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「172話」
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さて、宝石の検証はとりあえず終わりとしよう。
いったん休憩室に戻ってと。
「あとは氷童も忘れちゃいけないな」
せっかく落札したんだからね。
効果を確認して有用そうならこれもシーサーペント戦で使おう。
セットするのは靴なので……必然的に俺が使うことになる。
後ろでクロがはよせいと視線で訴えてくるので、ささっとセットして効果を確認しよう。
「おお!……ってやばい範囲むっちゃ広い広い」
Dパッドを操作して、靴にカードをセットする……途端に俺を中心に地面がギシギシと言う軋み音と共に凍り付いていく。
予想以上に範囲が広い。休憩所にある水場までが凍り付いてしまった……直径で言うと20mぐらいかこれ?広すぎでしょ……。
「範囲変えられないのかこれ……温度?の調整は出来るっぽいけど」
その後どうにか範囲を調整出来ないかと試したけど、範囲の調整は出来なかった。
ただ一応温度を変える事は出来たので、気がついたら周りに居た人が氷像になってたとかは避ける事が出来そうである。
……戦闘中は知らんけど。
「とりあえずゴブリンからためそう」
少しばかりの不安を抱えながらも、俺とクロは再びゴブリンの元へと向かっていた。
やはり最初に試すならゴブリンだろう……今日はゴブリンの厄日だね。なむさん。
6階ついて、適当な小部屋を覗くと5体ほどのゴブリンが居たので、丁度良いとばかりに小部屋へと足を踏み入れた。
するとすぐに反応したゴブリンがこちらへと向かってくるので……俺は調整して上げて置いた温度を、限界まで引き下げる。
「うわ…………えっぐ」
効果は劇的だった。
カードの効果範囲に足を踏み入れたゴブリンであるが、まず足が地面に張り付き盛大にすっころぶ。
そしてすぐに身を起こそうとするが、全身が床にへばりつきそれは叶う事はない。
やがて全身が凍り付き、藻掻こうとすれば、凍り付いたところから肉体が崩れていく……範囲に入って10秒も経たずにゴブリンはすべて絶命していた。
えぐすぎないこれ?てかくっそ寒いんですけど!
これ絶対周りに人がいる状態で使っちゃあかんやつだ。
……まわりの、人。
「……ごめん!」
宙に浮かんでいたので被害はなかったけど、くっそ寒かったらしい。
不機嫌そうなクロに俺はひたすら拝み倒すしかなかったのであった。
「ちょっと今日一日は練習に費やして、明日になったらシーサーペント倒しに行こうか」
ちゅーるを乱れ食いしているクロに声を掛け、お昼の食器を手早く洗う。
新しく手に入れた力は強力だけど慣れが必要な感じだ。
雷は効果範囲の把握、氷童も範囲の把握と温度の調整……かな。
特に氷童は味方への影響がでかすぎる。
クロにはずっと飛んでいて貰うか、背中に防寒対策した背負い袋を用意して、そこに入って貰うことになりそうな気がする。
あとは事前に水上で使ったらどうなるかも把握しないとだから、本番前に軽くシーサーペントとも戦闘もしておかないとだね。
と言う訳で、夕方まで練習して最後の練習ってことで、実際にシーサーペント相手に使ってみるべく俺たちはゲートキーパーの部屋へと向かっていた。
「んじゃ、いこか。もし倒せそうなら倒しちゃう方向で」
練習とは言え、もし倒せそうなら倒してしまうつもりである。
クロもそのつもりらしく、にゃあと大きく鳴いて返事を返す。
そうして俺たちは部屋へと足を踏み入れた。
部屋に入ると既にシーサーペントが待ち構えており、その顎をぐわっと開く。
開幕ブレスとかいやらしいやつめっ。
俺とクロは直撃を避けるためにその場からすぐに動いた。
移動先は……水上だ。
「走り回る分には問題なしっと」
カードは期待通りの性能を発揮した。
踏み出した足が水面に着くかどうかと言うところで、水面が氷へと変わる。
さらにそれは表面だけではなくしっかり水中まで凍り付いているようで割れることも無い、走るだけなら問題はないようだ。
元々このカードを欲したのは水でほぼ満たされたこの空間で自由に動き回るためである。
