家の猫がポーションとってきた。

熊ごろう

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「276話」

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話を聞いていくにつれて徐々に不機嫌になっていく遥さん。

「えー……それじゃあ島津くんの家に、あれがいるんだ?」

「首だけですけど……魔除けってことで、アマツからも進められたんで断り切れず、そうなりました」

「っふーん」

俺をみる視線も……ちょっと厳しい。

生首とはいえ、見た目だけは美人さんだし……アマツ目当てなのが分かっていても家に住まわせてるってのはさすがに不味かった。
俺としては人類カテゴリーに入れてなかったんだけど……いや、言い訳はよそう。

「次の土日だよね?」

「そうっす。遥さんが無理そうなら」

あの生首と一緒にいるのは嫌だろうからと、そう思って無理そうなら今回はパスしても……と言おうとしたのだけど。

「いくよ」

「あ、ありがとうございます」

半ば食い気味にいくと言われてしまった。
……いまさらながら生首と合わせて大丈夫なのか不安になってきたぞ。

「ダンジョンに捨ててきなさい」とか言われたらどうしよう。
魔除けってことは言ったからそれはないと思うけど……いや、そもそもなんで俺が生首の心配せないかんのだ。
よっし、余計なこと考えるのは止め止め。



とりあえず無事? 遥さんに事情を伝えることができた。
遥さんは他の隊員さんたちとダンジョンに潜るということなので、一旦そこでお別れとなったよ。


「とりあえず中村に連絡いれとこっと」

生首を撮影につれていくと決まったからには、中村に伝えないといかんだろう。
事前準備とか……あるかどうかは分からんけど、なにかやっておかないとダメかもだし。

ぽちっとな。

「……なんか色々きた。なになに」

そっこーで返事きたわ。
一行だけかと思ったら、結構かいてあった……仕事暇なのかな。

内容は生首のままは不味いだろってのと、顔をどうにか隠して欲しいってのだった。
どうも全部にモザイクかけるとなると大変なんだそうな。

生首に関しては最悪、ラジコンにでも乗せるか? と書いてあったけど……それはそれで不味くね?

「んー……気は進まないけど、本人にきくか」

移動に関しては、自力でもいちおう動けるしなんとかなるべ。
ほかは……あいつになんとかして貰うしかないじゃ。

自称女神なんだしどうにかするっしょ。



「撮影決まったんだってね!」

「どこで聞いてやがった」

家に帰るなり、生首に玄関で出待ちされていた。
てか、ちょっとアマツっぽくてなんかヤダ。

「まあいいや。んで聞いてたんだろ? 生首の状態だとモザイク処理面倒だからさ、なんとかならんの?」

顔も問題だけど、まずは生首状態をどうにかせんといかん。
さっき自力で動けるしーみたいなこと思ったけど、よく考えたら絵面がホラーすぎる。

「私の顔にモザイクいれるだなんて不敬だよ不敬」

「モザイクいれられたくなかったらなんとかせいって話だっての」

ひっぱたくぞこのやろう。

「別にこのままでも私は一向に構わないけど。まあ君たちの事情は理解しているともさ……首無しの人形を用意すれば問題ないだろう? 操作はこちらで出来るからね」

ふむ。
首を乗っけて人形は自分で操作すると……それならまあ見た目は人っぽくなるか?
実際にどうやって操作するのかは気になるところだけど。

ゲームパッドとかでやらんだろうな?

あと、乗せるだけだとちょっと不安があるな。

「それ、何かの拍子に首だけ転がったりしない? クロとか蹴りいれそうだけど」

「それは私のせいではないと思うのだがね」

まあ、確かにその通り。
でもね、結構な確率で蹴られるんじゃないかなーって思うんだよ俺。

ぜったいドヤ顔するだろこいつ。

「そうだねえ……首を抱えておくことにするよ。それなら余程のことが無ければ転がったりはしないだろうし、デュラハンか何かだと思って騒ぎにはならいないんじゃないかい?」

「それでいくかー……」

まあ、クロが蹴って首が転がったとしても、そこのところだけカットすればいいし……とりあえず生首問題に関してはこれで大丈夫だろう。

あとはこいつの見た目だけど……ふむ。

「ああ、そうそう。仮面もつけとけよ」

隠しちゃえばいいか。

「何言ってるんだい。私のこの美貌を隠そうだなんて不敬だよ不敬」

「それさっきも聞いたな」

こいつ女神ってことをカミングアウトしてから、ちょっと偉そうというかなんというか……元からか。元からだったわ。
まあ、実際女神というだけあって見た目は良いんだけど……。

「美形すぎてきしょ……きも……怖いから隠せっつーとんの」

「フォローになってないフォローありがとうねえ!」

あれだ。不気味の谷減少だっけ? あれと似た現象なんだろうかね。
整いすぎてて違和感やべえのですわ。

まあ、念押しはしたから、きっと撮影時にはどうにかしてるでしょ。


なんやかんやで撮影当日がやってきた。

一度俺の家に集合してから現地に向かうということで、早朝から家に中村が訪ねてきた。

「うっす」

既に支度を終えていた俺とクロは、玄関をでて中村と合流する。
ちなみに格好はいちおうダンジョンにいくということで、いつものフル装備である。

「よー……なにその鳥かご」

「生首ケース」

「ああ、そう……」

違うのは、生首をいれた鳥かごを俺が抱えていることだろう。

「脱走したら困るべ」

「すごい困る」

浮かれて高速のSAとかでどっかいきそう。
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