンジョンへと潜ったんだけど帰り道には居なかったネズミが曲がり角から飛び出してきた。 これは時間経過で復活するっぽいかな?

最初と同じパターンだけどもうビビる様なことは無い、何度もネズミと対峙して連中の行動パターンはもう分かっているのだ。
ひたすら真っすぐこちらに向かって飛び掛かって噛みつくだけ。 なので割と対処は簡単である。

「うりゃあっ」

靴に伝わるガツンッと重い手ごたえ。
ボールを蹴るかの様に蹴り上げた足はネズミの顎を捉え、吹き飛んだネズミは壁へと叩きつけられる。

一拍遅れてズリズリと床に落ちるネズミはピクリとも動かない。

「よっし」

さすがに何匹もやっつけてれば慣れるよねって話だ。
通路に出るネズミは1匹か2匹だ、ごく稀に3匹でるけど慣れてしまえばなんて事はない。

進むペースも上がり、30分ほどでポーションを見つけた小部屋へとたどり着いた俺たちはさらに奥へと歩を進めて行った。




「あっれ、ここ行き止まりだと……やっぱそうだ」

さらに1時間ほど進んだ辺りで少し困ったことになった。
ネズミが大量に居る部屋を避けて通路をメインに進んでいたのだけど、行き止まりになってしまったのだ。
つまりこれ以上進むのであればネズミが大量に居る部屋を通らないとダメってことだ……少なめの部屋どこだったかな。



ここは8匹、無理。


ここも8匹、次々。


ここは……。


「5匹か……いけると思う?」

そうクロに声をかけるとクロはにゃあと小さく鳴くと部屋へと向かっていく。
いけるって事かな?

「そっか……じゃあ俺は左の3匹やるからクロは右のお願いしても良い?」

クロはにゃと鳴くと部屋の前で姿勢を低くし前足をふみふみする。
いつでも行けそうだ。

最初はビビりまくってたネズミとの戦闘もかなり慣れてきてるし、てかあいつらまっすぐ突っ込んで来るだけだからカウンターで蹴り入れればそれで終わるんだよね……だから落ち着いてやれば3匹でも問題はない、はず。

もし噛まれてもポーションあるし、行ってみよう。



「じゃあ1、2の3でいくよ? 1、2のー……3っ」

合図と同時に飛び出す俺とクロ。
それに反応しネズミがこちらへと一斉に向かってくる。
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