この部屋の厄介なところは、入り口のわずかな部分以外はほぼ水と言うことだろう。
もちろん浅い部分はあるのでそこを移動するのは可能だが、それだと相手との距離がありすぎて……止めを刺す事が出来ないのだ。
ブレスは軽減されるわ、水に潜ると回復するわでもうね……。
やはり近付いて土蜘蛛あたりで仕留めたいところなのだ。
今までは移動手段がなくそれは叶わなかったが、今回氷童のカードを手に入れたことで、俺たちは移動手段を得た。
あ、ちなみにクロは結局背負い袋に入ることになったよ。
一応ある程度の時間飛んでいられるのだけど、だんだん疲れてくるんだそうな。
さて、そんな訳で移動手段は確保した。
あとは近寄った状態でこっちの攻撃がどれだけ通るか……。
「ブレス試し撃ちだっ」
牽制を兼ねてブレスを撃ってみよう。
以前は直撃しても致命傷にならなかったが、今は雷属性を付与しているのでダメージアップと麻痺の効果が期待できる。
どこぞのゲームの水竜のようにプカプカと水面に浮かんでくれるに違いない。
「ぶっとべ!」
そう叫んで俺はブレスをシーサーペントに向かい放つ。
ブレスは紫電を纏い真っ直ぐシーサーペントへと向かい、水面にあたると盛大に水しぶきを上げた……そしてその直後だった。突然先ほどの水しぶきとは比べ物にならないぐらい水しぶき……と言うか、水中から爆発が起きたのだ。
大量の水で良く見えないが、空中にシーサーペントが打ち上げられているようだ。
あの巨体を打ち上げるとか、かなりの爆発である。
「……えぇ!?」
まさかこうも爆発するとは思わなかった。
水面がバチバチ光って、その後にぷかぁーってシーサーペントが浮かんでくるかなーとか予想していたのだけど……。
「でもチャンス!」
なんで爆発したのかは知らないけど、これはチャンスだ。
シーサーペントはまだ空中にいるし、今なら水中に潜る前に接敵できるはずだ。
走る方向を直角に変えて、シーサーペントへと近付く俺たちであったが……それをシーサーペントが黙ってみている訳もなく。
シーサーペントまであと少し……と言ったところで、突如として水面がいくつも盛り上がりをみせ、そこから水がまるで鞭のように伸び、こちらへと向かってきた。
「あっぶっなっ」
直線的な動きからジグザグな動きへと変え、何とか鞭の直撃を避けていく。
……が、避けている間にシーサーペントは着水し、水中へと潜って行こうとする。
止めようにも回避に専念しているので、俺には止めようがない。
「クロ助かるっ」
俺には、ね。
俺の背中にはクロがいる。
避けるのに俺が専念してクロがブレスをぶっぱする何て事も出来るのだ。
クロのブレスにより、再び空中に打ち上げられるシーサーペント。
ブレスが飛んでくるのは予想外だったのだろうか、鞭も動きが止まっている。
その隙を突いて俺はシーサーペントへと近づき、そして。
「どっせい!」
思いっ切り水面へと足を叩きつけた。
いかに分厚い氷と言えども、粉砕できない程ではない。
氷混じりの水しぶきが舞い、シーサーペントに着くと同時にビシビシと凍り付いていく。
水上に巨大な氷像が出来上がった。
「水じゃないと操れない見たいだな」
水の鞭が飛んでくるかと思ったが、一向に来る気配が無い。
シーサーペントは麻痺しているだけで生きている……おそらくまわりに水そのものが無い使えないのだろう。
まあ、多少離れていても使えるとは思うが……シーサーペントの周囲はかなりの範囲で氷付けとなっている。
どう考えても事前に検証したカードの効果範囲よりも広い。
どうやらカードにはまだ把握できていない効果があったようだ。
おそらく雷が伝わる範囲にもカードの効果が乗るとかそんな感じかな、と思う。
「……予想以上に有用だった」
こうしてシーサーペントの討伐は終わった。
氷像と化したシーサーペントはタダの的でしかなく、クロが放った土蜘蛛で首をもがれてお亡くなりになった。
嬉しいのは購入したアイテムの効果が予想以上に良かった事だ。
使い処は少し難しいが、今後も役に立ってくれるに違いない。
さて、戦闘は終わったので後はシーサーペントを回収して次の階層を覗いて買えるだけなのだが……。
「これ、美味しいと思う?」
いそいそとバックパックに詰め込むクロに向かい問いかけると、にゃー!と機嫌よさげな声が返ってくる……どうやら食べる気満々のようだ。
