276 / 304
「276話」
しおりを挟む
話を聞いていくにつれて徐々に不機嫌になっていく遥さん。
「えー……それじゃあ島津くんの家に、あれがいるんだ?」
「首だけですけど……魔除けってことで、アマツからも進められたんで断り切れず、そうなりました」
「っふーん」
俺をみる視線も……ちょっと厳しい。
生首とはいえ、見た目だけは美人さんだし……アマツ目当てなのが分かっていても家に住まわせてるってのはさすがに不味かった。
俺としては人類カテゴリーに入れてなかったんだけど……いや、言い訳はよそう。
「次の土日だよね?」
「そうっす。遥さんが無理そうなら」
あの生首と一緒にいるのは嫌だろうからと、そう思って無理そうなら今回はパスしても……と言おうとしたのだけど。
「いくよ」
「あ、ありがとうございます」
半ば食い気味にいくと言われてしまった。
……いまさらながら生首と合わせて大丈夫なのか不安になってきたぞ。
「ダンジョンに捨ててきなさい」とか言われたらどうしよう。
魔除けってことは言ったからそれはないと思うけど……いや、そもそもなんで俺が生首の心配せないかんのだ。
よっし、余計なこと考えるのは止め止め。
とりあえず無事? 遥さんに事情を伝えることができた。
遥さんは他の隊員さんたちとダンジョンに潜るということなので、一旦そこでお別れとなったよ。
「とりあえず中村に連絡いれとこっと」
生首を撮影につれていくと決まったからには、中村に伝えないといかんだろう。
事前準備とか……あるかどうかは分からんけど、なにかやっておかないとダメかもだし。
ぽちっとな。
「……なんか色々きた。なになに」
そっこーで返事きたわ。
一行だけかと思ったら、結構かいてあった……仕事暇なのかな。
内容は生首のままは不味いだろってのと、顔をどうにか隠して欲しいってのだった。
どうも全部にモザイクかけるとなると大変なんだそうな。
生首に関しては最悪、ラジコンにでも乗せるか? と書いてあったけど……それはそれで不味くね?
「んー……気は進まないけど、本人にきくか」
移動に関しては、自力でもいちおう動けるしなんとかなるべ。
ほかは……あいつになんとかして貰うしかないじゃ。
自称女神なんだしどうにかするっしょ。
「撮影決まったんだってね!」
「どこで聞いてやがった」
家に帰るなり、生首に玄関で出待ちされていた。
てか、ちょっとアマツっぽくてなんかヤダ。
「まあいいや。んで聞いてたんだろ? 生首の状態だとモザイク処理面倒だからさ、なんとかならんの?」
顔も問題だけど、まずは生首状態をどうにかせんといかん。
さっき自力で動けるしーみたいなこと思ったけど、よく考えたら絵面がホラーすぎる。
「私の顔にモザイクいれるだなんて不敬だよ不敬」
「モザイクいれられたくなかったらなんとかせいって話だっての」
ひっぱたくぞこのやろう。
「別にこのままでも私は一向に構わないけど。まあ君たちの事情は理解しているともさ……首無しの人形を用意すれば問題ないだろう? 操作はこちらで出来るからね」
ふむ。
首を乗っけて人形は自分で操作すると……それならまあ見た目は人っぽくなるか?
実際にどうやって操作するのかは気になるところだけど。
ゲームパッドとかでやらんだろうな?
あと、乗せるだけだとちょっと不安があるな。
「それ、何かの拍子に首だけ転がったりしない? クロとか蹴りいれそうだけど」
「それは私のせいではないと思うのだがね」
まあ、確かにその通り。
でもね、結構な確率で蹴られるんじゃないかなーって思うんだよ俺。
ぜったいドヤ顔するだろこいつ。
「そうだねえ……首を抱えておくことにするよ。それなら余程のことが無ければ転がったりはしないだろうし、デュラハンか何かだと思って騒ぎにはならいないんじゃないかい?」
「それでいくかー……」
まあ、クロが蹴って首が転がったとしても、そこのところだけカットすればいいし……とりあえず生首問題に関してはこれで大丈夫だろう。
あとはこいつの見た目だけど……ふむ。
「ああ、そうそう。仮面もつけとけよ」
隠しちゃえばいいか。
「何言ってるんだい。私のこの美貌を隠そうだなんて不敬だよ不敬」
「それさっきも聞いたな」
こいつ女神ってことをカミングアウトしてから、ちょっと偉そうというかなんというか……元からか。元からだったわ。
まあ、実際女神というだけあって見た目は良いんだけど……。
「美形すぎてきしょ……きも……怖いから隠せっつーとんの」
「フォローになってないフォローありがとうねえ!」
あれだ。不気味の谷減少だっけ? あれと似た現象なんだろうかね。
整いすぎてて違和感やべえのですわ。
まあ、念押しはしたから、きっと撮影時にはどうにかしてるでしょ。
なんやかんやで撮影当日がやってきた。
一度俺の家に集合してから現地に向かうということで、早朝から家に中村が訪ねてきた。
「うっす」
既に支度を終えていた俺とクロは、玄関をでて中村と合流する。
ちなみに格好はいちおうダンジョンにいくということで、いつものフル装備である。
「よー……なにその鳥かご」
「生首ケース」
「ああ、そう……」
違うのは、生首をいれた鳥かごを俺が抱えていることだろう。
「脱走したら困るべ」
「すごい困る」
浮かれて高速のSAとかでどっかいきそう。
「えー……それじゃあ島津くんの家に、あれがいるんだ?」
「首だけですけど……魔除けってことで、アマツからも進められたんで断り切れず、そうなりました」
「っふーん」
俺をみる視線も……ちょっと厳しい。
生首とはいえ、見た目だけは美人さんだし……アマツ目当てなのが分かっていても家に住まわせてるってのはさすがに不味かった。
