家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

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「90話」

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16階に入ってまず確認したのは地図だ。
もし地図が作成されないとなるとかなりきつい。手動で出来なくもないけど、信頼性の低い地図になってしまうだろう。迷子になるのはさすがに避けたいところである。

「地図は……大丈夫そう。草原とかじゃないだけましか」

地図用の紙を開いてみると、きっちり俺たちが通った部分は地図に記載されていた。

ちなみにフィルードタイプとは言ったが、ずっと遠くまで平原が続いてるとか言う訳ではない。
所々に柱やら壁があり、あまり遠くまでは見通せない感じだ。それに天井もある。
あと岩とか穴ぼこがあったりして、ちょっと歩きにくい。

狭いところは通路の様になっており、広いところはそれこそ学校の校庭とかぐらいには広い。

「たまに壁にある色の違う石が気になる……1個だけ持って帰ろ」

壁は石で出来ているようだが、たまに色の違う石が埋まっていたりする。
もしかすると価値があるかも?と思い、回収して見ることにした。

フィールドタイプになって、採掘が追加されたとかだろうか?
だとしたら楽しみが増えるのでちょっち嬉しいね。


そのまま道を進んでいくと、やがて遠くの方で何やら物音がするのを捉えた。
おそらく、歩いているだけ……かな?

「……うん、この先いるね」

クロも気が付いたらしく、こちらをじっと見つめていた。
俺は頷き返すと、足音を出来るだけ殺して先へと進む。


そして少し歩いた先で、広場をウロウロと歩き回っているモンスター達を発見した。

距離があるからだろうか、幸いな事に向こうはこっちを発見していないようだった。
不意打ちのチャンスかな?まあ、近づこうとすれば気が付くだろうから、不意打ちとまではいかないけど、ナイフ投げるぐらいの余裕はあるだろう。出来ればコボルトっぽいのとキモイのを倒すまでは行かなくても、行動不能か攻撃を遅らせたい。



「クロ、突撃する前にナイフ投げるから気を付けてねー」

小声でクロに話しかけ、ナイフを構える。
一度に投げれるのは3本が限界だろうか。とりあえず各属性ナイフを指の間に挟み込むようにして持つ。

まずは前衛のオーガに向けて投げる。でもって次に残りの誘導と毒ナイフをキモイのに投げつけよう。
その後は駆け寄って鉈で仕留める。

んむ、これで行こう。


岩や穴を利用して気付かれない様に出来るだけ近寄り、20~30m程まで近づいたところでクロに合図し……ナイフを思いっきり投げつけた。

甲高い音を立てながら、投げたナイフはオーガへと向かい飛んでいく。
音に反応し、すぐこちらへと顔を向けるモンスターであったが、その時には既にナイフは目の前だ。

1本は外れたが、2本が1体のオーガに突き刺さる。
悲鳴を上げる事すら出来ず、崩れ落ちるオーガ。おそらく刺さったのは雷と……氷だろう。
あいつはほぼ無効か出来たと見て良さそうだ。

「ほっ!もういっちょ!」

さらに追加でナイフを2本、今度はキモイのに向かい投げつける。
それとほぼ同時に矢と火球がこちらに向かい飛んでくるので、俺とクロは散会してこれを避ける。


その後の戦闘はあっさりと終った。
キモイのはあまり回避力が高くないのだろう。投げたナイフが2本とも刺さっており、コボルト?とオーガを仕留めた時には毒で瀕死の状態だった。



「しっかりナイフのダメージ通ってたね」

剥ぎ取りを終え、オーガに刺さったナイフを確認する。
刃の半分以上が肉にめり込んでいて、それでいて刃こぼれや、曲がっていたりといったことも無い。

この階層でも十分使えそうで良かった。
まあ、15階突破して買える装備が、16階で通用しなかったらそりゃポイント返せって話になるしね。
使えて当然っちゃ当然か。


その後、しばらくは1チームだけの敵を狙い倒していったが、そろそろ2チーム同時でも行けるかな?と思い丁度良いの居ないかなーと歩き回っていると、俺の耳が何か物音を捉えた。
遠くてはっきりとはしないが、どうも足音が多い気がする。それが2チームなのかそれより多いのかまでは分からない。

あまり数が多いようであれば撤退、いける様なら戦えばいいかな?と思い。俺とクロはその物音がする方へと向かう。


そして少し進むと、敵の姿が見えてきた……広場に居たのは2チームだった。

「2チーム……やってみるか。やばい時はスキルもがんがん使おう」

ただ、お互いが常にくっついて移動していると言う訳ではなく、近付いたり離れたりとランダムに動いている。

これならどちらか片方に奇襲を掛けて数を減らしておけるだろう。
おそらく2チームを同時に相手しても問題なく倒せるとは思うが、出来るだけ危険は減らしておきたい。

と、言う訳で2チームの距離が離れている、それでもってこちらの奇襲が出来る位置にどちらか1チームが居る。その状態になるのを待って奇襲を仕掛けるとしよう。



奇襲は成功した。
俺の投げナイフでキモイのを行動不能にし、オーガ1体に手傷を負わせた。

そしてオーガと俺が対峙している間に、クロがコボルトを仕留める。

このまま全部倒せたら良いな……と思ったが、やはりそう上手くは行かない。
離れた位置に居た別チームがもう合流してきたのだ。

俺と対峙していたオーガの内1体は致命傷を負わせている。このまま放っておけばそのうち死ぬと思うが、こいつらは死ぬ直前まで攻撃仕掛けてくるので気は抜かないでおく。

合流したオーガ2体を追加で俺が受け持ち、その間にクロはコボルトをつぶしに行った。
キモイのは火球を使うが、さすがにここまで敵味方が入り混じっている状態では撃ってこないだろう……なんて思っていたのだけど。


「あっぶねえ!?」

まさかのフレンドリーファイヤーお構いなしでぶっぱしてきた。

火球はオーガにあたり、はじけて辺りに火をまき散らす。
まさか味方にぶち当てて来るとは思っていなかったので反応が遅れたが、何とか回避することに成功した。

燃えるオーガから距離を取り、キモイのを先に仕留めるか一瞬迷うが……また火球を撃たれては厄介だと、キモイのを先に潰そ――


後方から何かが迫る音が聞こえた。


――増援が来た!

やべえ!と思い、一瞬体が硬直する。
そして最悪のタイミングでコボルトが俺に矢を放った。

矢を放ったコボルトはその直後にクロに八つ裂きにされたが……矢が俺の頬を掠めた。

「っ! クロ、後ろから追加!」

クロに声をかけ、俺はとりあえずキモイのに切りかかった。
キモイのを一刀のもとに切り伏せると、次はオーガだと振り返るが……急に吐き気と倦怠感、それに血管の中を氷で出来た針が通っているような、冷たさと痛みを感じた。

コボルトの矢に塗られた毒だろう。
やばいと思ったが、症状は重くはなかった。
レベル差であまり効いていないのかも知れない?動くのにさほど支障は無さそうだったので、俺はオーガに向かい斬りかかった。


残っていたオーガの首をはね、増援へと視線を向ける。
来たのは2チームだ……ちょっときついけど、まあ問題なく倒せるはずだ。

オーガを引き留めるべく、楯を構え……そこで異変が起きた。

「ぁっ?」

大して効いていなかはったはずの毒が急に強くなったのだ。
体に力が入らず、がくっと膝が落ち……そこにオーガの攻撃が襲い掛かる。
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