結果次第ではちゅーるの材料が増えるかも知れないな、こりゃ。
いったん休憩室に戻ってと。
「あとは氷童も忘れちゃいけないな」
せっかく落札したんだからね。
効果を確認して有用そうならこれもシーサーペント戦で使おう。
セットするのは靴なので……必然的に俺が使うことになる。
後ろでクロがはよせいと視線で訴えてくるので、ささっとセットして効果を確認しよう。
「おお!……ってやばい範囲むっちゃ広い広い」
Dパッドを操作して、靴にカードをセットする……途端に俺を中心に地面がギシギシと言う軋み音と共に凍り付いていく。
予想以上に範囲が広い。休憩所にある水場までが凍り付いてしまった……直径で言うと20mぐらいかこれ?広すぎでしょ……。
「範囲変えられないのかこれ……温度?の調整は出来るっぽいけど」
その後どうにか範囲を調整出来ないかと試したけど、範囲の調整は出来なかった。
ただ一応温度を変える事は出来たので、気がついたら周りに居た人が氷像になってたとかは避ける事が出来そうである。
……戦闘中は知らんけど。
「とりあえずゴブリンからためそう」
少しばかりの不安を抱えながらも、俺とクロは再びゴブリンの元へと向かっていた。
やはり最初に試すならゴブリンだろう……今日はゴブリンの厄日だね。なむさん。
6階ついて、適当な小部屋を覗くと5体ほどのゴブリンが居たので、丁度良いとばかりに小部屋へと足を踏み入れた。
するとすぐに反応したゴブリンがこちらへと向かってくるので……俺は調整して上げて置いた温度を、限界まで引き下げる。
「うわ…………えっぐ」
効果は劇的だった。
カードの効果範囲に足を踏み入れたゴブリンであるが、まず足が地面に張り付き盛大にすっころぶ。
そしてすぐに身を起こそうとするが、全身が床にへばりつきそれは叶う事はない。
やがて全身が凍り付き、藻掻こうとすれば、凍り付いたところから肉体が崩れていく……範囲に入って10秒も経たずにゴブリンはすべて絶命していた。
えぐすぎないこれ?てかくっそ寒いんですけど!
これ絶対周りに人がいる状態で使っちゃあかんやつだ。
……まわりの、人。
「……ごめん!」
宙に浮かんでいたので被害はなかったけど、くっそ寒かったらしい。
不機嫌そうなクロに俺はひたすら拝み倒すしかなかったのであった。
「ちょっと今日一日は練習に費やして、明日になったらシーサーペント倒しに行こうか」
ちゅーるを乱れ食いしているクロに声を掛け、お昼の食器を手早く洗う。
新しく手に入れた力は強力だけど慣れが必要な感じだ。
雷は効果範囲の把握、氷童も範囲の把握と温度の調整……かな。
特に氷童は味方への影響がでかすぎる。
クロにはずっと飛んでいて貰うか、背中に防寒対策した背負い袋を用意して、そこに入って貰うことになりそうな気がする。
あとは事前に水上で使ったらどうなるかも把握しないとだから、本番前に軽くシーサーペントとも戦闘もしておかないとだね。
と言う訳で、夕方まで練習して最後の練習ってことで、実際にシーサーペント相手に使ってみるべく俺たちはゲートキーパーの部屋へと向かっていた。
「んじゃ、いこか。もし倒せそうなら倒しちゃう方向で」
練習とは言え、もし倒せそうなら倒してしまうつもりである。
クロもそのつもりらしく、にゃあと大きく鳴いて返事を返す。
そうして俺たちは部屋へと足を踏み入れた。
部屋に入ると既にシーサーペントが待ち構えており、その顎をぐわっと開く。
開幕ブレスとかいやらしいやつめっ。
俺とクロは直撃を避けるためにその場からすぐに動いた。
移動先は……水上だ。
「走り回る分には問題なしっと」
カードは期待通りの性能を発揮した。
踏み出した足が水面に着くかどうかと言うところで、水面が氷へと変わる。
さらにそれは表面だけではなくしっかり水中まで凍り付いているようで割れることも無い、走るだけなら問題はないようだ。
元々このカードを欲したのは水でほぼ満たされたこの空間で自由に動き回るためである。
この部屋の厄介なところは、入り口のわずかな部分以外はほぼ水と言うことだろう。
もちろん浅い部分はあるのでそこを移動するのは可能だが、それだと相手との距離がありすぎて……止めを刺す事が出来ないのだ。