俺としては人類カテゴリーに入れてなかったんだけど……いや、言い訳はよそう。
「次の土日だよね?」
「そうっす。遥さんが無理そうなら」
あの生首と一緒にいるのは嫌だろうからと、そう思って無理そうなら今回はパスしても……と言おうとしたのだけど。
「いくよ」
「あ、ありがとうございます」
半ば食い気味にいくと言われてしまった。
……いまさらながら生首と合わせて大丈夫なのか不安になってきたぞ。
「ダンジョンに捨ててきなさい」とか言われたらどうしよう。
魔除けってことは言ったからそれはないと思うけど……いや、そもそもなんで俺が生首の心配せないかんのだ。
よっし、余計なこと考えるのは止め止め。
とりあえず無事? 遥さんに事情を伝えることができた。
遥さんは他の隊員さんたちとダンジョンに潜るということなので、一旦そこでお別れとなったよ。
「とりあえず中村に連絡いれとこっと」
生首を撮影につれていくと決まったからには、中村に伝えないといかんだろう。
事前準備とか……あるかどうかは分からんけど、なにかやっておかないとダメかもだし。
ぽちっとな。
「……なんか色々きた。なになに」
そっこーで返事きたわ。
一行だけかと思ったら、結構かいてあった……仕事暇なのかな。
内容は生首のままは不味いだろってのと、顔をどうにか隠して欲しいってのだった。
どうも全部にモザイクかけるとなると大変なんだそうな。
生首に関しては最悪、ラジコンにでも乗せるか? と書いてあったけど……それはそれで不味くね?
「んー……気は進まないけど、本人にきくか」
移動に関しては、自力でもいちおう動けるしなんとかなるべ。
ほかは……あいつになんとかして貰うしかないじゃ。
自称女神なんだしどうにかするっしょ。
「撮影決まったんだってね!」
「どこで聞いてやがった」
家に帰るなり、生首に玄関で出待ちされていた。
てか、ちょっとアマツっぽくてなんかヤダ。
「まあいいや。んで聞いてたんだろ? 生首の状態だとモザイク処理面倒だからさ、なんとかならんの?」
顔も問題だけど、まずは生首状態をどうにかせんといかん。
さっき自力で動けるしーみたいなこと思ったけど、よく考えたら絵面がホラーすぎる。
「私の顔にモザイクいれるだなんて不敬だよ不敬」
「モザイクいれられたくなかったらなんとかせいって話だっての」
ひっぱたくぞこのやろう。
「別にこのままでも私は一向に構わないけど。まあ君たちの事情は理解しているともさ……首無しの人形を用意すれば問題ないだろう? 操作はこちらで出来るからね」
ふむ。
首を乗っけて人形は自分で操作すると……それならまあ見た目は人っぽくなるか?
実際にどうやって操作するのかは気になるところだけど。
ゲームパッドとかでやらんだろうな?
あと、乗せるだけだとちょっと不安があるな。
「それ、何かの拍子に首だけ転がったりしない? クロとか蹴りいれそうだけど」
「それは私のせいではないと思うのだがね」
まあ、確かにその通り。
でもね、結構な確率で蹴られるんじゃないかなーって思うんだよ俺。
ぜったいドヤ顔するだろこいつ。
「そうだねえ……首を抱えておくことにするよ。それなら余程のことが無ければ転がったりはしないだろうし、デュラハンか何かだと思って騒ぎにはならいないんじゃないかい?」
「それでいくかー……」
まあ、クロが蹴って首が転がったとしても、そこのところだけカットすればいいし……とりあえず生首問題に関してはこれで大丈夫だろう。
あとはこいつの見た目だけど……ふむ。
「ああ、そうそう。仮面もつけとけよ」
隠しちゃえばいいか。
「何言ってるんだい。私のこの美貌を隠そうだなんて不敬だよ不敬」
「それさっきも聞いたな」
こいつ女神ってことをカミングアウトしてから、ちょっと偉そうというかなんというか……元からか。元からだったわ。
まあ、実際女神というだけあって見た目は良いんだけど……。
「美形すぎてきしょ……きも……怖いから隠せっつーとんの」
「フォローになってないフォローありがとうねえ!」
あれだ。不気味の谷減少だっけ? あれと似た現象なんだろうかね。
整いすぎてて違和感やべえのですわ。
まあ、念押しはしたから、きっと撮影時にはどうにかしてるでしょ。
なんやかんやで撮影当日がやってきた。
一度俺の家に集合してから現地に向かうということで、早朝から家に中村が訪ねてきた。
「うっす」
既に支度を終えていた俺とクロは、玄関をでて中村と合流する。
ちなみに格好はいちおうダンジョンにいくということで、いつものフル装備である。
「よー……なにその鳥かご」
「生首ケース」
「ああ、そう……」
違うのは、生首をいれた鳥かごを俺が抱えていることだろう。
「脱走したら困るべ」
「すごい困る」
浮かれて高速のSAとかでどっかいきそう。
3
あなたにおすすめの小説
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった
椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。
底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。
ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。
だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。
翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる