家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

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「63話」

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とは言ってもそこまでたくさん質問があるわけじゃ無いんだけどね。
ぱっと思いついたのだけ聞いて、また思いついたら別途確認すれば良いし。


「えっと、予備自衛官になった場合、やはり自衛隊に組み込まれた状態でダンジョンに潜る事になるんでしょうか?」

組織に組み込まれてどう働かされるのか気になるよね。
待遇良いならあれだけど、超絶ブラックだったらアマツのところに逃げ込む所存です。ふふふ。

おっちゃんは少し困った風に頬をかき、少し間を置いてから俺の待遇について話し始める。

「そのお話しは島津さんを外圧から守るため、ぽっと出て来たお話しでして。実はその辺りについては、まだ決まっていないのですよ。 ただ言えるのは決して無理強いする事は無い、と言うことです。 恐らくは隊員が条件を満たすまでアドバイスを頂いたり、実際に一緒に潜って頂いたり……と言った具合ですかな? その時間以外は好きに行動して頂いても構わない、と言う方向になるかと思いますよ」

ほほー。

聞いた感じだとかなり楽そうに思える。
お国のために24時間ダンジョンに潜り続け、隊員を鍛え上げろとかにはならなさそう。

問題はどれぐらいの頻度かと、一回に拘束される時間だよな。
畑の手伝いできるだけの時間は何とか確保したいところである。

「予備自衛官になったからと言って、島津さんが入手したポーションを全て回収する……なんてことはしません……と言うより出来ません。 あ、勿論売っていただけるのであれば大歓迎ですが」

出来ません、か。
やっぱアマツの話をしたのがでかいなあ。

あれが無かったら政府がポーションを全て回収してたんだろう。
そして返ってくるかは不明と。 ……うむ、アマツ様々だね。あとで何か御供えでもしてあげようか。


「先ほど隊員が回収したポーションについても返却致しますね」

俺が微妙な表情を浮かべていると、大塚さんがそう言い加えた。

「あー、いえ。あれは良いです、自衛隊さんで使ってください。 条件を満たすまでに、絶対必要になると思いますんで」

俺としては別に返して貰わなくても良い。
あれはこのままじゃ隊員さんやべーでしょ?ってことで出したポーションだし、隊員さん達に使って貰えればそれで良いのだ。


「おお、それはありがとうございます。 実は喉から手が出るほど欲しかったのですよ。 ははは」

と、言った感じでその後いくつかやり取りをして話は終わった。
ちなみにポーションについては代金を後ほど振り込むとの事だった。

俺としては貰わなくても良かったんだけどね、向こうが管理者の怒りに触れるのをかなーり気にしているそうで、結局受け取る事になってしまった。
お値段だけど、1本5万円とかなりの高額である……高額だよな? ポーションぽんぽん手に入るもんで感覚が麻痺している。

たぶん5万円って対価はポーションが大量に入手可能という前提の価格かな?
そうじゃなければいくら積んでも手に入れたいって代物のはずだし。

まあ、思ったよりも貰えるので問題なしだ。
このお金でアマツにお供え物でも買ってあげよう。


後は……一次調査が終わったら、自衛隊と一緒にダンジョンに潜る様に依頼が来るとかなんとか……そっちも1日あたり結構な金額が貰えるっぽいね。


「……疲れた」

色々ありすぎて疲れた。
こんな時はクロに癒やされたい……ソファーに仰向けに転がりそう考えていると、お腹にズシリと重みが来る。

目を開けてみれば、クロが俺のお腹で香箱座りしていた。

俺の気持ちを察して来てくれたのか……さすがクロである。

俺が色々話し込んでいる間、ちゃっかりどこかに避難していたのは気にしないでおこう。
猫だし、しょーがないよね。



「んー……よし、復活した」

しばらくクロを撫でていると、疲れた心が癒やされるのがよく分かる。
ほんの数分で全快だぜ、ふっふー。



さてと。

「アマツさんの所に行ってみよう……止められ無いと良いけど」

じいちゃんばあちゃんにカミングアウトする前に相談したい。それと今日のことについて報告もしないと……もちろんアマツの事だからこっちの様子は見ていると思うけどね。

一応直で会って報告とかしておきたいのだ。

クロも暇だったからか一緒に行ってくれるみたいだ。
俺はソファーを降りてクロを抱えて
玄関を出る。


外に出て納屋の方を見るが、まだかなりの人が納屋の周辺にいた。
納屋というか壁だけどね。

何時の間にか納屋の周りが壁で囲まれていたのだ。
そして入り口らしきところには自衛隊さんが立っている。あの人に見つからずにダンジョンに入るのは無理なので、ここは素直にダンジョンに入りたいと言ってみるか。

もしかすると調査中でも入れるかもだしね。

さて、隊員さんに声をかけてみようか。



「あの、すみませーん」

「はい、何でしょうか?」

「ダンジョンに入っても大丈夫ですか……?」

「ええ、島津さんですよね。 勿論大丈夫ですよ、ただ無理はなさらないで下さいね?」

「はいっ」

すんごいあっさり通れた。
俺は何時でも入ってはオッケーってなってるのかな? さっきのおっちゃんの話も本当ぽいなーと思えてきた。

クロもオッケーなのは戦闘の様子も見たって事なんだろうね。


さて、アマツに会いに行くにはゲートを通るのが一番だけど……。

「さってさて……休憩所に人おるやん。 ……しゃーない、走って行くか。 クロ、いくよー」

休憩所には結構な人数がいた。
機材とかも持ち込んでいるし、ここを拠点にする感じかな?

アマツの力でゲートを使ってもばれない可能性はあるが、さすがに試す勇気は無い。

俺たちは諦めて走って5階へと向かうのであった。




道中の敵をガン無視して走ったけれど、それでも30分ぐらい掛かってしまった。

さて、アマツは居るだろうか。

「アマツさんいますかー?」

「やあやあ!お疲れさま!」

相変わらずテンション高くて声でかいな。
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