家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

文字の大きさ
272 / 304

「272話」

しおりを挟む
別に何かイベントが起こることもなく、無事に家へとたどり着きました。
ちゃんとクロへのお土産は買ってあるんで安心してほしい。

「それじゃ今日はおっつかれー」

「おつかれさまっす。実家に招待してくれてありがとうございました」

ひらひらと手を振る遥さんに、ぺこりと頭をさげる。
いきなりの話しだったけど、結果としては誘ってくれて本当に良かったと思う。
北上さん一家の俺に対する評価も良さそうだったし……良さそうだったよね? 家について落ち着いたらなんか不安になってきたぞ。

「ふふーん。あとでみんなに島津くんの感想聞いておくねー……にひっ」

「おう……楽しみにして、ます」

そんな不安を煽るような……くそう、これは俺の反応みて楽しんでるなっ。
遥さんちょいちょいからかってくるんよね。まあ嬉しいからいいけど!


「たっだいまー」

遥さんと別れ、手に持った袋をゴソゴソさせながら靴を脱ぐ。
するとすぐに『にゃーん』というなきごえと共に、今の扉が開きクロが出てくる。
毎度、出迎えにきてくれるのは嬉しいね。

「クロ、おまたー」

そういってクロにお土産の入った袋を見せるが……。

「……え?」

おかしいな。
いつも見ているクロの姿と違う気が……。

「毛艶すっごい……」

どこが違うって、毛艶がちがう。
光り輝いて見えるぐらいだ……どういうことなの。



「メーカーの人がペットサロンを準備してくれていたと……」

クロに事情を聞いたところ、CMやら次の新商品などについて打ち合わせを行ったあとに、メーカーの人が「クロさんのために準備しておきました」と、会議室の一室を改造してつくったペットサロンへと案内したんだそうな。

満更でもなかったクロは、そこでお風呂から毛のカット、ブラッシングに肉球まわりの毛の手入れなんかもされたと……机上においてあったブラシを咥えて俺に差し出してきたのは、今後これつかってブラッシングせいってことなんだろう……もちろんやりますとも。

しかし、なんていうかあれだ。
人より猫のほうが待遇いいよな、絶対。
俺がいってもお茶が出るぐらいだと思うよ、たぶん。

クロの日常とか銘打って動画とっちゃう?
その動画を編集する中村が泣いちゃうか。
やめとこ。

その日はクロに言われるがままにブラッシングをしつつ、寝る時間まで今日おきた出来事を報告するのであった。


翌朝。
この日、俺とクロは一体のモンスターと対峙していた。
相手はいつもの飛竜である、が今回は少し目的があり、いつもの様に雑にズタズタにして倒したりはしないよう気を付けていた。

「ほいっ」

噛みつきにきたところを躱しざまに首に剣鉈を叩きこむ。
飛竜の首は太いため、一撃で切り落とすことはできない。

なので普段であれば追加で頭部に衝撃波を叩きこんだり、土蜘蛛をぶっ放したりするのだが……それだとダメージがでかすぎる。

「よっと」

俺は飛竜の首へと飛びかかり、足でがしっと首に体を固定……そして飛竜の頭部へと腕を伸ばして、角をつかむと。

「ふんっ!」

思いっきり捻り上げた。

するとどうなるかというとだ。
半ばまで切れていた飛竜の首が、ブチィッとねじ切れるじゃありませんか。

「……中村へのお土産これでいいかなあ?」

千切れた首をみて、そう呟く俺に対してクロが小さく『にゃ』と鳴く。
どれでもいいと言いたいらしい。

なんでも次の更新用にインパクトの大きい絵を撮りたいらしくてね、そんなら飛竜の首でも映すかーとなったのである。
めちゃくちゃでかいし、インパクトは十分あるだろう。

中村のお願いはこれでよしっと。

「このペースで狩れば、今月中にはカードでそうだけど……どうなるかねえ」

首をバックパックに詰めながらそう一人、ごちる。

今までの例からして、カードを揃えずに次に進むってのはない。
だからこうしてほぼ毎日狩り続けているのだけど……まあ、疲れはする。

クロと一緒だから楽しいには楽しいんだけどね。
ほら、ネトゲとかでも会話しながらなら長いこと狩り続けられるけど、疲れはするでしょ。あんな感じよ。

「お昼にするかー」

とりあえず目的は一つ達成したってことで、一度戻って休むとしよう。
午後も狩るか、それとも別のことをするかはご飯食べてから決めようっと。
しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...