家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

文字の大きさ
62 / 304

「62話」

しおりを挟む
と、都丸さん話していると再び家のチャイムが鳴らされる。

「ん……今度は誰だ」

さっきの事も有り、警戒するようにのぞき窓から覗いてみると、そこには人の良さそうなスーツ姿のおっちゃんが居た。

見た感じは大丈夫かな……そう思い、扉を開けると。

「島津浩平さんですか? 補佐官の大塚です。 なんでもダンジョンについて詳しくお聞かせ頂けるとの事で……本日はよろしくお願いします」

「あ、いえ、こちらこそー」

と言った感じで丁寧に挨拶をお辞儀をするおっちゃん。
俺も思わずぺこぺこと頭を下げてしまう。


「それでは私はこれで」

その様子を見ていた都丸さんだけど、真面目な表情でビシッと敬礼をし、外へと向かっていく。

この人は都丸さんも知っている人だったのかな?


っと、行っちゃう前に都丸さんにお礼言わないと。

「都丸さん。 ありがとうございました!」

そう言って手を振ると、都丸さんも軽く手を振り、ダンジョンの方へと歩いて行く。

いやー……本当に最初に来てくれたのがあの人達で良かったよ。
今度また焼き肉でも誘うかな。



っと、おっちゃん待たしちゃ不味いね。
とりあえず家に招き入れて、お茶でも出さないと。




お茶を一口飲み、一息置いておっちゃんは話し始める。

「島津さん、先ほどは失礼しました。 不届き者につきましては、どこの者か確認した上で正式に抗議しますので……身柄も確保しましたし、もう現れる事はありません。後ほど正式な謝罪が届くかと思います」

「……分かりました。 自衛隊さんとは関係ないと分かりましたので、私はそれで良いです」

最初の話はさっきの男についてだった。
身柄を確保ってことは逮捕でもしたのかな?パトカーの音は聞こえなかったけれど……てかどこの者か確認って、外務省の人間じゃ無かったって事? いや、単純に確認取れてないだけ?


どっちか分からないけど、後で正式に謝罪があるならその時分かるか……まあ、いいや。今後あいつが現れないならそれでいい。てか現れたらその時は思いっきりぶん殴ったるわ。


「ありがとうございます」

おっちゃんはありがとうございます。言うと再び頭を下げる。
別におっちゃんが悪い訳では無いと思うんだけどねー。


「さて」

おっちゃん頭を上げると、一言呟いてから話し始めた。

「本当は色々と詳しく聞きたい事があったのですが、急ぎ確かめたい項目がありまして。 ……まず、ダンジョンの管理者が存在すると言うのは確か何でしょうか?」

「はい、本当です。 自衛隊の皆さんも近い内に会うことになると思いますよ」

「おお、それは素晴らしい」


おっちゃんは俺の応えを聞くと満足そうに笑みを浮かべる。

早いところアマツに会ってお話ししてね!
一般開放されるの本当に心待ちにしてるんだから。

早くじいちゃんばあちゃんにもポーションを…………待った、このダンジョンってたぶんニュースになるよな? そしたら家の敷地にダンジョンがあるってじいちゃんばあちゃんにばれるよね。

二人がニュースで知る前に話してしまうか。
たぶんあの湿布の出所について勘付くかもだよな……よし、話すか。話してポーションを渡しちゃおう。

いずれ世間一般にポーション出回るだろうし、多少前倒しになるだけだ。

ただ、一応アマツと……このおっちゃんにも相談してからかな?


「……では。次に管理者殿はダンジョン内で得た物を……そうですね、例えば政府が全て一時的に預かった場合、問題視すると思いますか?」

「えーっと……本当に預かるだけであれば大丈夫だと思います。 預かるという名の没収であれば不味いかと……ただ、私がそう思うだけですので、本人に確認するのが一番だと思います」

おっと、考え事している内に次の話に移ってた。
没収はあかんと思うよ。

アマツは基本的にいい人だし、ダンジョン攻略者に対して優しいと思う。
でもそれを邪魔する相手に対してどう出るかは……結構思い切った手を打ちそうな予感がするね。 なにせハチ公前にダンジョン移動しちゃう様な人ですし。

「ええ、確かにその通りですね。 ……ちなみに管理者殿に会うにはどうすれば宜しいですかな」

「んー……条件を満たして、規制を解除すれば会えるようになります」

「なるほど、そうですか……分かりました」

条件を満たさない限りは5階に行ってもアマツは出て来ないだろうね。
だからこそ自衛隊の人らが苦労してるんだし、このおっちゃんもアマツに会うならダンジョンに潜って条件を満たさないとダメだろう。


うん、きつくね?それ。
仮に今後政府の偉い人がだよ、アマツと交渉したい!ってなっても、ダンジョンに潜ってレベル上げないとダメなんだよね。

大丈夫かな? まあでも……ダンジョンがどんなものか身をもって体験すれば、あんま変なことする奴も居なくなって、良いのかも知れない。

アマツがそこまで考えてるかは分からないけれど……たぶん考えてるんだろうなあ。



「本当にこの話を聞けて良かったですよ。 もし聞かないまま法案が成立していたらと思うとゾッとします」

「あ、さっきの男が言ってた奴かな?」

「ふむ?」

ダンジョンで入手した物を無断で所持した場合重罪に問うってうやつね。
確かにこれ成立したらやばいよね。一度成立したの戻すって大変そうだし。

とりあえずおっちゃんにさっきの男の事も含めて話してみよう。


俺の話を聞いたおっちゃんは、ははぁと言った表情浮かべ話し始める。

「確かに罰則を設けると言った案もでましたが、最終的には除外されてますよ。ご安心ください」

あいつの言ってたこと嘘じゃん!
くそ、次見かけたらふるぼっこにしちゃるぞ。

「成立するのは延期ですね。お聞かせ頂いた話を元に内容を修正しないとですからな」

どうも、ダンジョンで入手した物は政府が一時的に預かる……と言った内容だったらしい。
この場合は預かるという名の没収になるそうなので、このままだとやばいって事で修正するそうな。


「追加で二つ質問しても宜しいですかな」

「はい、勿論です」

どんな質問だろうね。

「まず一つは、体と同様に身に付けている装備なども強化されるのですかな?」

「されますねー」

武器も防具もやばい感じに強化されてますな。
たぶんダンジョン内でなら銃で撃たれても、ちょっと痛いぐらいで済むと思うよ。

「では、ダンジョンから出てもその強化は持続するのですかな?」

「いえ……あー、しないと思いますが、試していないので正確には分からないです」

そう言えば試した事ないな……身体能力はダンジョン内限定……いや、実際には違うけどね5%と誤差よ誤差。
で、装備も恐らくは同じだと思うんだけどねー。こればっかりは試して見ないと分からな……くもない。アマツに聞けば良いじゃん。後で聞いておこっと。

「なるほど。 島津さん、ありがとうございます。 かなり有益な情報が得られました」

「あ、もう良いんですか?」

質問3つで終わり?
急ぎ確かめたいって言ってたから、時間ないのかなー?
こっちから聞きたい事もあったんだけど。

「ええ、隊員とダンジョンについて話したでしょう? 実は調査チームの隊員にはカメラを持たせていましてね、話は全て知っているのですよ」

まじか。
気付かんかったなあ……。

「あ、なるほ……焼き肉食べたの怒られないですか? あれは俺が誘ったんで隊員さんが悪い訳では……」

自衛隊ってこの手の厳しいイメージがある。
隊員さん達が怒られてしまうのはちょっと……。

「ははは! ご安心を、あれぐらいでしたら問題ないですよ」

「なら良かったです……あの、こちらから質問してもよろしいでしょうか?」

怒られない様で何より。
ついでにダメ元でこっちから質問OKか聞いておこっと。


「ええ、構いませんよ。私に答えられる事なら何でも」


OKらしい。

んじゃ気になってる事から聞いちゃおうかなー。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...