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「258話」
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クロは変化した自分の姿をしげしげと眺めていたが、やがてゴロンッと寝転がると毛づくろいをはじめる。
だが自分のお肉が邪魔になっているのか、なかなかうまくいかないようだ。
お腹を毛を舐めていたが……やがて諦めて仰向けにコテンと倒れ込む。
「やばっ、むっちゃかわいい」
「島津とはえらい違いだなおい」
「アマツさん! いや、アマツ様! ありがとうございますっ!!」
アマツのが言っていた、俺がどんな龍になるか楽しみって言葉。
あれから考えるに龍化によって変化する姿は人それぞれなんだろう。
みんな一律で龍になってしまうと、クロの姿も龍になっていたはず……それはそれでちょっと見てみたかった気もするが、いまのこの姿を見た後となってはそんな気はなくなってしまっている。
もうね、ちょっと拝んでおこうかなとか思っちゃう。てか実際拝んでおいた。
ほんといい仕事してくれるぜっ。てか、誰か失礼なこと言ってたけど気のせいかな?
その後、落ち着いたところで隊員さん達とダンジョン攻略についてちょっとお話することに。
「次はミノタウロスとかの階層なんですね」
「ああ、やっと……やっとカードがそろってな」
「ははは……」
オーガとかコボルトとかそのへんのカードを集め終えたらしく、いよいよ次のゲートキーパー戦へと挑むことにしたそうだ。
隊員さん達も順調に攻略進んでるね。俺たちも早いところカードをもう一枚手に入れて、次に進みたいところだ。
「それで、何かしらアドバイスを貰えるとありがたいんだが……」
もちろんですとも。
そんな申し訳なさそうにしなくてもしますとも。日頃お世話になってるもんね。
「そっすね。ミノタウロスは見た目のまんまの脳筋ですね。ただスキルがくっそ厄介で、衝撃波を放ってくるんです」
「衝撃波か」
んむ。
ミノタウロスで一番記憶に残ってるのはそれだね。
最初は知らないで盾でがっつり受けた際で、結構えぐいダメージを受けてしまった。
初見殺しはまじ勘弁。
中ダンジョンで出るんだから、隊員さんも知ってるんでないかな……って、同じスキル使ってくるとは限らんか。
「武器の延長線上にいるとくらいますね。盾とか貫通してきますんで頭に食らうと即死するかも知れないです。出来るだけ攻撃は回避したほうがいいです。体を少しだけでもずらせば、手足に当たる分にはそこまでダメージないと思いますんで」
「了解だ。徹底して戦うようにするよ。ありがとう」
内臓はねえ、普段は防具やら骨やらなんやらでガードしているけど、それらを無視してダメージ受けちゃうとどうしてもね。
そこさえ気を付ければミノタウロス自体を倒すのはそう難しくはないと思う。
その後は適当にだべって解散したよ。
んで、週末までは特に何事もなく飛竜を狩りまくって過ごし、そして土曜の朝を迎える。
今日は2回目の撮影を行う日だ。
北上さんには約束済みだし、太郎もくる予定となっている。現地でまってるのかな?
