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「205話」
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やばい、このままじゃ騒ぎになる。
そう思った俺の行動は早かった。
「ふんっ!」
首を投げ捨て窓に駆け寄り、開け放つと中村の胸倉へと腕を伸ばし、家の中へと放り込むように引きずり込む。
空中で回る中村の足から靴をひったくり、すぐに窓を閉めて、シャッとカーテンも閉める。
「うごっ!?」
「むぎゅぅ」
背後で鈍い音と悲鳴が聞こえた。
受け身ぐらいとろうぜっ。
「……大丈夫そうかな?」
「おあああぁぁあっ!?」
少しの間耳を澄ませていたけど、外が騒ぎになっているとか、そういったことは無さそうだ。
……とりあえず、中村からイースの生首を引き離そうか。髪の毛が絡まって、中村がパニックになってるし。
数分後、騒ぐ中村をどうにかなだめ、イースを引きはがした俺は、中村へとここ最近あった出来事を掻い摘んで説明した。
「っはー。しばらく見ないと思ったらそんなことあったんか」
「災難だねえ」
「お前がいうなし」
また洗濯機につっこむど。
「それで、えっと……イースさん? もダンジョン造るんすか?」
ダンジョンを造るかどうか、やはりそこは気になるとこだろう。
恐る恐るといった感じで、中村がイースに尋ねる。
するとイースは偉そうに頷くと……頷く? 首がぴょこぴょこ動いてちょっときもいぞっ。
首しかないから、仕方ないんだけどさー。
「イース様でいいよ」
「あ、はい」
こいつは、ほんと、もうね。
ボーリングの球にしちゃうぞ、こやつめ。
中村からも俺からも反論がないのを見て、イースは満足そうに笑みを浮かべると口を開いた。
「それでさっきの質問に対する答えは、イエスだよ」
その言葉を聞いた中村の表情が、うわっといったように歪む。
ろくでもないダンジョンになるんだろうな、と言葉にせずとも中村が思うことはよくわかる。
俺もそう思っているし。
俺の顔はおそらく苦虫を噛み潰したかのようになっているだろう。
イースの視線がちらりとこちらへと向けられ、口元に弧を描く。
楽しそうだなこんちくしょう。
「おかしなダンジョンを造るつもりはないよ。それより良いものを造って、あいつが悔しがる姿をみたいからねえ。……くひっ」
「……」
「……」
その時のことを想像しているのか、イースはそれは楽しそうに笑いだす。
異常に整った容姿に、見た目だけなら天使のような笑顔。下手しなくてもそれを見てしまった人はきっと虜になってしまうのだろう……でも生首だしな。ドン引きするだけだわ。
とりあえず、いつまで経っても笑い続けてるので、洗濯機にいれておこうか。
まあ、いれようとしたところで中村が止めたので、洗濯機にいれるのは勘弁しておいた。
イースも洗濯機に入れられるのは、かなり嫌だったらしく入れようとした時点でおとなしくなったし……よしとしておこう。
その後は中村と一緒にゲームをして過ごした。
外に遊びに行ってもよかったけど、ちょっとイースのことで疲れちゃったからさ。それなら室内で遊ぶかーっとなったのである。
「よっし、島津が無事なことも分かったし、そろそろ帰るわ」
「おー、心配かけてすまんね。帰る時はちゃんと玄関から帰ってなー」
なんだかんだで心配して見に来てくれたし、ほんとありがたいね。
持つべきものは友だよ。友。
「お前が無理やり引っ張ったんだろうがっ」
俺の言葉にそう返す中村。
ははは、なんのことかね。
おっと、忘れるところだった。
せっかく来てもらったんだし、お土産渡さないと。
喜んでくれるといいな?
「ああ、そうだ。これお土産」
「絶対いらない」
「おうっ」
中村にほいっとイースを手渡そうとしたら、ひょいっと手を退けやがりましたよ。
床に首が落ちたじゃないか。
「彼女欲しいようなこと言ってたじゃん」
「せめて人類にしてくれよ……」
我儘なやつめ。
顔だけみれば人類ぞ?
「私のどこが不満だと言うんだね?」
「首だけなところ」
「身も蓋もない」
そんな訳で、当然っちゃ当然だけどイースの首を中村に押し付けよう作戦は失敗した。
さすがにいくら見た目がよかろうが、生首を受け取る人なんてそう居ないよね。
……受け取ったら受け取ったで、それってつまり相当やばいやつしか受け取らないって訳で。
うん、失敗してむしろ成功だったな!