ブレスは軽減されるわ、水に潜ると回復するわでもうね……。
やはり近付いて土蜘蛛あたりで仕留めたいところなのだ。
今までは移動手段がなくそれは叶わなかったが、今回氷童のカードを手に入れたことで、俺たちは移動手段を得た。
あ、ちなみにクロは結局背負い袋に入ることになったよ。
一応ある程度の時間飛んでいられるのだけど、だんだん疲れてくるんだそうな。
さて、そんな訳で移動手段は確保した。
あとは近寄った状態でこっちの攻撃がどれだけ通るか……。
「ブレス試し撃ちだっ」
牽制を兼ねてブレスを撃ってみよう。
以前は直撃しても致命傷にならなかったが、今は雷属性を付与しているのでダメージアップと麻痺の効果が期待できる。
どこぞのゲームの水竜のようにプカプカと水面に浮かんでくれるに違いない。
「ぶっとべ!」
そう叫んで俺はブレスをシーサーペントに向かい放つ。
ブレスは紫電を纏い真っ直ぐシーサーペントへと向かい、水面にあたると盛大に水しぶきを上げた……そしてその直後だった。突然先ほどの水しぶきとは比べ物にならないぐらい水しぶき……と言うか、水中から爆発が起きたのだ。
大量の水で良く見えないが、空中にシーサーペントが打ち上げられているようだ。
あの巨体を打ち上げるとか、かなりの爆発である。
「……えぇ!?」
まさかこうも爆発するとは思わなかった。
水面がバチバチ光って、その後にぷかぁーってシーサーペントが浮かんでくるかなーとか予想していたのだけど……。
「でもチャンス!」
なんで爆発したのかは知らないけど、これはチャンスだ。
シーサーペントはまだ空中にいるし、今なら水中に潜る前に接敵できるはずだ。
走る方向を直角に変えて、シーサーペントへと近付く俺たちであったが……それをシーサーペントが黙ってみている訳もなく。
シーサーペントまであと少し……と言ったところで、突如として水面がいくつも盛り上がりをみせ、そこから水がまるで鞭のように伸び、こちらへと向かってきた。
「あっぶっなっ」
直線的な動きからジグザグな動きへと変え、何とか鞭の直撃を避けていく。
……が、避けている間にシーサーペントは着水し、水中へと潜って行こうとする。
止めようにも回避に専念しているので、俺には止めようがない。
「クロ助かるっ」
俺には、ね。
俺の背中にはクロがいる。
避けるのに俺が専念してクロがブレスをぶっぱする何て事も出来るのだ。
クロのブレスにより、再び空中に打ち上げられるシーサーペント。
ブレスが飛んでくるのは予想外だったのだろうか、鞭も動きが止まっている。
その隙を突いて俺はシーサーペントへと近づき、そして。
「どっせい!」
思いっ切り水面へと足を叩きつけた。
いかに分厚い氷と言えども、粉砕できない程ではない。
氷混じりの水しぶきが舞い、シーサーペントに着くと同時にビシビシと凍り付いていく。
水上に巨大な氷像が出来上がった。
「水じゃないと操れない見たいだな」
水の鞭が飛んでくるかと思ったが、一向に来る気配が無い。
シーサーペントは麻痺しているだけで生きている……おそらくまわりに水そのものが無い使えないのだろう。
まあ、多少離れていても使えるとは思うが……シーサーペントの周囲はかなりの範囲で氷付けとなっている。
どう考えても事前に検証したカードの効果範囲よりも広い。
どうやらカードにはまだ把握できていない効果があったようだ。
おそらく雷が伝わる範囲にもカードの効果が乗るとかそんな感じかな、と思う。
「……予想以上に有用だった」
こうしてシーサーペントの討伐は終わった。
氷像と化したシーサーペントはタダの的でしかなく、クロが放った土蜘蛛で首をもがれてお亡くなりになった。
嬉しいのは購入したアイテムの効果が予想以上に良かった事だ。
使い処は少し難しいが、今後も役に立ってくれるに違いない。
さて、戦闘は終わったので後はシーサーペントを回収して次の階層を覗いて買えるだけなのだが……。
「これ、美味しいと思う?」
いそいそとバックパックに詰め込むクロに向かい問いかけると、にゃー!と機嫌よさげな声が返ってくる……どうやら食べる気満々のようだ。
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