集合場所である5階のセーフルームへ向かうと、すでに誰かがいるようだ。
「あ、島津くんおはよー」
「北上さんおはようございまっす」
先週に引き続き、張り切ってる中村が居るのかな? と思ったが居たのは北上さんであった。
ぷらぷらとこちらに手をふる北上さんであるが、あれ? っといった感じで首を傾げる。
「あれ? クロは龍化してないんだー?」
「せっかくだから動画撮ろうと思いまして」
「なるほどねー」
しゃがみこんでクロをわしわしとなでる北上さん。
最初はちょぴり残念そうにしていたけれど、あとで龍化すると分かり嬉しそうにしている。もしかするとでぶ猫が好きなのかもしれないね。
それから程なくして中村もやってきた。
「おう、おはよー」
「おはー。太郎も連れてきたんな」
「ああ、大丈夫だろうけど放っておくとどこか行っちまうかも知れんし」
その傍らには太郎がいる……クロにあえて嬉しいのか、激しく尻尾を振りながら地面を転げまわっている。元気だなっ。
確かにこんだけ元気だとリードをぶっちぎってどこかに行ってしまいそうな気もしなくもない。
クロ? 俺の頭にしがみついてるよ。
あまり構ってやる気はないらしい。
「今日の撮影は7階から?」
ごそごそと機材の用意をする中村に、今日の予定を確認する。
実は詳しくが聞いてないんだよね。
「そのつもり。一人一階層担当して、アイスリザードだっけ? あそこまで行っちゃおうかと思ってる」
「いいね」
思っていたより先に進むのな。
アイスリザードは牛さんの次だったかな? あれも需要あるモンスターだよね。
ふむ。しかし牛さんか……牛さんといえばBBQだ。
「そういや施設の紹介動画とかってあんまないよね? 飯食うついでにBBQ広場の様子とかも撮影する?」
「あ、それいいかもな」
牛さん美味しいってことアピールしちゃおう。
お肉目当てで潜る人が……増えるかなあ。ちょっと微妙かも知れんけど、やらないよりはいいだろう。
そうこうしている内に中村の撮影準備も終わった。
なので俺たちはさっそく狩りに……の前に人も増えたし自己紹介を先にすることになったよ。
「んじゃ、自己紹介からいってみっかね。北上さんと太郎は俺が振ったら適当に自己紹介たのんます。名前と一言程度でいいんで」
「あいよー」
名前と一言……果たしてたろうに出来るのだろうかという疑問もあるが、まあ適当にワンッと吠えれば大丈夫だろう。
「一週間ぶり、中村でーす」
「島津でーす」
二回目ってこともあるし、中村の挨拶はだいぶ簡略されてる。
俺は先週と変わらずだ。
さてクロはどうなるかな……。
『うにゃん』
カメラを向けられると同時に、俺の頭上から小さく鳴き声が聞こえる。
太郎から避難してそのままだったのだ。これは視聴数稼げそうだなっ。
「北上だよー」
北上さんはカメラを向けられると、手をひらひらと振って自己紹介する。
てか一言は特にないのね。動画上げたら質問大量にきそうだなー。
さて。最後は太郎だけど……大丈夫かな。クロとはまた違った意味で不安でしょうがないんだけど。
『ハッハッハッハッ』
あかん。
だが自分のお肉が邪魔になっているのか、なかなかうまくいかないようだ。
お腹を毛を舐めていたが……やがて諦めて仰向けにコテンと倒れ込む。
「やばっ、むっちゃかわいい」
「島津とはえらい違いだなおい」
「アマツさん! いや、アマツ様! ありがとうございますっ!!」
アマツのが言っていた、俺がどんな龍になるか楽しみって言葉。
あれから考えるに龍化によって変化する姿は人それぞれなんだろう。
みんな一律で龍になってしまうと、クロの姿も龍になっていたはず……それはそれでちょっと見てみたかった気もするが、いまのこの姿を見た後となってはそんな気はなくなってしまっている。
もうね、ちょっと拝んでおこうかなとか思っちゃう。てか実際拝んでおいた。
ほんといい仕事してくれるぜっ。てか、誰か失礼なこと言ってたけど気のせいかな?
その後、落ち着いたところで隊員さん達とダンジョン攻略についてちょっとお話することに。
「次はミノタウロスとかの階層なんですね」
「ああ、やっと……やっとカードがそろってな」
「ははは……」
オーガとかコボルトとかそのへんのカードを集め終えたらしく、いよいよ次のゲートキーパー戦へと挑むことにしたそうだ。
隊員さん達も順調に攻略進んでるね。俺たちも早いところカードをもう一枚手に入れて、次に進みたいところだ。
「それで、何かしらアドバイスを貰えるとありがたいんだが……」
もちろんですとも。
そんな申し訳なさそうにしなくてもしますとも。日頃お世話になってるもんね。
「そっすね。ミノタウロスは見た目のまんまの脳筋ですね。ただスキルがくっそ厄介で、衝撃波を放ってくるんです」
「衝撃波か」
んむ。
ミノタウロスで一番記憶に残ってるのはそれだね。
最初は知らないで盾でがっつり受けた際で、結構えぐいダメージを受けてしまった。
初見殺しはまじ勘弁。
中ダンジョンで出るんだから、隊員さんも知ってるんでないかな……って、同じスキル使ってくるとは限らんか。
「武器の延長線上にいるとくらいますね。盾とか貫通してきますんで頭に食らうと即死するかも知れないです。出来るだけ攻撃は回避したほうがいいです。体を少しだけでもずらせば、手足に当たる分にはそこまでダメージないと思いますんで」
「了解だ。徹底して戦うようにするよ。ありがとう」
内臓はねえ、普段は防具やら骨やらなんやらでガードしているけど、それらを無視してダメージ受けちゃうとどうしてもね。
そこさえ気を付ければミノタウロス自体を倒すのはそう難しくはないと思う。
その後は適当にだべって解散したよ。
んで、週末までは特に何事もなく飛竜を狩りまくって過ごし、そして土曜の朝を迎える。
今日は2回目の撮影を行う日だ。
北上さんには約束済みだし、太郎もくる予定となっている。現地でまってるのかな?