さてさて。
変なのが家に居ついてしまったけど……とりあえずは落ち着いたといえるだろう。
残る問題は……。
「絶対へんなことすんなよ? 絶対すんなよ?」
「それはふりかい?」
「ちげーよっ! まじでへんなことしたら山に捨てるからなっ」
イースの首を持っていく訳にもいかないので、自然と留守を任せることになるのだが、正直不安しかねえ。
……まあ、いまのところ大人しくはしているし、おそらくは大丈夫だと思いたい。ダメならそれこそアマツにぶん投げるしかないね。
「まったく……」
出発する前から疲れちゃったよ。
クロはもう慣れたのか、嗅ぎ飽きたのか、もう我関せずって感じでさっさとダンジョンに向かってしまった。
おいて行かれないように、ちょっと駆け足で向かおうか。
さて、久しぶりのダンジョンなわけだけど。
「ちょっとブランクあるし、ドラゴンとシーサーペントを少し狩って、問題なさそうなら次に進もうか」
俺の提案に『うにゃん』と返すクロ。
実は今回は行けそうであればシーサーペントの次まで行っちゃうつもりなんだよね。
問題なければ、だけど。
そう思った俺の行動は早かった。
「ふんっ!」
首を投げ捨て窓に駆け寄り、開け放つと中村の胸倉へと腕を伸ばし、家の中へと放り込むように引きずり込む。
空中で回る中村の足から靴をひったくり、すぐに窓を閉めて、シャッとカーテンも閉める。
「うごっ!?」
「むぎゅぅ」
背後で鈍い音と悲鳴が聞こえた。
受け身ぐらいとろうぜっ。
「……大丈夫そうかな?」
「おあああぁぁあっ!?」
少しの間耳を澄ませていたけど、外が騒ぎになっているとか、そういったことは無さそうだ。
……とりあえず、中村からイースの生首を引き離そうか。髪の毛が絡まって、中村がパニックになってるし。
数分後、騒ぐ中村をどうにかなだめ、イースを引きはがした俺は、中村へとここ最近あった出来事を掻い摘んで説明した。
「っはー。しばらく見ないと思ったらそんなことあったんか」
「災難だねえ」
「お前がいうなし」
また洗濯機につっこむど。
「それで、えっと……イースさん? もダンジョン造るんすか?」
ダンジョンを造るかどうか、やはりそこは気になるとこだろう。
恐る恐るといった感じで、中村がイースに尋ねる。
するとイースは偉そうに頷くと……頷く? 首がぴょこぴょこ動いてちょっときもいぞっ。
首しかないから、仕方ないんだけどさー。
「イース様でいいよ」
「あ、はい」
こいつは、ほんと、もうね。
ボーリングの球にしちゃうぞ、こやつめ。
中村からも俺からも反論がないのを見て、イースは満足そうに笑みを浮かべると口を開いた。
「それでさっきの質問に対する答えは、イエスだよ」
その言葉を聞いた中村の表情が、うわっといったように歪む。
ろくでもないダンジョンになるんだろうな、と言葉にせずとも中村が思うことはよくわかる。
俺もそう思っているし。
俺の顔はおそらく苦虫を噛み潰したかのようになっているだろう。
イースの視線がちらりとこちらへと向けられ、口元に弧を描く。
楽しそうだなこんちくしょう。
「おかしなダンジョンを造るつもりはないよ。それより良いものを造って、あいつが悔しがる姿をみたいからねえ。……くひっ」
「……」
「……」
その時のことを想像しているのか、イースはそれは楽しそうに笑いだす。
異常に整った容姿に、見た目だけなら天使のような笑顔。下手しなくてもそれを見てしまった人はきっと虜になってしまうのだろう……でも生首だしな。ドン引きするだけだわ。
とりあえず、いつまで経っても笑い続けてるので、洗濯機にいれておこうか。
まあ、いれようとしたところで中村が止めたので、洗濯機にいれるのは勘弁しておいた。
イースも洗濯機に入れられるのは、かなり嫌だったらしく入れようとした時点でおとなしくなったし……よしとしておこう。
その後は中村と一緒にゲームをして過ごした。
外に遊びに行ってもよかったけど、ちょっとイースのことで疲れちゃったからさ。それなら室内で遊ぶかーっとなったのである。
「よっし、島津が無事なことも分かったし、そろそろ帰るわ」
「おー、心配かけてすまんね。帰る時はちゃんと玄関から帰ってなー」
なんだかんだで心配して見に来てくれたし、ほんとありがたいね。
持つべきものは友だよ。友。
「お前が無理やり引っ張ったんだろうがっ」
俺の言葉にそう返す中村。
ははは、なんのことかね。
おっと、忘れるところだった。
せっかく来てもらったんだし、お土産渡さないと。
喜んでくれるといいな?
「ああ、そうだ。これお土産」
「絶対いらない」
「おうっ」
中村にほいっとイースを手渡そうとしたら、ひょいっと手を退けやがりましたよ。
床に首が落ちたじゃないか。
「彼女欲しいようなこと言ってたじゃん」
「せめて人類にしてくれよ……」
我儘なやつめ。
顔だけみれば人類ぞ?
「私のどこが不満だと言うんだね?」
「首だけなところ」
「身も蓋もない」
そんな訳で、当然っちゃ当然だけどイースの首を中村に押し付けよう作戦は失敗した。
さすがにいくら見た目がよかろうが、生首を受け取る人なんてそう居ないよね。
……受け取ったら受け取ったで、それってつまり相当やばいやつしか受け取らないって訳で。
うん、失敗してむしろ成功だったな!
さてさて。
変なのが家に居ついてしまったけど……とりあえずは落ち着いたといえるだろう。
残る問題は……。
「絶対へんなことすんなよ? 絶対すんなよ?」
「それはふりかい?」
「ちげーよっ! まじでへんなことしたら山に捨てるからなっ」
イースの首を持っていく訳にもいかないので、自然と留守を任せることになるのだが、正直不安しかねえ。
……まあ、いまのところ大人しくはしているし、おそらくは大丈夫だと思いたい。ダメならそれこそアマツにぶん投げるしかないね。
「まったく……」
出発する前から疲れちゃったよ。
クロはもう慣れたのか、嗅ぎ飽きたのか、もう我関せずって感じでさっさとダンジョンに向かってしまった。
おいて行かれないように、ちょっと駆け足で向かおうか。
さて、久しぶりのダンジョンなわけだけど。
「ちょっとブランクあるし、ドラゴンとシーサーペントを少し狩って、問題なさそうなら次に進もうか」
俺の提案に『うにゃん』と返すクロ。
実は今回は行けそうであればシーサーペントの次まで行っちゃうつもりなんだよね。
問題なければ、だけど。
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