家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

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「231話」

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ところでだ。
青春時代をほぼ男子校と言って良い状況で過ごした野郎に、年頃の女性に対して気の利いた言葉を掛ける甲斐性があると思うだろうか?

「いえいえ、気にしてないんで大丈夫ですよっ」

答えは否だ……普通だ。てか無難すぎる。
くそう、俺には無理だ……なにか、なにかもっと気の利いた言葉を……タスケテ。

この際、クロでも北上さんでも、なんならウィリアムさんでもいい……とか思っていたら、北上さんが動いた。女神かな?

「まあ、ちょっと意外とは思いましたけど……私は素のほうが好きですよ? あ、でもあまり絡むのはNGですけど」

「ハハハ」

ああ、うん……それは勘弁してほしいかなって思う。
昨日のうざ絡みが無ければ、まあ少なくても友達にはなれると思う。

……ハニトラがなければもっと仲良くなって、男女間ではあるけど親友と呼べるレベルにだった行けたかもしれない。ただ、どうしてもこちら側に警戒心が少しあるので、友達で終わりそうな予感がしなくもない。

なにせ普段住んでる場所が違うし、今後出会うことがあるかと言われると……せいぜい年に一回とかそんなレベルだろうし。

「……まあ、もうバレてしまっているんだし、無理はしないで良いんじゃないか?」

「でも……そうね。そうする」

ウィリアムさんがそう話すと、エマ中尉は少しためらった様子を見せたが……意を決したようにこちらへと顔を向ける。

「改めまして。エマ中尉です! よろしくお願いしますね!」

そしてにっこりとわざとらしくない、自然な笑顔を浮かべすっと手を差し出してきた。

「ええ、よろしくお願いします」

握手を求めていると理解した俺は、ぐっと手を握り、こちらも笑顔で返す。

……ほんと、最初からこれだったらなーと残念に思う。
エマ中尉も……まあ、いろいろあったんだろう。決して本意でやっていた訳ではないのだと思う。
少なくても滞在中は仲良くしよう。そう、心に決めるのであった。



その後は二日酔いで死んでるメンバーが復活したところで再び狩りを始めることになった。
頭痛が辛そうだったけど、動いているうちに治るだろうとのこと……ほんとかな。

現地について、小休憩をとっているとウィリアムさんが近づいてきた。

「二人は仲良くなったみたいっすね」

視線を横に向けながらそう声をかけると、ウィリアムさんもそちらへと視線を向ける。
視線の先にいるのは北上さんとエマ中尉だと。
時折笑いながら話しているあたり、昨日と比べてだいぶ打ち解けたように見える。
会話の内容は英語なのでわからない。でも放送禁止用語は使ってないから、たぶんまともな内容だろうとは思う。

「まあ、そうですね……ところで島津さん、少しプライベートな質問になるかも知れませんが、一つ質問しても宜しいですか?」

「ええ、答えられる内容であれば」

ちょっと曖昧に同意したウィリアムさんが気になるが……さて、どんな質問だろうか。
まあプライベートという話なので、北上さんとの関係とか……まあ女性関係かな。

ウィリアムさんの表情をみるに後ろめたいところはあまりなさそうだ。
もしかすると本当に興味本位の可能性もある。それか、ただ確認のために質問するだけ、とかね。

「お二人は恋人なのですか?」

「なかなかストレートに聞いてきますね……」

俺の顔を真正面からみて、そんなド直球な質問をするウィリアムさん。
まさかここまで直球でくるとは思わんかった……まあ、答えはもう決めているので、答えるのは問題ない。

「俺はそのつもりです」

目をそらしたりせず、堂々と答える。
へんに目をそらしたり、誤魔化して可能性があるとか思われちゃ困るからな。

てか、まじで恋人だといいなー! って話だよっ。
かなり美人さん……いや、どっちかというと可愛いかもだけど、ぶっちゃけ好みだし。性格も今までの付き合いで好ましいと思っているし……あれだ、はっきりいうなら好きと思っている。

「……彼女も?」

「だと思っています」

北上さんについても聞いてきたか。
けど、これも自信をもって答えた。

見た目だけだけどなっ。
内心は「だと(いいなと)思っています」である。

……少なくとも嫌われてないはずなんだけどね。
そうじゃなきゃ部屋にいれたりなんかしないし……しないよね?

「そうですか……ありがとうございます」

俺がはっきり言い切ったからだろうか、ウィリアムさんは納得したように頷くと、軽く礼をする。

……ふむ。
こっちだけ答えるってのもあれだよな。
ちょっと聞いてみるかな。なんかこの二人、仲がいい気がするんだよねー。

「ウィリアムさんとエマ中尉も?」

「え? ははは、違いますよ。彼女は従妹でしてね、昔からの知り合いということで、仲も悪くはないですし……まあ、たまにそう見られることもありますが」

どうやら違うらしい。
まあもし仮に二人が恋人同士だとしたら、かなり地獄だよな。

……地獄なんてもんじゃないな! よかった、恋人同士じゃなくて。


そんな感じで話をしていると、小休憩が終わったらしく狩りが開始となった。
とりあえず、軽く打ち合わせをしてから釣ってこようと思って皆の元へと向かうが……。

「……んひっ」

「? どうしましたー?」

なんか北上さんがニマニマしてた。
なんぞいいことでもあったのだろうか?

「なんでもない、なんでもなーい」

「そうすか? それじゃ、軽く打ち合わせしましょっか」

誤魔化すように、フイっと横をみる北上さん。
それをみて首を傾げつつ、俺は打ち合わせを始めるのであった。
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