集合場所である5階のセーフルームへ向かうと、すでに誰かがいるようだ。
「あ、島津くんおはよー」
「北上さんおはようございまっす」
先週に引き続き、張り切ってる中村が居るのかな? と思ったが居たのは北上さんであった。
ぷらぷらとこちらに手をふる北上さんであるが、あれ? っといった感じで首を傾げる。
「あれ? クロは龍化してないんだー?」
「せっかくだから動画撮ろうと思いまして」
「なるほどねー」
しゃがみこんでクロをわしわしとなでる北上さん。
最初はちょぴり残念そうにしていたけれど、あとで龍化すると分かり嬉しそうにしている。もしかするとでぶ猫が好きなのかもしれないね。
それから程なくして中村もやってきた。
「おう、おはよー」
「おはー。太郎も連れてきたんな」
「ああ、大丈夫だろうけど放っておくとどこか行っちまうかも知れんし」
その傍らには太郎がいる……クロにあえて嬉しいのか、激しく尻尾を振りながら地面を転げまわっている。元気だなっ。
確かにこんだけ元気だとリードをぶっちぎってどこかに行ってしまいそうな気もしなくもない。
クロ? 俺の頭にしがみついてるよ。
あまり構ってやる気はないらしい。
「今日の撮影は7階から?」
ごそごそと機材の用意をする中村に、今日の予定を確認する。
実は詳しくが聞いてないんだよね。
「そのつもり。一人一階層担当して、アイスリザードだっけ? あそこまで行っちゃおうかと思ってる」
「いいね」
思っていたより先に進むのな。
アイスリザードは牛さんの次だったかな? あれも需要あるモンスターだよね。
ふむ。しかし牛さんか……牛さんといえばBBQだ。
「そういや施設の紹介動画とかってあんまないよね? 飯食うついでにBBQ広場の様子とかも撮影する?」
「あ、それいいかもな」
牛さん美味しいってことアピールしちゃおう。
お肉目当てで潜る人が……増えるかなあ。ちょっと微妙かも知れんけど、やらないよりはいいだろう。
そうこうしている内に中村の撮影準備も終わった。
なので俺たちはさっそく狩りに……の前に人も増えたし自己紹介を先にすることになったよ。
「んじゃ、自己紹介からいってみっかね。北上さんと太郎は俺が振ったら適当に自己紹介たのんます。名前と一言程度でいいんで」
「あいよー」
名前と一言……果たしてたろうに出来るのだろうかという疑問もあるが、まあ適当にワンッと吠えれば大丈夫だろう。
「一週間ぶり、中村でーす」
「島津でーす」
二回目ってこともあるし、中村の挨拶はだいぶ簡略されてる。
俺は先週と変わらずだ。
さてクロはどうなるかな……。
『うにゃん』
カメラを向けられると同時に、俺の頭上から小さく鳴き声が聞こえる。
太郎から避難してそのままだったのだ。これは視聴数稼げそうだなっ。
「北上だよー」
北上さんはカメラを向けられると、手をひらひらと振って自己紹介する。
てか一言は特にないのね。動画上げたら質問大量にきそうだなー。
さて。最後は太郎だけど……大丈夫かな。クロとはまた違った意味で不安でしょうがないんだけど。
『ハッハッハッハッ』
あかん。
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